事業承継税制の特例認定に必要な手続きは?申請方法と認定支援機関について解説!

中小企業の事業継続を支援し、雇用確保・地域経済活性化を図るため、2008年に経営承継円滑化法が制定されました。さらに2018年には、経営者の高齢化と大量引退の問題に対処するためにより強力な支援を盛り込んだ税制の特例措置が始まっています。
特例措置の認定を受けるための鍵となるのが都道府県庁に提出する「特例承継計画」です。「特例承継計画」の策定では、国が認定する経営革新等支援機関(以下、認定支援機関)の指導と助言を受けることが義務づけられています。
この記事では、中小企業の事業承継税制(とくに特例措置)と認定支援機関について10分程度で理解できるように、わかりやすく紹介していきます。

事業承継税制の特徴 一般措置と特例措置

経営承継円滑化法の柱の一つに非上場中小企業を対象とした事業承継税制があります。後継者が贈与・相続で取得した株式等について、贈与税・相続税の納税を猶予(場合によっては免除)する措置です(以下では「一般措置」と略します)。さらに2018年の改正では10年間の期限付きで「特例措置」が設けられました。

ここでは一般措置と特例措置の特徴を対比しながら事業承継税制について解説していきます。

事業承継税制の一般措置

一般措置の主な特徴・条件を列挙します。その他の条件や細則については経済産業省・中小企業庁の「中⼩企業経営承継円滑化法申請マニュアル」(※1)を参照してください。

■猶予される割合
贈与税については100%、相続税については80%が猶予されます。

■猶予対象となる株式の数
議決権が行使できない株式(無議決権株式)を除いた総株式数のうち、3分の2までが猶予対象となります(後継者が贈与・相続前から所有していた株式があればそれも含めて3分の2まで)。

■猶予対象者の数
猶予措置の対象となる後継者は1つの会社につき1名のみです(後継者が2名以上いる場合は企業側が1名を選択)。

■承継後の経営
後継者は猶予認定後の5年間にわたり会社の代表を務め、常勤従業員の数を承継時点の8割以上に保たなければなりません。5年経過後は、猶予対象となる株式を継続保有することなどが求められます。

■納税免除
会社が倒産したり後継者が死亡したりした場合などには猶予分の納税が免除となります。
また、承継の後継者がさらに承継を行い、新たな後継者(3代目)が納税猶予認定を受けた場合には、初めの後継者(2代目)の納税は免除されます。

特例措置の特徴

一般措置の特徴・条件が特例措置では次のように変更されています(※2)。

■猶予される割合
贈与税・相続税ともに100%です。

■猶予対象となる株式の数
全株式が対象です(上限なし)。

■猶予対象者の数
最大で3名の後継者が対象となります。

■承継後の経営
常勤従業員数8割以上保持という条件を満たさなかった場合でも、事由次第では猶予継続が認められます(後述の通り従業員数は5年間の平均で判定します)。その他の点については一般措置と同様です。

■納税免除
事業継続が困難になった場合に、事由次第では猶予分の納税が免除となることがあります。その他の点については一般措置と同様です。

事業承継税制の申請方法と認定支援機関

一般措置と特例措置で申請方法が異なるのは、「特例承継計画」の策定と認定支援機関に関する点です。以下では認定支援機関について簡単に紹介し、特例措置の認定を受ける際の流れを解説します。

認定支援機関とは?

事業承継を含め、中小企業の経営を総合的にサポートするために制定されたのが認定支援機関(経営革新等支援機関)の制度です。中小企業支援に関して一定以上の専門知識・実務経験を持つ個人・法人・機関(商工会議所・税理士・中小企業診断士・金融機関など)が、国の審査により認定支援機関に選ばれています。

特例措置の申請方法

納税猶予の特例措置を受けることができるのは2018年1月1日から2027年12月31日までの間に生じる贈与・相続です。

まずは事業承継の予定や継承後5年間の事業計画を記載した「特例承継計画」を管轄の都道府県庁に提出する必要があります(2023年3月31日が最終提出期限)。「特例承継計画」は認定支援機関による指導と助言のもとに策定し、支援機関の所見を記入した上で提出します。

知事から特例措置の認定を受けたのち、認定書の写しと猶予税額に相当する担保を添えて(※3)税務署に贈与税・相続税の申告を行います。

その後5年間は都道府県知事へ年次報告を行って認定条件に違反していないことを申告し、税務署へも継続届出書を毎年提出します。

5年経過後に常勤従業員数の5年間での平均を計算し、これが承継時の8割に満たなかった場合は都道府県庁に理由を報告しなければなりません。報告書には認定支援機関が所見を記載します。経営の悪化など事業改善を要する理由であった場合には支援機関の指導と助言を受けることが義務づけられています。

まとめ

事業承継税制の特例措置は中小企業の事業承継を強力に後押しする施策です。この記事では概要を紹介してきましたが、細則について注意すべき点も多々あります。認定支援機関と相談し、条件や手続きについて把握した上で制度を活用してください。

経営承継円滑化法には税制措置だけでなく生前贈与株式についての民法の特例や金融支援なども盛り込まれています。これらも含め、事業承継について迷った際には承継問題に詳しい認定支援機関に相談してみることをおすすめします。

参考URL
※1
経済産業省・中小企業庁「中⼩企業経営承継円滑化法申請マニュアル 【相続税、贈与税の納税猶予制度】」
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2019/190516zouyo_souzoku_ikou.pdf
※2
経済産業省・中小企業庁「経営承継円滑化法申請マニュアル 【相続税、贈与税の納税猶予制度の特例】」
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2019/190403shoukei_manual_1.pdf
※3
国税庁「非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予(担保の提供に関するQ&A)」
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/enno-butsuno/qa/index_6.htm

 

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