事業承継に取り組む企業を対象として、中小企業庁は事業承継補助金を支給しています。
他にも補助金を提供している自治体がいくつか存在するので、まずはどのような補助金制度があるのか詳しくみていきましょう。
中小企業庁が主体となって取り組んでいる事業承継補助金は最もポピュラーな事業承継の補助金です。
対象となるのは事業承継を行う中小企業と個人事業主(小規模事業者)に限られます。
また、業種によって資本金と従業員数にも条件が定められているので注意が必要です。
中小企業の場合は以下の要件を満たしている必要があります。
業務の分類 | 資本金の上限額 | 従業員の上限数 |
製造業 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
個人事業主(小規模事業者)の場合は以下の要件を満たしている必要があります。
業務の分類 | 従業員の上限数 |
製造業 | 20人以下 |
宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
商業・サービス業 | 5人以下 |
これらの条件を満たしている中小企業や個人事業主のなかから選定された方に補助金が支払われることになります。
支払われる補助金は大きく2種類に分かれているので、どちらの補助金を希望するのかあらかじめ定めておくとよいでしょう。
Ⅰ型の補助金は親族内承継と親族外承継を行う場合にのみ支給されます。
また、補助金の支給を受けるには以下の条件をクリアしていなければなりません。
これらの条件を満たし、採択された中小企業や事業者には補助率に基づいた補助金が支給されます。
事業承継で必要になった費用の1/2〜2/3以内の補助金が支給されますが、支給上限額は150万〜200万円です。
Ⅱ型の補助金が受給できるのは会社の分割やM&Aに加えて株式の交換、移転、譲渡を行う中小企業・個人事業主です。
また、補助金の支給を受けるには以下の条件をクリアしていなければなりません。
これらの条件を満たし、採択された採択された中小企業や事業者には補助率に基づいた補助金が支給されます。
補助率や上限額は申請結果による順位によって異なるので、なるべく良い審査結果を得るのがポイントです。
申請結果と補助内容については、以下のような違いがあります。
こうした条件も踏まえると、なるべく評価されやすい申請書を作成することが大切といえるでしょう。
参考:中小企業庁
また、中小企業庁の事業承継補助金だけでなく、地方自治体が企業の存続を目的として補助金を支払っているケースもありますので、いくつか紹介します。
福井県の公益財団法人「ふくい産業支援センター」でも事業承継にまつわる補助金としてふるさと企業経営承継円滑化事業(事業改善型)を支給しています。
対象は、福井県内で事業を営む60歳以上の経営者。
補助金の支給を受けてから3年以内に事業承継を行うことや、受け取った補助金を事業用建物や設備に費やすことが条件ですが、最大で300万円までの補助金を支給しています。
佐賀市は事業承継を促進するために、佐賀市内に本社・住所を置く中小企業向けに事業承継補助金を支給しています。
上限額は30万円までと少額ですが、佐賀市で事業承継を行いたい方にとっては朗報でしょう。
広島県三次市では地域事業の活性化を図るために、事業承継に取り組む中小企業向けに三次市事業承継支援事業補助金を支給しています。
用途ごとに上限額が異なるので、詳しく知りたい方は三次市のWebサイトを確認してみましょう。
このように、地方自治体でも事業承継を後押しするために補助金を用意し、様々な取り組みを行っています。
自社が籍を置く自治体でも利用できる補助金がないか、調べてみましょう。
事業承継には高額な費用が必要になるため、費用の準備期間が必要になるケースも散見されます。
この記事で紹介した補助金を利用することで、よりスムーズに事業承継をすすめられるでしょう。