会社の廃業とは、古い言い方で「会社を畳む」とも言われ、現在展開している事業を中止して、完全に終了させることを指しています。
個人の場合であれば、事業を中止して債権者に弁済したうえで、廃業届を税務署に届出ると成立するようですが、会社の廃業の場合、多くの債権者がいるため、法律に定められた手続きを踏まえて進めなくてはなりません。
会社の廃業とは、会社を解散して、清算させる一連の手続を指しています。
「解散」とは、会社の事業活動を停止する手続きであり、「清算」とは、解散後の会社の債権債務を整理して最終的に法人格を消滅させる手続きであり、これにより廃業が実現します。
参考:会社を廃業する際のタイミングや手続き、費用を徹底解説!
廃業と倒産が混同されるケースがありますが、ふたつは似て非なるもの。混同しないように気をつけましょう。
廃業は、経営者の意思に基づいて自主的に遂行される手続きと言えますが、倒産は、経営者の意思に基づくケースもあれば、債権者などの第三者の意思に基づくケースもあり、第三者の手によって遂行される手続きと言えるものです。
会社の解散は、次の場合にのみ認められます。
上記のうち、1~4の事由による解散を「任意解散」、5~7の事由による解散を「強制解散」と呼んでいます。
業績悪化や後継者不在等の理由で会社を計画的に清算する場合、「株主総会の決議」によって解散が選択されます。
会社の清算とは、解散により事業活動を停止した会社が、事業活動によって生じた債権を回収して得た資金で債務を弁済し、最終的に残った会社の残余財産を株主に分配したうえで、会社の法人格を消滅させるための次の一連の手続を言います。
会社の清算には、合名会社、合資会社に認められた清算手続きとして、定款の定めや総社員の同意によって会社財産を自由に処分できる「任意清算」と、法律上の手続にしたがって財産の整理を進める清算手続きの「法定清算」があり、さらに法定清算は「通常清算」と「特別清算」に分類されます。
取締役に代わって選任される清算人によって進められる清算手続きであり、裁判所の監督外で行われる私的な清算手続き。
債権債務に争いがあって通常清算の手続きに支障を来す特別な事情がある場合や、債務超過などによって債権者保護の手続きが必要な場合に、裁判所の監督の下で行われる公的な清算手続き。
廃業に要する時間、つまり解散から清算の手続き完了までの期間は、1年3ヶ月ほどになると考えられます。
実際に解散から清算が完了するまでの実務の流れは以下のとおりです。
経営者として解散を決断した場合、まず解散日をXデーとして定めます。
このXデーが「株主総会の特別決議」を得る日となるので、ここから逆算してスケジュールを立てていきましょう。
Xデーに先立って、解散に向けた準備を行っていきます。
具体的には、
などの準備を行います。
株主総会の特別決議で解散を承認した日(Xデー)から清算を完了するまでの実務の流れは次のとおりです。
こちらの記事で詳しく手順を解説しているので、気になる方は参考にしてみてください。
参考:会社を廃業する際のタイミングや手続き、費用を徹底解説!
会社の解散から清算完了までに要する費用として、登記手数料や清算人の報酬が発生してきます。
このほか、従業員の解雇に伴う転職先の斡旋コスト、退職金の割り増し支給なども準備する必要があります。
参考:会社を廃業する際のタイミングや手続き、費用を徹底解説!
止むを得ない理由から、会社を廃業することを選択する企業も少なくありません。
その場合、時間や工数、費用をかけて対応する必要があるので、それ相応の準備が必要です。
会社の廃業とは、事業承継により事業の存続の可能性を模索し尽くしたうえで、最終的に検討すべき選択であることを認識しておきましょう。