仙台銀、コンサル新会社設立 ファンド立ち上げも

じもとホールディングス傘下の仙台銀行が手数料ビジネスの拡大に向けて動き出す。2020年1月にコンサルティング子会社を設立し、M&A(合併・買収)の仲介や事業承継などで専門的なサービスを提供する。新会社はファンド運営も手がける方針で、企業の成長投資に資金供給する。コンサル業務を中核に手数料収入を増やし、「稼ぐ力」を引き上げる。
会社名は「仙台銀キャピタル&コンサルティング」。資本金は5千万円で仙台銀が100%出資する。社長には同行の芳賀隆之常務取締役が就任する予定。人材は当初、5人程度を配置する。主な業務は中小企業への経営支援だ。M&A仲介や事業承継、人材紹介などニーズの高い分野でコンサルのサービスを提供する。
コンサル業務には高い専門性と経験が求められるため、早期に人材を育成して戦力化したい考えだ。若手行員を外部のコンサル会社などに派遣してノウハウを身につけてもらうほか、優秀な人材を即戦力として中途採用することも検討する。
コンサル業務では支店にいる営業担当者との連携が欠かせない。融資などの取引を通じて経営者と関係を築いているためだ。担当者が経営者のニーズを把握すると、コンサルの専門部隊につなぐ仕組みをつくる。支店の役割が増すことになり、「行内に意識を浸透させる」(経営企画部)。
新会社はファンド運営会社の機能を持つ。新たなファンドを立ち上げる予定で、スタートアップ企業の成長投資や創業支援などでリスクマネーを供給する。銀行では難しい企業への出資などでも機動的に動けるようになる。ファンドを通じて企業の増資や株式取得のニーズに対応していく。
人材紹介サービスにも乗り出す。まずはノウハウやデータベースを持った外部の人材紹介会社と連携するが、将来的には職業紹介の許可を取って自前で手がけることも視野に入れている。人手不足が深刻な経営課題となっている中小企業にとって人材のニーズは高い。
低金利で融資の利ざやが縮小するなか、地方銀行は手数料収入から得る「非金利収入」の確保を急いでいる。コンサル業務など経営支援のサービス分野は開拓余地があるとみられ、コンサル子会社が増え始めた。ただ、高度な知識とノウハウが求められるサービスの課題は人材の確保だ。できなければ、収益力の回復は遠のくことになる。