フィリピン航空社長にサンタマリア氏 外部から招く
【マニラ=遠藤淳】フィリピン航空は29日、米国の受託サービス会社の幹部を務めたギルバート・サンタマリア氏(53)が社長兼最高執行責任者(COO)に就任したと発表した。同ポストは長年社長を務めたハイメ・バウティスタ氏が6月に退任した後、空席となって混迷したが、外部から後任を招いて決着した。
発表によると、サンタマリア氏は2018年初めまで顧客データの分析などを受託する米アイベックス・グローバルのCOOとして、世界1万8千人の社員を指揮した。同社を含め、受託サービス業界での勤務経験が15年に上るという。同氏はフィリピン航空の社長就任にあたり「現在のサービス水準を維持し、利益水準を高めたい」とのコメントを出した。
バウティスタ氏は6月18日に家族との時間を優先したいとして退任した。その後、ルシオ・タン会長兼最高経営責任者(CEO)の娘ビビアン・タン上級副社長が事業を統括する責任者に就いた。7月17日にはタン会長が後継社長が決まるまで暫定的に社長を兼務すると発表していた。
フィリピン航空は、タン会長の投資会社が株式の大半を保有する上場会社PALホールディングス傘下の非上場企業。セブ・エアなど格安航空会社(LCC)との競争で収益低迷が続いており、ニューヨーク直行便などの長距離便を拡充し、立て直しを図っている。
タン会長は現在85歳で外部から招いたプロ経営者に日常業務を委ねつつ、ビビアン氏ら親族への事業継承を模索するとみられる。タン氏はPALホールディングスのほか、たばこ・酒、銀行、不動産などの事業を手がける大手財閥LTグループの総帥を務める。