後継者不足は深刻ですが、後継者にとって本当に大変なのは事業承継を終えた後です。社会構造の変化によって会社を変えないと生き残れないにもかかわらず、後継者が思い通りに会社を変えるのは容易ではありません。社員の反発、先代の社長との衝突と社内で対立が生じるからです。

“起業の理由”と”社名の由来”

当社会保険労務士事務所のフェスティナレンテとは、ラテン語のことわざで『ゆっくり急げ』という意味です。時間は有限ですので、合理性を追求し無駄を省くのはとても大事なことです。しかし、合理性ばかりを追求するのにも問題があると思うのです。一見、遠回りに思えることの中にも大事なことがある。遠回りしたからこそ見える景色もあると思うのです。

当社会保険労務士事務所の業務は、会社が抱える人事労務の課題解決コンサルティングです。労働時間や休日、入社・退職時の問題、残業代・賃金・退職金といった人件費の問題等を就業規則の整備をはじめとした手段で解決します。これらは、対応を誤るとトラブルに発展しやすい問題です。トラブルなど初めから生じない方が良いのかもしれません。しかし、その経験は、全くの無駄ではないはずです。問題を乗り越えた後には、確実に、強固な組織になっているはずです。当社会保険労務士事務所と一緒に問題を解決した暁には、「遠回りしたと思ったけど、却って良かった」と思っていただけるような仕事をしたい。そのように考えています。​そういう思いを込めた事務所名です。

 

事業スタートの背景

弊所は、社会保険労務士事務所ですが、開業当初から社会保険や年金の業務は行っておらず、人事労務の問題に特化した事務所としてスタートしました。開業13年目に入っておりますが、その姿勢は一貫しています。具体的には、労働時間・休日、及び賃金・退職金・残業代といった労働条件の問題、並びに社員が守るルールの整備(就業規則)が業務の中心です。

弊所の特徴として、開業以来ベンチャー企業からの業務の依頼は少ないです。クライアント企業の設立年数については、設立40年以上の会社が3割を超えます(設立30年以上の会社まで広げると50%を超えます)。必然的に、後継者の方が会社を継ぐ際の社内制度の整備、及び、会社を継いだ後の制度変更のご相談が多く来るようになりました。

 

ご支援内容の詳細

会社を継ぐ際、又は、会社を継いだ後には、退職金・賃金等の労働条件、及び社員が守るべきルール等の制度の見直しが必要になってきます。全てが今まで通りという会社は少なく、何らかの見直しが生じます。経営者が変わるのですから、当然、後継者の方の方針に沿った内容に変える必要が生じてきます。その支援を行っています。

会社を継いだ後継者の方からのご相談が一番多いですが、会社を譲るので諸々を整備しておきたいという(先代)社長からのご相談も多いです。

後継者の方は、会社を守っていくためにも社員が守るルール(就業規則)を明確にしたいとお考えの方が多いですが、そのような内容については得意です。会社には指揮命令権があります。会社が作成した規則に従わない社員には懲戒処分とすることも可能です。しかし、社員に自社的に規則を守ってもらう就業規則研修も提供しています。特に、残業(代)の問題が専門分野です。残業代の問題は92.3%の企業で何らかの効果的な改善策の立案実績があります(2020年2月末日時点でのお客様アンケートに基づきます)。
業種・企業規模・社風に沿った内容のご提案ができます。近時は、テレワークが普及して働き方が変わりましたので、評価制度のご相談も多いです。テレワークと評価制度の見直しはセットです。

得意とすること

当社会保険労務士事務所事務所の中心業務は先ほどの通り、就業規則・賃金制度等の人事労務の制度設計なのですが、後継者の方が会社を変えるのは容易ではありません。賃金制度1つ変えようとしても、社内の激しい反対を受けることがあります。社員の激しい反発、そして、親族間の相続の場合には先代の社長との衝突がおきることもあります。
しかし、社内の人間関係の問題に焦点を当てたサポートをする専門家は少ないようです。弊所では、単に、人事労務の制度の変更のご相談だけ受けることは少なく、「先代の社長との意見の衝突」や「会社を支えてきた社員や役員との関係」(つまり、社内の人間関係)についても、非常に多くの相談を受けてまいりました。実際、クライアント企業の二代目社長の7割から人間関係のご相談を受けています。

そこで、会社を継いだ(又はこれから継ぐ)二代目社長が社内制度を変える際に、社内で対立構造を生じさせることなく、スムーズに制度を変更することを得意としています。ファシリテーション・組織活性の手法を使って、先代の社長にも社員にも『二代目社長の立場に立ってもらう』ことで問題を解決する手法をご提供しています。この手法にご興味のある方は、電子書籍を出版しておりますので、一度、お読みいただければと思います。

『二代目社長のための社内人間関係の教科書:社内の対立構造を解消してスムーズに会社を変える方法』

https://www.festinalentesroffice.com/campain-nidaime

 

今後支援されていく内容

社会の変化によって働き方自体が変わりました。これからは、今まで以上に、会社も変わっていかなければ会社の存続自体が危うい時代になりました。
しかし、社員と対立構造が生じてしまって、会社を変えられずにいる後継者の方は少なくありません。そこで、これからも、社内の人間関係を壊すことなく会社を変えていく際のサポートを行っていきたいと考えています。

また、現在は、当社会保険労務士事務所が受けるご相談はほとんどが親族内での事業承継です。親族外での事業承継は非常に少ないです。しかし、親族外での承継のご相談を受けた際の問題にも他の専門家と連携して取り組んでいきたいと思っております。

経営者・後継者などへ伝えたいメッセージ

「会社を継いでくれる人(後継者)がいない」という悩みを本当によく聞きますが、そういう話を聞いた世間の人は「社長になれるのに、何故、会社を継ぎたいという人がいないのだろう?不思議な話だ」という感想をお持ちの方が多いようです。法律家であっても、事業承継にかかわっていないと、同じような感想を持つようです。恥ずかしい話ですが、以前の私も同様に思っておりました。しかし、今では、「会社を継いでくれる人がない」という悩みが理解できるようになりました。会社を継ぐということは本当に大変なことだと思うようになったからです。

多くの企業が赤字です。統計の数値を見るとビックリします。しかし、現実的な話として、赤字の会社を継いでくれる他人はなかなかいません。それなら、ご家族が会社を継ぐしかありません。しかし、大変な思いをしてきた親の会社を継ぎたいと思う人は少ないようです。当然、黒字の会社であっても会社を継げばリスクが伴います。ちょっとした社会情勢の変化で、全く状況が変わってしまいます。つい、先日まで人手不足で頭を悩ませていたのに、突如、社員に会社を休業してもらわなくてはならない状況になったりします。そういった社会情勢の変化に、経営者に非は全くありません。しかし、一切の言い訳は通用しません。本当に、会社経営は1年1年が勝負で大変です。

当然、社会情勢の変化に応じて、会社も変わっていかなければなりません。しかし、創業社長以上に、後継者の方が自分の思い通りに会社を変えるのは容易ではありません。社員の反発にあいます。無理に会社を変えようとすると、会社を支えていた社員が退社していきます。親族間の相続では、先代の社長との対立も起きます。中々、自分の思い通りにはなりません。そんな大変な状況なのに、後継者の方は、社員の皆さんのことをとても良く考えていらっしゃいます。

当たり前のことですが、経営者は借り入れをして会社を経営しています。そんな中、社員の皆さんにお給料を毎月支払い続けています。そして、何とか雇用を維持しようと頑張っています。本当に、大変だと思います。そんな大変な思いをして経営しているのに、どれだけ大変な思いをしているかが社員の皆さんに伝わっているでしょうか?「経営者の大変さが社員の皆さんに伝わっている会社はほとんどない」と私は感じます。
それが残念で仕方がありません。それが伝われば、後継者の方を見る社員の目が変わり、社長と社員が対立構造になってしまうことも少なくなると確信しています。その橋渡しをすることが私の使命だと考えています。

ご存じのように、ある会社が『創業年数100年以上200年以上』の企業数を国別に調査したそうです。日本はともにダントツで世界1位となったそうです。本当に、素晴らしいことだと思います。頑張っている全ての後継者(候補)の方の会社が後世へと続く会社へと発展することを祈願して日々仕事をしています。

 

最後まで、お読みいただき心より感謝いたします。ありがとうございました。

 

フェスティナレンテ社会保険労務士事務所
代表・特定社会保険労務士 小嶋裕司

昭和46年生まれ。中央大学商学部 商業貿易学科卒

※特定社会保険労務士とは、労使トラブルであっせん代理権・ADR代理権を付与された社会保険労務士のことをいいます。特定社会保険労務士になるには、社会保険労務士登録を受けている者が 厚生労働大臣が定める研修を修了し、そのうえで紛争解決手続代理業務試験に合格することが必要です。