関西強化で9億円増益へ トモニHD、新中計で統合推進
トモニホールディングスは2023年3月期の純利益を19年3月期から9億円上乗せして110億円をめざす第4次の中期計画をまとめた。「変革し進化する広域金融グループ」を掲げ、傘下の徳島銀行と大正銀行が20年1月に合併するのを機に関西での攻勢を強める。香川銀行も含めた3行の統合による経費節減や取引先拡大にも取り組み収益力を向上させる。
「第4次経営計画の4年間で、37億円のシステム費用は十分に回収可能と考えている」。トモニHDの中村武社長は19年3月期の決算会見で、徳島銀と大正銀が合併することに伴い計上した費用について言及した。
9億円の増益に向け、合併による経費節減はカギになる。前期に16億円、今期に21億円のシステム費用を計上。前期、今期見通し共に減益となったが、合併費用などの特殊要因を除けば「まずまずの決算」(中村社長)と前向きな言葉が並ぶ。
経費節減と並んで重視するのが業務の変革だ。「地域商社的金融グループ」と名付け、取引先企業の販路拡大に取り組む。現在は香川や徳島の特産品を県外で販売する「トモニ市場」を愛媛県八幡浜市の道の駅「八幡浜みなっと」や東京で展開している。地域を越えて連携する強みを生かし、地元企業の成長を後押しする。
高齢化が進み人手不足が深刻化するなかで、事業承継やM&A(合併・買収)をサポートし地元企業の雇用を維持する。預金や貸し出しの本業に加えて、サービスを充実させる。
取引エリアの拡大にも力を入れる。関西の大阪府、兵庫県(淡路島除く)、京都府を含んだ大阪地区を「戦略的エリア」として位置付けた。23年3月期のトモニHDの貸出金残高の目標は3兆円、そのうち1兆円を大阪地区の貸出金残高が占める。25年には大阪万博が控えるなど、同地区への期待は大きい。
16年3月末から19年3月末にかけて大阪地区の貸出金残高は2082億円増え、8949億円となった。全体の貸出金残高は同時期に4063億円増え2兆8084億円となっており、大阪地区での増加分が5割を超える。一層の営業基盤の強化へ新規出店も検討することになりそうだ。
トモニHD内での連携を強化して貸し出しにつなげる。体制は現在検討中だが、住宅・不動産に強みをもつ大正銀と、事業性融資に強みのある徳島銀がノウハウを共有し、大正銀が事業性融資を進める支援をする。
トモニHDとして本体は効率化を追求し、顧客との接点は複数行体制をとる「キングギドラのような在り方」(中村社長)がどこまで力を発揮するか。4年間の新たなステージに挑む。(桜木浩己)