地域ぐるみで継業に取り組むためのプラットフォームで、後継者課題に対して地方自治体職員や事業者の方々、地域の方と共に事業の担い手を探すことができる「二ホン継業バンク」。
ご自身の継業の経験を活かしながら運営されている”ココホレジャパン株式会社“の浅井代表にお話を伺いました。

自身の経験をきっかけに始まった”継業バンク

――継業バンクをスタートしたきっかけをお聞かせください。

私が岡山県に移住した2013年にココホレジャパン株式会社を設立致しました。主に広告業・制作プロダクションを業務としており、得意領域が“地方創生”や“SDGs”や”ソーシャルグッド“の領域です。

広告業に取り組む一方で、自社事業として、”ままかり”という岡山の代表的な魚をアンチョビにした「ままチョビ」という商品を製造・販売する水産加工業にも取り組んでいました。本事業については、”事業譲渡”をするつもりで立ち上げ、現在は”事業譲渡”も完了していますが、事業譲渡をした際に、実際に譲渡先を探すことに非常に苦労しました。

そんな経験をし、また、地方創生系の雑誌で継業特集を担当した際に、「継ぎ手が見つからないという問題は自分たちだけに限った話ではないんだ。」と気づき、実際に苦労した経験を活かして我々がこの問題に取り組まなければいけないと考え始めました。その答えとして辿り着いたのが”継業バンク”というサービスです。

契約手数料を頂こうとすると、売買価格の低い地域の小規模事業を扱われなかったり、高齢者の方はネットも上手く使えないという現状もあり、完全に地方の小規模事業者を救う事業として考えて作ったのが継業バンクです。

――現在は何団体にご活用頂いていますか?

サブスクリプションで運営しており、北海道三笠町、石川県七尾市、岐阜県郡上市、岡山県瀬戸内市、美作市にご開設頂いております。また、300人が会員しており、主に30~50代を中心に1次産業や飲食業、宿泊業、酒造を継ぎたいと希望されている方が多いです。

開設だけ実施してその後の運営が止まってしまわない様に、記事の作成や更新作業、集客等の広告などの業務を、我々の本業である広告のスキルを活かしながら、各団体様に代わって運営しています。開設頂いた団体様には、その地域で後継者を探したい事業者様へヒヤリングして頂き、ヒヤリング内容を弊社へ共有して頂きます。その後、我々が実際に記事の執筆や集客に取り組みます。

 

地域の方々と共に”継業バンク“を運営する

――各団体様が実際に継業バンクをご利用頂いく上での決めてはございますか?

ケースバイケースですが、現在は「継業と移住のマッチング」が最も多いニーズです。事業承継は基本的に地域内で、またオフラインに実施されることが多いかと思いますが、実際に継業バンクをご利用頂いている団体様やその部署は、”街づくり””地域活性化””移住”というようなセクションであることが多いです。
地域の将来の担い手を地域外から呼び込みたいという思惑と本サービスがマッチしていると感じています。

 

――継業バンクを実際に利用する際の手順を教えてください。

開設から記事掲載までの流れとして、まずは開設される団体との利用契約を締結し、その後、各地域や団体の中で掲載したい事業者様からお申し込み頂いています。事業承継や事業譲渡の情報は重要事項ですので、内容に誤りがないことや、秘密保持に関する契約を書面で取り交わさせて頂いています。

最初は手続きがいくつか発生するので、記事の掲載に2週間~1ヶ月程かかりますが、その後は掲載したい事業者様がいらっしゃれば、記事の構成作りから作成まで1週間程度でスピード感を持って取り組むことが可能です。記事の内容は、継業バンクで用意しているヒヤリングシートを基に情報し作成しています。

現在は記事の件数自体が少ないということもありますので、今後どんどん増やしていければと考えております。

――事業者様のインタビューについて。

インタビュー自体は、各地方自治体や団体のスタッフにヒヤリングシートをお渡ししてヒヤリングして頂いています。その内容や写真を基に我々が記事に起こしています。そのため、ヒヤリングで得られた情報量によって記事の内容の濃さが変わってきます。

様々な地方自治体や団体に広がるようなソリューション創りを意識しています。また、自治体や団体の職員の方が直接事業者様へインタビューへ訪れることも重要だと考えています。地域の職員が、事業を畳もうとしている事業者に「未来に残していきましょう。」と伝える事がとても大切で、事業者様にとってもそれがうれしい事だからです。自治体や団体と継業バンクが協業することが、地域の事業者様にとっても信頼に繋がっています。

なぜ”継業バンク“が選ばれるのか

――地方銀行様でも”継業バンク”を開設することは可能ですか?

はい、地方銀行様にも是非開設していただきたいのですが、現状開設して頂けていないのが現状です。地銀様の考え方として、M&Aや継業支援時の報酬ありきで支援を考えられている印象です。地方を活性化させ、長期的な利益を生む為にも是非とも継業支援に注力して頂きたいと考えています。

とはいえ、地方全体の事業者様への誘致を考えると、最も良い手段は、やはり自治体の方に継業バンクを開設して頂く事が最もスムーズであると考えています。その際に、資金繰りで地方銀行様にサポートして貰ったり、運営や経営であれば商工会を頼ったりと、地域全体で継業に取り組むことで結果が出てくるのではないかと考えています。

 

――実際に”継業バンク”への反響はいかがですか?

問い合わせは日々驚くほど頂いております。M&A業界では買い手がたくさんいらっしゃる印象ですが、継業においても同じことが言え、継ぎたい人がたくさんいらっしゃいます。内容にもよりますが、農業で1案件に10件ほどお問い合わせを頂いたりもします。

継業の特徴としては、M&Aのように資金があって買収したいというよりは、個人として小規模で生業を継ぎたいという思いの方が多いです。事業を継ぎたい方は多くいるのに、高齢者の事業者様は「継ぎたい人なんていない」と思い込んでしまい、継ぎ手を探していないというのが一番の問題です。逆に、探しさえすれば応募は来るのでもったいないと思っています。そういった事業者様を掘り起こしていくことも重要だと考えています。

 

――継業バンクの強みはございますか?

まず実績として、岡山県にある川魚の養殖・販売、遊漁施設の運営を行っている有限会社様の事業譲渡を締結したり、石川県でシイタケの生産・販売を行っている個人事業主様の弟子を見つけたという実績がございます。

事業承継において、60~70歳という年齢層が非常に重要だと捉えています。事業承継やM&Aにおける企業の現状について、後継者が親族内にいないのか、または社内にいないのか、または外部から継ぎ手を探してこなければいけないのか、などを考える必要がありますが、現状として、M&Aで企業を売却することによる利益が大きすぎて、売却することが目的となってしまっていると感じています。
経済合理性が働いている都市部では良いと思いますが、仲介利益が望めない地方の小規模事業者様に同様の考え方ではなく、繋いでいくということが最も重要であるということをしっかり伝えたいと考えています。

継業バンクは、成約手数料を頂いていない点や、ネットが使えなくてもご利用頂けるプラットフォームであり、特に地方の方へ向けた開発をしております。継業バンクが取り組んでいる”事業譲渡”の観点はM&Aとは全く違い、地域の方が事業を後世に残していくために利用できるプラットフォームだということを是非ご理解頂きたいです。

また、実際には下記の様なサービスがあり、DMを配信して周知したり、アクセス解析をして現状の成果を把握したりと、目に見える形で継続しやすい仕組みとなっています。
様々なサービスがありますが、ネットワーク会議など、まだまだ活動が活性化されていないサービスもあるので、どんどん改善させていっています。

1.初期費用なしで、地方自治体独自のオンライン継業プラットフォームを開設
2.記事作成、HPの更新(本数/回数無制限
3.専用管理ページ(問い合わせ/申し込み管理、アクセス解析)
4.DM配信個別アプローチなど、会員情報の活用
5.地域啓発用チラシ
6.継業の関するガイドラインの提供(事業価値の簡易査定シートなど)
7.サマリーレポート(週1回)
8.継業ネットワーク会議(他の継業バンクとの情報交換を月1回)

 

継業バンク“からのメッセージ

――自治体や各団体様へのメッセージをお願い致します。

2025年に大廃業時代がくると言われています。我々が抱いている感覚としては、今から5年後へ向けて取り組むべき課題であり、これからは継業無くして地方創生はありえないと考えています。地域全体で、”自分事”として考えて頂き、継業にトライして頂きたいです。

継業バンクを開設することで「やらなければいけない事(タスク)」がはっきりすると思います。実際に、継業バンクを開設したことで取り組みや議論が進んだ団体様もいらっしゃいました。取り組まなければいけないと思いつつも行動に移せていない“継業”という問題に是非“継業バンク”でトライして頂きたいです。

 

ココホレジャパン株式会社
代表取締役社長 浅井 克俊 氏

広告代理店を経てタワーレコードに入社。ブランドマネジメント、セール・キャンペーン、タイアップ、ライブイベントなど、企画畑をひた歩む。これからのオルタナティブな可能性を地域に感じ、2012年に退社。縁もゆかりもなかった岡山に移住。ココホレジャパンを設立。

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