浜銀と千葉銀が業務提携発表 業界再編加速か

業務提携合意書書に署名した横浜銀行の大矢恭好頭取(左)と千葉銀行の佐久間英利頭取=10日午後、東京・日本橋室町のマンダリンオリエンタル東京(酒巻俊介撮影)
業務提携合意書書に署名した横浜銀行の大矢恭好頭取(左)と千葉銀行の佐久間英利頭取=10日午後、東京・日本橋室町のマンダリンオリエンタル東京(酒巻俊介撮影)

 地方銀行としては総資産で首位の横浜銀行(横浜市)と3位の千葉銀行(千葉市)が10日、業務提携を発表した。個人の相続関連業務や中小企業の事業承継支援など、営業分野を中心に広範囲で協力して収益力向上を図る。将来的には周辺行との協業拡大も検討する構えで、経営環境が厳しい地銀の生き残りをかけた業界再編の呼び水になる可能性がある。

 千葉銀の佐久間英利頭取は同日、東京都内で開いた記者会見で「営業部門での地銀の先進モデルになるよう、連携施策を速やかに具体化する」と胸を張った。提携効果として売上高ベースで100億円単位の改善を目指す。

 今後は互いの取引先同士を紹介して販路拡大やM&A(企業の合併・買収)などを提案するほか、海外の拠点を相互活用して顧客進出を後押しする。個人向けでは、信託銀行の機能を持つ千葉銀が横浜銀に遺言信託などのサービス提供を検討。行員育成の共同研修や人事交流も進める考え。

 横浜銀と千葉銀はそれぞれ地盤とする神奈川、千葉両県に加え、東京都内でも横浜銀が南西部中心、千葉銀が東部中心と店舗の重複が少なく競合関係が薄い。行員同士の交流も盛んだ。

 互いに約0・30%ずつ持ち合う株式については今回買い増さず、資本関係に変更はない。ただ、都内の近接店舗の共同化や口座管理などを担う勘定系システムの共同開発も念頭に、関係性を強める考え。横浜銀の大矢恭好(やすよし)頭取は「排他的パートナーシップではない」と指摘しており、千葉銀と提携する武蔵野銀行(さいたま市)といった他行との連合も視野に入れている。

 地銀は人口減少や超低金利の長期化で利ざや(貸出金利と預金金利の差)が縮小し、収益悪化が続く。日本銀行の試算では10年後に約6割が最終損益で赤字に陥る見込みで、政府は独占禁止法の適用を除外する特例法を整備して再編を後押しする方針だ。トップクラスの地銀同士が手を組んだ今回の提携は、業界の苦しい経営事情を如実に反映しており、触発された他行の業務提携や経営統合の動きが今後加速しそうだ。

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