長崎県の税理士業界での16年間の実務経験を活かしながら、地域に根差し事業承継・M&A支援に取り組まれている代表の髙濵氏にお話をお伺いいたしました。

設立のきっかけ

[税理士業務と事業承継/M&A支援の両立]

もともと税理士法人に長いこと勤めておりまして、勤めてから最初のころは事業再生の案件が多かったのですが、時代が変わっていく中で事業承継/M&Aのニーズが非常に高まってきました。

税理士法人にいながら事業承継に関わる仕事をしていましたが、事業承継/M&Aの案件数が増えてきて、いくつかの問題が発生しました。

・事業承継/M&A支援の為に時間を確保できない

税理士の本来の法廷業務(税務申告)に時間をかなり取られていたことがあり、事業承継/M&A支援に時間を充てるのが厳しい状況でした。

事業承継/M&Aの案件は法廷業務の忙しさに関係なく発生します。確定申告の時期など税理士本来の業務が繫忙期の時期には、事業承継であればクライアント様に「今はちょっと厳しいです。」と、ある程度の融通を利かせて頂くことは可能ですが、M&Aとなるとそうもいきません。

その為、法廷業務と事業承継/M&A支援の両立が難しくなりました。

・クライアント様との関係性

税理士業界は非常にマーケットが狭く、特に地方ではほとんどの税理士法人が顔見知りです。

M&A支援の場合、当然売り手と買い手が存在します。

同じ税理士法人のクライアント様同士でのM&Aについてはスムーズに進みますが、例えば、売り手がクライアント様で買い手が別の税理士法人の事業者様だと、買い手側の税理士法人様から「うちの庭を荒さんでくれ。」となってしまいます。

[事業承継/M&A支援を充実させる為に]

税理士業界から完全に出てしまえば税理士法人の看板を背負っていない為、クライアント様に関係なくM&A支援をすることができるようになります。

また、私自身税理士のライセンスを所持していないため税理士業務自体を請け負うことができないわけです。

そのようなことがあり、現在事業承継及びM&A支援をメインに活動しています。

また、事業承継/M&A自体はニーズが高まっているものの、それを主業務とする事業者様がなかなか現れなかったのもきっかけのひとつです。

日本を代表するM&A支援を行う法人様だと、地方の中小企業にとってはどうしても手数料が高額という印象になってしまいます。
M&A支援に従事される事業者様が地方から現れるのを税理士法人にいながら待っていたのですが、気づいたら私がプレイヤーになるしかないというのもあり、設立に至りました。

地方ならではのクライアント様との関係性

Q)M&Aや事業承継を支援されたなかで、思い入れ深い案件や高濱様ならではのアプローチをされた案件はありましたか?

当然それぞれに様々なーストーリーはありますが、長くお付き合いしているクライアント様の支援は特に思い入れ深いです。

税理士法人時代からお付き合いさせて頂いていたクライアント様で、民事再生となってしまった際にお手伝いさせて頂き、その後いざ事業承継をどうしようかとなり、息子様も別でお仕事されており、最終的にM&Aとなりました。

やはり十数年お付き合いのあるお客様は思い入れがあります。

Q)長崎県だと地場の会社としてM&Aの支援をされている事業者が少ないイメージですが、これから長崎の中でどういう展開をしていきたいですか?

長崎という地方とはいえ、事業承継やM&Aの市場規模はこれから大きくなると思っています。
その中で本来はもっとプレイヤー(支援事業者)がいるべきで、県内全域で10社程度の事業者がいてもおかしくないマーケットだと考えております。

結果的には県内で私がスターターとなってしまいましたが、もっと他の事業者様にも参入して頂き、マーケットの市場サイズを上げていきたいと考えております。

事業承継で悩んでいる方に手軽にご相談頂き、地域に必要な事業者がなくならないようなロケーションを創造していきたいと考えております。

特技・人なりが存分に出た髙濵様ならではの支援

Q)事業承継/M&Aを含む経営支援の中で、髙濵様の強みはございますか?

やはり税理士法人出身なので、財務状況を見ればクライアント様が現在どのような状況なのかを大体把握することができ、財務状況に応じたアドバイスができます。

例えば、事業承継税制や中小企業庁の政策、補助金の活用について、クライアント様それぞれに適切なアドバイスができると考えております。

クライアント様によって、その政策や補助金への向き不向きがある為、財務状況などのロケーションから「是非活用しましょう!」とオススメする時もあれば「今回はやめておきましょう。」と助言する時もあります。

クライアント様毎に正しい判断で最適な助言をするよう取り組んでいます。

Q)セミナーに登壇される機会も多くおありですか?

はい。市や商工会議所からご依頼頂き定期的に講師として登壇しております。

例えば、長崎新聞社様主催のセミナーにて「個人向けの相続問題について」、事業承継に関連した内容のセミナーで300人程の60代以上のシニア世代に向けて登壇しました。

また、中小企業大学校での講師活動もレギュラーで勤めております。

Q)地域(長崎)ならではの支援したお話をお伺いできますか?

M&Aとか会計業界の専門用語をまず日本語に訳して、更にそれを方言に訳す。この伝言作業が地方ならではと思います。

現在は地方で事業をしていますが、もともと東京で働いていたこともあり、M&Aの最先端のロケーション(株価の算定など)を知っています。
その中で日本語(専門用語)を長崎の方言に訳して分かりやすく伝えるように意識しており、地域の方から「なるほど、よくわかりました。」と評価を頂くことがあります。

英語(アルファベット)からそのまま書き換えたカタカナが分からない方も多いです。

例えば、due diligenceについて、「due diligence」や「DD」と書かれても地方では分かる方も少なく、また「”デューデリ”と言うんですよ。」と伝えても、「デューデリって何?」となってしまいます。

そんな時は、

「デューデリジェンスの略ですよ。
買い手が御社についてどういう会社かを知りたいので、税務調査と違い、それにより税額を払うようなことにはなりませんが、会社の概要や財務状況、従業員の労働環境などを確認する作業です。プロフィールを書くみたいなことですよ。」と、かみ砕いて伝えるようにしています。

株式会社経営支援センター
代表取締役 髙濵有志氏

東京の金融機関に勤めて、融資業務を担当する中で中小企業を支援する税理士の姿を見て、長崎県への引っ越しを機に税理士法人へ転職。

時代の流れとともに事業承継/M&A支援の業務が増えてきたが本来の税理士業務との両立が難しくなってきたこともあり、株式会社経営支援センターの設立を決意。
お客様の事業継続支援・事業承継支援を通じ地域社会に貢献する為に日々活動されています。