「会社を解散することを考えている。会社解散の手続きはどのように進めていけばいい?」
「会社解散の手続きは自分でできる?相談できる専門家は?」
このような悩みを抱えている中小企業の経営者も少なくありません。
会社を解散することは、多くの場合は経営者にとって苦渋の決断となるでしょう。
しかし、経営者自身の人生という観点から見た場合には、会社を解散することが新しいスタートにつながることも考えられます。
ときには撤退によって損失を最低限に抑えることが、最適な解決策であることもあり得るでしょう。
会社の解散を行うことは、経営者の決断として恥ずべきことではありません。
この記事では、会社の解散を選択する場合の手続きの進め方について解説しています。
10分程度で読み終わるので、ぜひ参考にしてみてください。

会社を廃業するには「解散」と「精算」の2つの手続きが必要

 

大前提として、会社の解散を行う場合には「解散」の手続きと、「精算」の手続きの2つが必要となることを理解しておきましょう。

それぞれの言葉の意味について、順番に解説いたします。

会社の解散とは

会社の解散とは、文字通り会社が運営している事業を終了し、会社組織を解体することを意味します。

会社を解散した後は、組織としての法人格が消滅することになるので、法人の名義で契約をしたり、資産を所有したりといったことができなくなるのです。

なお、法的に会社の解散を認めてもらうためには、会社の解散事由が発生していることが必要です。

会社の解散事由は「会社法」という法律の471条で定められており、以下のようなものがあります。

  1. 定款で定めた存続期間の満了
  2. 定款で定めた解散の事由の発生
  3. 株主総会の決議
  4. 合併
  5. 破産手続開始の決定
  6. 休眠会社のみなし解散


会社法471条

このうち、通常の会社解散においては「株主総会の決議」という要件を満たすことによって手続きを進めていくことになります。

株主総会の特別決議が完了したら、法務局で会社を解散する旨を登記しましょう。
これで、法的に会社の解散が認められます。

特別精算には協定型と和解型の2種類がある

なお、特別精算の手続きには「協定型」と「和解型」の2つのかたちがあり、それぞれ手続きの進み方が異なります。

協定型とは、ごく簡単にいえば複数人の債権者とまとめて支払い義務の免除をめぐって交渉を行う方法です。
具体的には、債権者集会において総債権額の3分の2以上(かつ、議決権を持つ債権者の過半数の出席)の同意を得ることによって特別精算を認めてもらうことになります。

一方で、和解型は会社とそれぞれの債権者との間で個別に交渉を行い、弁済額の決定を行う方法です。

どちらを選択すべきかはケースバイケースですが、大口の債権者から同意を得られる可能性が高いような場合には、協定型の特別精算を選択できる余地があります。

会社の精算とは

会社を法的に消滅させるためには、上で見た会社解散の手続きを完了するとともに、「精算」の手続きも完了する必要があります。

精算とは、会社が持つ債権を回収し、債務の支払いを行うことをいいます。

株主総会で会社解散の決議を行ったとしても、会社外部の関係者に対する債権や債務がただちになくなるわけではありません。

そのため、会社の解散手続きと並行して、精算の手続きを別途進めていく必要があるのです。

ただし、会社の状況によっては、対外的に負っている債務の支払いができないことも考えられます。

このようなケースでは、通常の精算手続きと異なり、「特別精算」という手続きを選択する必要があります。

特別精算においては、裁判所に申し立てを行い、裁判所による監督の元で精算手続きを進めていくことになります。

債権者の立場で見ると、会社が解散してしまったら債権回収を行うことができなくなってしまいます。

そのため、彼ら(債権者)にも裁判所で行われる精算手続きに参加してもらい、納得してもらった上で精算手続きを完了する必要があるのです。

破産手続きとは

会社を解散したいけれど債務の支払いができないケースにおいては、特別精算の他に「破産」という手続きが選択されることもあります。

特別精算と破産は手続き内容で似ている部分がありますが、特別精算が会社法というルールに従って進められるのに対して、破産手続きは破産法というルールに従って進められる点で違いがあります。

破産手続きでは、裁判所が「破産管財人」という役割の人を選任し、その人がイニシアティブをとるかたちで手続きが進められます。

なお、実際の手続きにおいては、特別精算よりも破産手続きを選択する会社が多いです。

まとめ

今回は、会社解散の手続きの内容について説明いたしました。

会社は自らの意思で解散を選択することができますが、対外的に負っている債務がある場合には、解散の前に精算の手続きを完了しなくてはなりません。

会社の解散を成立させるためには、複雑な法律要件を満たさなくてはいけませんから、弁護士その他の専門家のアドバイスを受けるのが一般的です。

特に、会社が債務超過になってしまったことを理由として解散を選択する場合には、債権者側との交渉や裁判所での手続きを適切に進めていく必要がありますので、注意しておきましょう。