税制改正、自公「ひとり親」で溝埋める 婚姻・男女の差是正
自民、公明両党は12日に決めた2020年度税制改正大綱で両党が対立してきた未婚のひとり親に関する税制を巡る溝を埋めた。婚姻歴の有無や男女で異なる措置をそろえた。自民党が党内の保守派にも広がった容認論を踏まえ公明党の主張に配慮した。公明党は法人税の優遇拡充などの改正項目でも成果を得た。
配偶者と離婚・死別したひとり親世帯を対象に年間で最大35万円を所得控除する「寡婦(夫)控除」を未婚のひとり親にも適用する。公明党が求めていた。寡婦控除は一律に年収678万円以下の所得制限を設け、男女で差がある控除額も35万円にそろえる。届け出のない事実婚世帯も対象とする。
自民党は伝統的な家族観と異なると反対してきたが、時代の変化を踏まえ、多様な家族の形も尊重した。
公明党は本社機能を地方に移した企業の法人税を減らす税制優遇の拡充も要望した。19年度までの期限が2年間延長され、適用要件である雇用者の増加率の基準が緩和される。過疎化の進む地域に移転した企業への税額控除を増やす措置は見送られたが、おおむね公明党の主張通りとなった。
公明党は中小企業の減税策として親族以外の第三者への事業承継に対する優遇措置を求めていたが、これは見送られた。後継者が事業承継後すぐに転売する恐れがあるとして反対論が強まった。