経営後継者の引継ぎ後の事業発展・事業変革を後押しする事業承継ラボにて、このコロナ禍において事業推進を行う上で、無視できないテーマ「リモートコミュニケーション」「マネジメント」のテーマについて、著者の経験を元に筆を進めたいと思う。

本コラムは、特に営業組織を中心とした場合の経験を元に、あくまで現状のよかったこと・課題点と合わせて、参考にして頂ければと思う。

2020年4月より複数拠点の営業所の管理、マネジメントを行った。

当然、コロナによって4月以降も遠隔マネジメントが中心になり、会いにいくことができない状況だったため、一番遠い札幌営業所のメンバーとは9月に初対面という形になった。

また、コロナの状況下とはいえ、営業組織を管理するという立場であるため、業績を上向きに向けることは必須項目である。そして、若手中心の組織であったこと。また拠点によっては、一人で拠点を運営しているケースもあり、心のケアを行うことが必須事項であった。

・業績を最大限上向きにできる組織作り

・若手中心の組織

・拠点メンバーが少数であること

メンバーとのコミュニケーションを考えるにあたり、

常日頃顧客とのコミュニケーションにおいても特にスタッフに伝えていることが

コミュニケーションの優先度は

コミュニケーション頻度

コミュニケーションボリューム

コミュニケーションクオリティ

である。

上記の優先順位にて、なるべく顧客と向き合う優先度をあげることを徹底させている。

同時に、クオリティのチェックは経験値が高いマネジメントチームがチェックを行うことで、日々スタッフがクオリティを向上させられるのではないかと期待している。

そこで、組織を運営するにあたって、大きく3つの施策を実行した。

意思決定スピードの向上

情報の透明性・オープン化

マネジメント層の横断プロジェクト化

上記を行った。

1.意思決定スピードの向上

まず、コロナ禍において、営業活動自体の変化・顧客のコンディションの変化が日々変化する。そこで、デイリーで朝一にマネジメント層との会議を30分」実施した。主に、論点は3つ。

協議事項

依頼事項

共有事項

という形で、現状の組織の課題点を協議し、拠点横断で実行できる内容に対して、依頼を行う。また、業績やスタッフのコンディションを日々チェックを行った。

組織を束ねる経営としては、いち早く局面を判断せざる追えない状況下で、正しい情報を吸い上げ、判断を下すことが重要である。

数名のマネジメントメンバーは、デイリーで実施することで日々顧客とのコミュニケーション・メンバーとのコミュニケーションを上げなければならない状況を作り、組織に反映させることができる局面を作った。

マネジメント層によっては、情報を収集しなければならないアンテナを高く持つことができる様に変化されていった。

また、顧客のコンディションに変化があった際にも、類似エリア・類似顧客への対策案が共有されるため、わざわざ吸い上げて展開するというコストも削減させることができた。

これが、マネジメント層の意識を変えることと、業務遂行においての判断スピードを早めることができたと強く感じている。

この方法は、以前の上司が10年前から実施していたが、よりコロナ禍においては、効果を発揮したと感じられる。

もちろん、共有事項を日々行うことで、伺うことができない拠点のコロナの緊張度というものも吸い上げることができたと考えている。

2.情報の透明性・オープン化

元々、クローズドコミュニケーションが不要だと特に感じていたが、今回のコロナ禍では特に感じることが多かった。

上記の通り、対策や施策などを各々で指示することでコミュニケーションコストが増えてしまう。特にコロナ禍では、類似した事案や提供すべき情報が増えたため、より透明性を持ったコミュニケーションを行う様に指示を出した。

まず、TOのやりとりは、

「給与に関して」

「離退職に関して」

「心的ストレスに関して」

この3つ以外は受け付けず、それ以外は全て全員が入っている環境でのやりとりを行う様に徹底をした。他拠点の組織運営において、上記の様な施策を行うことで誰が発信し、誰が発信できてないかが可視化され、浮き彫りになる。それにより、リモート監視を常につないでいなくても、稼働状況がそれなりに把握できるというメリットがあった。

実際に、質問などをした上で、レスポンススピードなどで、業務過多かどうかもそれなりに把握ができたというメリットがある。

透明性を持たせるために、コミュニケーションツールは2つ

メール(メーリングリスト)

チャットツール

上記2つを用いて実施をした。

メール(メーリングリスト)は全メンバーが入ることで、顧客に送付しているメールの数を裏でモニタリングすることで、リモート下でのサボり状況を把握することができる。またチャットツールは、オープンな環境でのコミュニケーションに終始することで、スタッフの情報取得のボリュームを一気に上げた。

一部、過剰な情報量になっていた部分があると理解はしているが、インプットのスピードが向上したスタッフも多く見られた。

チャットツールに関しては、上記のオープンコミュニケーションを軸にした場合、Slackを推奨したいと思う。

チャットワークは、ルーム単位で投稿に対してのコメントが、完全な時系列になってしまうため、見落としや、ルーム内でのやりとりに対して、ディスカッションがしづらいという点がある。

Slackの場合、投稿したスレッド(要はテーマ)に対して返信を行うことができるためよりやりとりが埋もれにくい、且つどのテーマのやりとりかがわかるということが利点である。

3.マネジメント層の横断プロジェクト化

最後に、組織間のコミュニケーションボリュームを増やすために、マネジメント層にオーナーになってもらい、横断のプロジェクトを行った。これは、道半ばだったが、顧客の把握を行う上では有効な手段だった様に感じる。

組織の課題をマネジメント層の合宿で会話し、その課題を一つ一つに責任を持ってオーナーシップを持って、プロジェクト推進を行ってもらった。

マネジメント層の背中をみるスタッフがディレクションのクオリティなどをみて学ぶことを期待した施策であり、拠点間でのコミュニケーションを増やして欲しいことを目的としていたが、実際はそこまで綺麗な形で年末を迎えることはできなかった。

しかし、拠点間のコミュニケーションは少なからず増え、マネジメント層の顧客理解度は向上した様に感じる。

同時に、スタッフ層にまで組織の課題が伝わったことで、意識全体が向上した様に感じる。

9ヶ月実行してみて、おかげさまでコロナ禍において、業績においては昨年対比を上回るパフォーマンスを出すことができた、年末にやや引き締めが緩んだこと、コロナ第二波により地方にもより影響が出たことで、年末は苦しんだが一定の成果が出たと感じる。

まとめ

今回は、経験を元にオンラインコミュニケーションを中心とした際の、マネジメント方法をまとめてみた。振り返ってみると、マネジメント層の活躍が必要不可欠であり、コロナ禍を打開できる強いチームが重要である。

そして、デイリー会議で発信者が固定され、アンテナが高いマネージャーがより多くのアウトプットを行い、成長するケースが多いことも強く感じた。

まだまだ、上記施策でも課題は山積みであり、コロナがいつ終息するか見えない状況ではあるが、打開していかなければならない。