「”事業承継”というこれからの新たなマーケットにおいて、税理士が支援している親族内承継の内容としては、株価算定や相続税対策、後継者育成などが挙げられますが、実際にこれら支援をできない税理士さんもいらっしゃいます。弊社は事業承継に関する支援を手厚くフォローすることが可能ですが、実際に支援を求めていらっしゃる経営者や後継者がどこにいるのか分からないという現状があります。」

渋谷の街で50年間、中小企業をサポートされている税理士法人ハガックスの代表社員、芳賀保則氏に伺いました。

渋谷で50年続く税理士事務所

――芳賀様のこれまでのご経歴と、税理士法人ハガックスの事業内容についてお聞かせください。

私は、もともと土木工学に関するエンジニアを10年程経験し、親の後を継ぐ形で税理士になりました。ITに関する知識はある程度有しておりましたが、税理士業界は全くの未知の業界でした。

親から会社を継いだ際に、従業員やお客様から信頼を獲得するのに非常に苦労しました。2代目ということで、もともと地盤のある状態でこんなにも大変なのに、ゼロから創業される方はどれほど大変なのだろうと感じ、まずは創業される方を助けたい、役に立ちたいという思いで創業支援に力を入れて取り組んでおります。

事業承継支援としては、先代から家族ぐるみでお付き合いさせて頂いているお客様が多いです。先代や、また奥様も含めての“思い”を伺いながら、”後継者”の立場や将来のビジョンを見据えつつ、先代と後継者でバランスを保ちバトンタッチしていく事をご支援させて頂いております。

 

――お客様が何を求めているのか。

お客様が求めているのは、単に申告書を作成するというような事ではなく、事業をうまく展開していきたいというのが本質的な要望で、かつその時と場で違う事を求めておられます。我々はお客様が求めていることに対して、タイムリーに最適な支援をする事を意識して取り組んでいます。記帳代行などの業務内容ひとつをとっても、各お客様向けにアレンジしてご支援させて頂いております。また、ITを導入していく事はもちろんですが、お客様によってはアナログで対応することもあります。

50年間事業を展開しているという信頼を大切にし、今の時代に合わせて進化しながらサービスを展開していこうと考えております。

先代(現会長)からの引継ぎ

――お父様から会社を継がれた際のお話をお聞きかせください。

事務所に入所した時は、まだ税理士資格を有していない状況でした。そのため、業務と税理士試験の勉強を並行して取り組んでおりました。実際に税理士の資格を取得した後も、はじめは従業員として給料を貰いながら働いておりました。その後は、事務所におりながら個人で独立した状態で業務に取り組み、少しずつ経営者としての経験を積み、最終的に税理法人化し事業承継致しました。

 

――サラリーマン時代から後を継ぐという意識は持っておられましたか?

サラリーマンをしていた当時は、後を継ぐことはほとんど考えておりませんでした。兄が会計士として監査法人に勤めていたので、兄が継ぐという流れで進んでおり、私自身はエンジニアとしてずっと働いていくつもりでいました。
しかし、兄が勤めていた監査法人で出世し、後を継がない雰囲気になり、また、私自身サラリーマンを10年やって、何かチャレンジしたいという思いもあったので入所することを決意しました。30歳を超えてから税理士の資格を取得して、35歳くらいで法人化し代表となりました。

 

税理士法人ハガックスの理念

――「ハガックス」という名称への思いはおありですか?

当時の従業員へアンケートを募り、漢字やカタカナ、英語表記など、あらゆる案を出して考えていたのですが、一番大切にしたかったのが、父の代から続く「信頼」です。
やはり“芳賀”だから頼んでくれるというお客様からの信頼がベースにあったので、「芳賀(ハガ)」という言葉を残したかったという思いがひとつと、また新たなことにチャレンジしたいという事で、漢字よりカタカナのほうがいいだろうという事、遊び心も踏まえて「ハガックス」と決めました。

 

――経営理念について

「日本の経営者にもう一つの力を」

私自身がコーチングについて習っていた頃に、経営理念をどうしようかと考えていました。自分の好きな単語や、自分の人生で最もモチベーションが高かった時期などを考え、自分が一番何をしたいのかを説いた時に「経営者へのサポート」だと思いました。経営者の方は孤独で、相談相手がいない状況が多いです。税理士は経営者の相談相手として関わることが多いので、相談に乗ってあげられることが私としての価値だと考え、理念を決めました。

 

後継者としての苦悩

――先代から後を継いだ際の苦悩についてお聞かせください。

後継者ということで地盤はあったものの、人との関係性に苦労しました。自分が小学生の時に、事務所でかくれんぼをしていた時から働かれている従業員の方もいらっしゃり、古参のメンバーのマネジメントに苦労しました。

例えば、会長(前代表)の時代から取り組んでいる業務を「もうその業務はやらなくていいですよ。」と伝えても、「これは会長の代から続いていますので。」と話を聞いてくれないことがありました。それで、カチンときてしまって、喧嘩みたいになってしまったことがあります。

そういった簡単な指揮命令がスムーズに通らない、更に、何かあれば会長へ話がいって、僕へ降りてきて、結局埒が明かないというような事もありました。結局、何か解決策を講じたわけではなく、新らたな従業員が入ったりと、時間と共に体系が少しずつ変化していき解決することができました。お客様の中にも同様の悩みをお持ちの方がいらっしゃるので、経験者として非常に共感できます。

 

――先代(現会長)との関係性はいかがですか?

会長は78歳になりましたが、長きに渡って会長を慕ってくれているお客様もおり、現在でも実務に励んでくれております。また、ChatworkやzoomといったITツールにも対応できており、感心しております。

親しく付き合いのある友人で、私と同時期に親子承継をされた税理士は、承継後の親御様との関係性に少し苦労されており、「領収書を親が切ってくれない」など、事業を承継しながらも、従業員税理士のような立ち位置になってしまっておりました。

一方で私は、従業員の給料などのあらゆる決定権を一任してくれており、成長という観点からも一任してくれた親に感謝しております。

 

――事業承継時に、会長様(前代表)とのやり取りで苦労されたことはございますか?

入所した際、ルール等を変えて良いと許可を貰っていました。大企業に勤めていたサラリーマン時代の経験から、変革に取り組みましたが、中小企業には当てはまらないことも多々あり、中小企業で働くという事に慣れるのに2~3年程かかりました。大企業に勤めるスタッフと中小企業に勤めるスタッフとのスキルレベルの違いを感じ、”どの程度の業務を任せるか”といった感覚を掴むのに苦労しました。

また、喧嘩をしてしまった場合、大企業だと2~3年で異動になりますが、中小企業だと10年経っても顔を合わせなければいけないので、上手く関係を築いていくのに気をつけました。

別業種で働いてから未経験で本業界へ入った経緯もあるので、何も分からない状況で、不明点は親へ質問するしか方法が無く、もちろん親へのリスペクトは忘れず、それでいて、ある程度の決定権を一任されており、上手く関係を築き、業務に取り組めました。

 

ハガックスの未来

――将来のビジョンを是非お聞かせください。

現在取り組んでいるサービスは、信頼や品質的にも高いレベルで取り組めていると感じています。今後拡大していき、社会への認知度の向上に取り組みたいと考えております。それが、現スタッフの魅力的な仕事作りや働きやすさに繋がると考えております。

また、自分の事務所に限らず、税理士会にて会務として「中小企業対策部」に参画しております。“相談技法”や“コーチング技法”に関する講師を担当しており、税理士業界がさらに”中小企業を支援するスキル”を付ける為に取り組んでいます。日本経済を支える中小企業を支えている税理士の、中小企業を支援するスキルを上げる事で、日本経済の活性化に貢献できればと考えています。

これまで税理士が担ってきた”申告業務”はどんどんAIに取って変われるようになっている為、税理士として今まで以上に“経営相談”などに注力する必要があります。また、クラウド型の会計ソフトなどITツールがどんどん進化してきているので、社長への情報提供やコーチングなどをしつつ、合わせてzoomなどの新しいツールをどんどん取り入れながら、支援していきます。

 

税理士法人ハガックス
代表社員(所長)税理士・中小企業診断士  芳賀 保則 氏

 

中小企業の経営者は、新しい道を切り開き、事業を進める強力な力をもっています。ただ経営者は概して孤独でもあります。そこでハガックスは独立や発展を目指す日本の経営者に対し「もう一つの力」を提供し、経営者を強力にサポートしていきます。
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