2020年、年初から流行している新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の影響により、多くの企業にとってこれまで普通に行えていた「社員に出社してもらう」という行為自体が叶わなくなっています。

以前より国の指針でも出されていた「リモートワーク」が本格的に重要になってきている中で、これから経営を引き継ぐ後継者・若手経営者が率先してこのリモートワークに立ち向かっていかなければならなくなっております。

この記事では、オンライン・ウェブと身近な距離にいる後継者や若手経営者のデジタルシフトについて、また、ITの活用が重要な現代における、リモートワークやオンライン会議のお作法に関してまとめます。

そもそもリモートワークとは何なのか?

新型コロナウイルスの蔓延拡大を防止すべく、緊急事態宣言が発令されてから久しいですが、あれからわたしたちの日常は激変しました。学生や会社員などの通学・通勤はめっきりと少なくなり、学生はオンラインで講義を受け、会社員は自宅勤務に切り替わってしまいます。

その頃から急激に普及したのが「リモートワーク」や「テレワーク」と呼ばれる働き方です。2つの呼称に違いはなく、同じ意味合いを持っています。

日本においては、30年以上前にNECがサテライトオフィス(複数企業がオフィスを置ける施設)を活用した「テレワーク」を実現していたことや、政府が「テレワーク」という呼称に統一しているため、同じ意味の「テレワーク」と「リモートワーク」いう呼び名が両立してしまっています。

いずれも「遠隔地にいながら働く」ことを指し、新型コロナウイルスの影響から多くの企業に浸透した働き方と言えるでしょう。

そして奇しくも、政府が声高に掲げていた「働き方改革」の主軸でありながらイマイチ浸透していなかった「テレワーク」は、世界に大打撃を与えたコロナウイルスによって一気に国内で浸透してしまったのです。

参考:総務省|ICT利活用の促進|テレワークの推進

国も期待する働き方改革の要「リモートワーク」とは

本文ではリモートワークと記載をしておりますが、総務省の発表では、「テレワーク」という表現が使われております。総務省の記述では、以下として表現されております。

テレワークとは、ICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方です。
また、テレワークは、ワークライフバランスの実現 、人口減少時代における労働力人口の確保、地域の活性化などへも寄与する、働き方改革実現の切り札となる働き方でもあります。
総務省では、関係省庁とも連携し、テレワークの普及促進に資する様々な取組を進めています。

参照:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/

ここでも記述のある通り、元々は働く人及び人口減の対策として提示された内容であることがわかります。経営の後継者は時代の変化にあわせて、上記の観点も含めてテレワークを積極的に活用されることをお勧めいたします。

テレワークとリモートワークの違いは、言葉としては違いが少ない印象ですが、強いていうのであればテレワークは1対1のニュアンスが強いことに対して、リモートワークは1対nのニュアンスが強い印象があります。

地方の中小企業こそリモートワークを導入すべき理由

2020年4月13日時点での東京商工会議所の発表では、テレワーク(≒リモートワーク)の導入率は26.0%。導入検討中を合わせると45.5%だったことが分かりますが、50人未満の企業の導入状況が14.4%。検討中を含めても32.3%と、企業規模が小さいほど導入への意欲が低いことがわかります。

実際にエンジャパンの調査では、転職コンサルタント全員が「リモートワークを希望する求職者は増えている」と回答。また、希望するリモートワークは「在宅勤務」が64%というデータも出ています。

このことから、資金力がなく採用に力を入れられない中小企業ほど、「リモートワークを導入すべき」であると言えます。いち早くリモートワークを導入していれば、地方の企業であっても有能な人材を獲得できる可能性が高く、必要な費用も少なく済むのでぜひ検討してみましょう。

参照:「リモートワーク求人」実態調査

リモートワークが士業者や後継者に与える影響とは

リモートワークを活用する企業が増える一方、いきなり働き方を切り替えることに不安を感じたり、業務の進め方に問題が生じてしまう企業も少なくありません。事業承継によって企業を引き継いだ後継者だけでなく、企業を支援する側の士業の方々にも多くの影響が出ていると伺っております。

足繁く通っていた顧問先への訪問が難しくなる中で、オンライン会議やオンライン商談を行う機会も増加したのではないでしょうか。

また、現役の経営者や後継者の中には、クライアントとの打ち合わせや商談、従業員との連絡手段もオンラインに切り替わってしまい、歯がゆさを覚えている方も多くいらっしゃいます。

こうした状況の中でもこれまで通りのパフォーマンスを維持したり、IT化のチャンスと捉えてさらに業務効率をアップさせたりできれば、新型コロナウイルスによる社会情勢の変化にも上手く対応できるのです。

若手経営者には、今こそ事業の「IT化」や「働き方改革」のチャンスと捉え、率先してオンラインで仕事をする環境を用意すると共に、その際に必要なお作法を、この記事を通して学んで頂きたいと思います。

リモートワークのはじめの一歩は「オンライン会議」から

リモートワークに期待されることは、労働場所に関わらない雇用の創出です。

社員一人一人が自宅などで仕事をすることで周囲に干渉されずに集中して働くことができる、通勤時間の削減、遠隔地に住む人材を獲得できるなど、企業や人材の両面に対して様々なメリットが生まれます。

既に社員を雇用している企業におすすめなのは、いきなり日常の業務をリモート化するのではなく、まずはオンライン会議からリモートワーク・デジタルにシフトしていくことをお勧めいたします。

パソコンの画面を共有したり、サッと調べ物をしたりできるので、オンライン会議は通常の対面会議と変わらず進行できますし、大規模なデジタルシフトに比べてコストもかかりません。デジタル化する上で最も取り組みやすい施策と言えるでしょう。

オンライン会議におすすめの無料ツールを3つ紹介

すでに、お使いのオンライン会議に活用できる環境がある場合は現在のツールでも構わないかも知れませんが、もしまだこれから検討するのであれば以下を参考にしてみてください。

セキュリティ面の懸念が指摘される中でできれば有料版をお勧めいたしますが、現在リーズナブルなサービスも複数出ておりますので是非試してみてください。ここで紹介するものはすべて無料で使えますので、今日から導入することも可能です。

Skype(スカイプ)

ウェブでの打ち合わせにて昔から有名なツールとしてSkypeがあげられます。無料で使える上、音質や画質も高いクオリティを維持しています。

有料版もリーズナブルで、月に220円からという手軽さです。

知名度もあるので、「Skypeでお打ち合わせを…」と伝えれば社外の方にも伝わりやすいのがメリットでしょう。

しかし、自身と相手の両方にログインが求められる上、始めて会話する相手の場合は、相手のIDを確認するという工程が必要となります。複数名でオンライン会議を実施する場合は、主催者が全員のIDを把握する必要がある点が、ちょっと手間かも知れません。

Zoom(ズーム)

ホスト(オーナー)のみ有料アカウントが必要となりますが、ゲストは基本的に無料で活用できる有名なオンライン会議用ツールです。無料版でも150名までは同時接続が可能なので、中小企業の全社会議などには人数を気にする必要はありません

基本料金は無料、ホストとなる有料アカウントについても月額約1,600円程度で活用できます。ビジネスor企業の場合は月額約2,150円程度で活用が可能です。

Zoomのメリットは録画・音声の保存などが簡単にできることや、高い知名度ゲスト側はURLをクリックするだけで入室できるという手軽さにあります。

無料版でもトライアルで活用できますが、1度の会議に入室時間制限がついているので注意が必要です。

Whereby(ウェアバイ)旧appear.In

4人までの同時参加しかできませんが、参加者はログイン等が不要なところが特徴です。

指定のURLをクリックするだけで接続が可能です。

主催者側はログインを行う必要がありますが、打ち合わせ先の相手がログインやIDの発行・アプリケーションのダウンロードが苦手な場合には親切なツールと言えます。社外の方と打ち合わせをする際はこちらを活用するのが良いでしょう。

オンラインミーティングのお作法

上記の環境を選定した上で、経営者がオンラインミーティングを実施する際に気をつけなければならない点(お作法)にも触れたいと思います。

ログインなどは、迅速に

オンラインで仕事をするようになると、どうしても手元の作業に集中し時間を忘れてしまうことがあると思います。

「気付いたらミーティングの定刻を過ぎてしまっていた…」というパターンも少なくありません。

また、直前に気づいたとしてもログインなどに手間がかかるため、気付いたら5分・10分ほど会議が遅れる、ということがございます。

会議の主催者である経営者こそ、事前にログインを済ませて準備をしておくことを強くおすすめいたします。

通常の会議であれば、急ぎ足で会議に向かい「ごめんごめん、遅れちゃった」で済まされたことも、オンラインでは、表情やニュアンスがどうも伝わりづらく、社員からひんしゅくを買う可能性もあります。

アプリケーションを活用して、賑やかにする演出を

オンライン会議特有の、聞いている側のリアクションが見えないという状況が当然多く出てきます。

話す側(=議長)も不安の中でパソコンに向かって話しているため、経営者こそ細かいリアクションをとることをお勧めいたします。

複数名で参加する会議では、音声の混線やハウリングを気にしてマイクをオフにするスタッフの方も少なくないので、率先してリアクションをとりましょう。

言葉でのリアクションはもちろんのこと、多くのオンラインミーティングツールでは、チャット機能がついていたりするため、絵文字などを活用して柔らかいリアクションをとることをお勧めいたします。

細かい気配りで、画面の向こうにいる社員を安心させてあげることで、話しづらい環境から開放してあげることもデジタルシフトを促進する一つの手かも知れません。

また、以下のように、画面に変化をあたえることで飽きさせない?工夫も必要かも知れません。

資料は事前に書面化して送る・投影する

もしこの記事をご覧の方が、いつも手ぶらで会議に参加している、というように話すことに長けた方の場合は、より一層「見える化」を気にしていただくことをお勧めいたします。

オンラインでは、社員の皆さんの環境は人それぞれ異なります。モバイルのテザリングを活用している方もいれば、Wi-Fiの不調などで電波が届きにくい場合もあります。

常に、音や画像が届きやすい環境でないことを想定し、事前に議題・論点などをおまとめして準備をすることをお勧めいたします。

いつも、口頭で伝えたらわかってくれたという“あうん”の呼吸が成立していても、デジタル上では伝わらない可能性がある、と思った方が良いです。オンラインでは、予想以上に意思の疎通が難しくなります。

まずは、重要なこと・伝えるべきことは書面化をするということが、重要だと考えます。

オンラインミーティングとオンラインでの商談の違い

上段では、あくまで社内会議を想定したオンライン会議・ミーティングについて記載をしましたが、営業業務も一部オンラインに変化を与えるチャンスです。

社内会議・オンラインミーティングと「オンラインを使った商談」は少し異なります。意外と意識していなかった「オンライン商談のお作法」について、ここからは解説していきます。

オンライン商談は「おもてなし」の心が必要不可欠

オンライン商談と対面商談の大きな違いは、相手の環境が随時異なることです。

対面で商談や営業を行っていた方は、相手の状況や顔色を伺うことに長けていると思います。臨機応変に話題に対応し、クローズまで持っていくテクニックを保有していらっしゃると思いますが、オンラインの場合は「商談が始まる前」にこそ注意を向けていただきたいのです。

商談を行う環境が対面からオンラインに変わったことで、意図せぬ不愉快さを相手に与えて、ぎこちなくなってしまう場合があります。

例えば、skypeの場合は認知度があるとはいえ、相手にログインをしてもらったり、ID/Passを持ってない場合、発行してもらったりと、対面では必要なかったお手間をかけることになってしまいます。

そういった点では、いかに先方に負担をかけずスムーズにオンラインの商談に持ち込むのかということが重要になってきます。先ほど申し上げたとおり、接続の準備に5分・10分の時間を使ってしまうと、相手のモチベーションや心象は悪くなってしまいますので、商談の成約率が下がることは想像に難くないでしょう。

すでに紹介したWhereby(ウェアバイ)など、先方のログインが必要ないツールを用いてお手間をかけさせない、といったような「おもてなしの心」があると、オンラインでも対面営業のようにスムーズに契約を獲得できるようになります。

オンラインの商談で有効なツール「bellFace」

Wherebyは先方にログイン等をしていただく必要がなく負担が少ないですが、あくまで先方の回線・環境が整っていることを前提にした内容になっているため、相手がオンライン環境やデジタルツールに弱い場合、やりとりに負担がかかってしまいます。

「速度が遅い」といった影響が出た場合、音声も途中でぶつ切りになり、「もう一回よろしいですか?」「少々お待ちください」という内容が飛び交う可能性があり、先方にも不安を与えてしまうことが想定されます。

そこで、お勧めしたいのが、bellFaceというオンライン商談用のツールです。

bellFaceを商談に活用する際のメリットは、bellFaceで利用される回線が「電話回線である」ということ。

電話海鮮をベースにしているため、取引先のオンライン環境に左右されることなく、高品質の音声でやりとりできます。もし、お手元にPCやスマートフォンがあった場合には、画面を共有することで、資料を先方に見せることも可能になるので、既存の通話ツールにも引けを取りません

また、先方の画面を共有せずに、こちら側の画面のみを投影できるため、相手に「カメラが無いからビデオ通話はちょっと…」という気を使わせずに済みます。中小企業などでデジタル環境に疎い相手であっても、スムーズに商談を進められるでしょう。

bellFaceであれば当メディアの読者にも多い士業者の方でも、いつもの報告や商談について電話を活用しながら行うことができるので、テレワークやリモートワークを始める糸口としておすすめいたします。

まとめ

これから経営を引き継ぐ後継者が、より効率的な業務進行を目指して、積極的にデジタルシフトを行うことで、社員の労働環境に変化を与えると同時に、採用などにも多くの好影響があります。

ぜひ、このタイミングでリモートワークという手法を取り入れ、この記事を参考に一歩ずつ始めてみるのはいかがでしょうか。