中小の経営、承継しやすく 改正法案を閣議決定
政府は27日、中小企業の事業を引き継ぎやすくするため、経営承継円滑化法と小規模企業共済法の改正案を閣議決定した。国内の経営者の5割超は60歳以上と高齢化が進んでいる。廃業に追い込まれないうちに後継者を探せるよう、優遇措置を拡大する。
経営承継円滑化法の改正では、親族ではない第三者による事業承継のリスクを減らす。通常だと遺産相続の最低額である「遺留分」を主張する権利が遺族にあるため、第三者が安い価格で経営者から株式を譲り受けると、訴えられるおそれがある。これを避けるため、遺族に遺留分を放棄してもらう手続きを簡素化する特例を拡大する。
公的な退職金制度である小規模企業共済法の改正では、経営者の世代交代を促す。これまでは自営業者が廃業した場合に共済金を多く払っていたため、事業を継ぐ動機を損ねていた。今後は子供など親族に経営を承継するケースでも廃業と同等の共済金を払う。
このほか、中小企業の役員に対する共済金も支給額を引き上げる条件を緩める。これまでは「65歳以上かつ15年以上の掛け金の納付」を満たした人に多めに支給していた。15年たつまで役員を辞めない要因にもなっており、今後は65歳以上であれば多めに払うことにする。