京都市、観光公害対策など重点 20年度予算案7840億円
京都市は6日、2020年度予算案を発表した。一般会計は前年度比1.3%減の7840億円と4年ぶりに減少した。訪日外国人客の急増に伴う「観光公害」の解消などを重点施策に掲げた。国の税制改正に伴い一般財源収入が減少しており、基金取り崩しなどの対策を迫られた。
観光では、市バスの各種割引乗車券の見直しや手ぶら観光の推進を促すほか、観光向けバス路線で混雑解消につながる前乗り後降り方式を拡大するなどの混雑対策に2億2600万円を充てた。
観光バスの路上駐車による道路の混雑を避けるため、駐車場の位置や空き情報を一元的に発信するウェブサイト開設にも予算を計上。朝・夜の混雑を避けた時間帯の観光情報発信や、比較的観光客の少ない市内農山村部への誘客も盛り込んだ。
子育て支援では10億円超を充て保育所を整備し児童の受け入れ枠を増やす。経済振興では起業支援や事業承継にかかる融資制度を創設。新型コロナウイルス対策は一体編成した19年度2月補正予算案に10億円を計上した。
財政面では税制改正で地方交付税と法人市民税が大きく減り、個人市民税や固定資産税の増加では補えず一般財源収入が82億円減少。「(地方交付税の減少は)全くの想定外だ」(門川大作市長)として、政令指定都市で連携して国に交付税の必要額の確保を強く要望していく意向を示した。
財源不足を補うため、市は借金返済に充てる公債償還基金を119億円取り崩したうえ、減収への資金手当てのための地方債である調整債を23億円発行する。調整債の発行は初めて。支出面では、業務の民営化などで人件費を17億円削減するほか、市立浴場廃止など40億円分の事業を見直す。