SBI、筑邦銀に出資 「地銀連合構想」が拡大
SBIホールディングス(HD)と筑邦銀行(福岡県久留米市)は17日、資本・業務提携すると正式発表した。SBIが筑邦銀の発行済み株式を最大3%取得する。フィンテックなどを武器に地方銀行との提携強化をめざすSBIと、新たな成長戦略を模索する筑邦銀の思惑が一致した。他の地銀でもSBIとの連携が広がる可能性がある。
筑邦銀の佐藤清一郎頭取は17日の記者会見で「銀行のビジネスモデルを変える必要がある。銀行同士で統合するより(SBIが強みとする)ネット金融の方が早く変えられる」と強調した。SBIは複数の地銀に出資してサービスを充実させる「地銀連合構想」を掲げている。これまで島根銀行、福島銀行に出資を決め、筑邦銀は3行目となる。
ただ島根銀、福島銀との提携ではSBIが2~3割の株式を握り筆頭株主となるなど、資本支援の意味合いもあった。一方で筑邦銀への出資は3%にとどまり、協業関係を強化する狙いが大きい。
SBIの北尾吉孝社長は「様々な形態で地銀と連携する」と公言する。今後は地銀連合づくりを優先し、大型出資に限らず提携の枠組みを柔軟に検討する。同社は「第4のメガバンク」をめざし3月にも地銀を束ねる統括会社を設ける。フィンテックや運用のノウハウを提供し、地銀の経営効率化を後押しする。
九州は地銀同士の合従連衡が続き、ふくおかフィナンシャルグループなど金融グループがしのぎを削る。とりわけ筑邦銀の地盤の福岡県は全国最多の5行が競う。筑邦はグループに属さず単独で展開してきたが、SBIとの提携で生き残りをめざす方向にかじを切る。
筑邦銀は金融商品を販売するSBIとの共同店舗を増やしたり、企業の事業承継やM&A(合併・買収)を支援したりする。有価証券の運用業務をSBIに委託し、運用益の引き上げもめざす。