株式会社クラリスキャピタルのサポートで、ドローンレンタルサービス「ドロサツ!!」を運営されている株式会社 drone supply & controlが2020年末にM&Aを成約されました。売り主と買い主で良好な関係を築き、M&A成約後もお互いがサポートしながら引継ぎを行わっており、まさに「M&Aに成功した」と言っても過言ではありません。
そんな、売り主の米倉様と買い主の溝口様、そしてお二方の間に立ってサポートされたクラリスキャピタルの牧野様を交えた御三方へインタビューを行いました。
※本インタビューは前編・後編の2部構成となっています。後編では『ドロサツ!!』を運営する株式会社drone supply & controlを譲受された溝口様、また株式会社クラリスキャピタルの牧野様にお話を掲載しています。
M&Aによる経営者への道を選んだきっかけ
――過去にM&Aでご自身の会社を譲受されたご経験があると伺いました。
はい。私が27歳の時(2005年)に金融系システムの会社を創業し、それから約15年間経営しておりました。設立当初はIPOを目指しており、社会的にも「起業したら必然的にIPOを目指す」という流れが強く、当時はライブドアの堀江さんやサイバーエージェントの藤田さん、楽天の三木谷さんなどの本が書店にはたくさん並んでおり、非常に感銘・影響を受けていました。
月日が流れるにつれ様々な問題にも直面し、特にIT系の企業は技術者不足と言われており、採用が非常に厳しい状況でした。それでもIPOは頭の片隅ありましたが、そんな時にお付き合いのある会社様からAIやフィンテック(金融+テクノロジー)の事業領域にも取り組んでみないかというお話を頂きました。
そちらの会社様が上場企業だったこともあり、傘下に入ることで従業員の新たなキャリアパスにもなりますし、会社の成長戦略も大きく描けるのではないかという思いで、1年程悩みましたが、結果的に売却してexitという形を取りました。
――今回のM&Aで譲受する側として考えたきっかけもexitの経験が影響しているのですか?
はい。exit後はしばらく休息期間を取っていましたが、また自らの手でビジネスを始めようと考えていました。コロナウイルスの影響で活発に身動きを取ることができずに悩んでいたところ、クラリスキャピタル様とお会いする機会があり、今回の米倉様のお話をお聞きして、大変興味を持ちました。
それから、ゼロイチでビジネスをスタートするという考えからM&Aで経営者となる考え方に進んでいきました。
――ドローンレンタル事業のどのようなところにご興味を持たれたのですか?
元々ドローン業界に詳しくはありませんでした。ただ、幼少の頃から機械いじりやラジコンが好きで、大人になった今でも車やバイクが大好きです。それと合わせて、新聞やニュースでドローン産業が様々なジャンルで活躍しているのを目にしていましたので、是非とも後を引き継ぎ活躍したいと思いました。
M&Aへの取り組み
――M&Aでの買収を目指し、どのように取り組まれていたのですか?
私も米倉様と同様に複数のM&A仲介会社へお声がけし、企業を探していました。拝見していた企業様の中にはスタートアップの会社様もあれば、ご高齢で後継者不足の会社様もありましたが、選ぶ中で重視していた“今後の事業戦略・成長戦略をイメージできる会社”がなかなかありませんでした。
その折に、牧野様からドローン事業のお話を頂いて、これだ!と思いました。
――M&Aの取り組みで悩まれた点をお聞かせください。
デューデリジェンスをどこまで深堀りして取り組むかを悩みました。以前、自身の会社を売却した際にデューデリジェンスでとても苦労した経験があります。デューデリジェンスが非常に大変なことは以前から聞いていましたが、正にその通りでした。
デューデリジェンスを実施するにあたり、どこまで実施するべきかの判断と、実施するうえでのチーム構成をどうするか非常に悩みました。詳しい専門家も知っておらず、インターネットから人を探すことからスタートしました。そのため、デューデリジェンスのための土台を整えるのに1~2週間程度かかってしまいました。
しかし、実際に米倉様とデューデリジェンスを開始してからは、逆に私がお待たせしてしまう程とても素早く対応して頂き、スムーズに進めることができ安心して取り組むことができました。
――株式会社drone supply & controlを譲受しようと思ったきっかけをお聞かせください。
事業内容に成長の可能性を感じたことはもちろんですが、米倉様(売り主)の人柄にも魅力を感じたのが最大の決め手です。
米倉様はとても誠実な方で、合意後も真摯に私に寄り添って頂きました。また、少数ではありますが株を保有して頂いたことでスタッフの方々にも安心感を与えることができたと考えています。現在は引継ぎ作業を実施していますが、ご自身の会社もあり、お忙しいにも関わらず二人三脚で取り組んで頂いております。本当に良い方と巡り合うことができたと思います。
M&A成約後、会社の一員となるために
――M&A成約後、どのように業務に取り組まれていますか?
今月から実際に実務に入り、スタッフの方々と共に過ごしています。少しづつ信頼関係を築けていますが、もっともっと深く信頼し合わなければいけないと考えています。
また、何よりも業務を早く覚えなければなりません。我々はドローンのレンタルだけではなく、測量などの産業分野のコンサルティング業務も行っております。ドローンの知識のみならず、幅広い領域の知識が必要で、しっかり覚えていかなければいけません。現在修行中です。(笑)
――今後の戦略や取り組みについてお聞かせ下さい。
私が代表取締役に就任して、いきなりやり方を変えて変革に取り組もうとは全く考えていません。何よりも社員が動揺してしまいますし、それはやっていけないと思います。米倉様が創業されてからこれまでに、大変なご苦労があった会社です。まずその思いを私自身がしっかり汲んで、実現していく事がまずはじめの使命であると考えています。
それが実現できたうえで、新たな事業展開を考えていこうと思います。
これからM&Aを考えていらっしゃる経営者へ
――クラリスキャピタル様へ依頼しての感想をお聞かせください。
やはり、レスポンスが早く、そして親身になって対応して頂きました。
また、他社の仲介会社様は売り案件をひっきりなしに提案されていましたが、クラリスキャピタル様はそうではなく、私が興味を持った会社様に対して様々な情報を、またあらゆる観点から提供してくださり、短い期間で深く理解することができました。
的確なアドバイスをして頂き、更にスピード感も持ってご対応頂いたので、1ヶ月半~2ヶ月程度で成約することができたと考えています。
――最後にM&Aをお考えの経営者・後継者へのメッセージをお願い致します。
M&Aは単に”売り買い”のやりとりではないと感じています。やはり創業者様の”思い”を引き継がないと失敗してしまいます。譲渡企業の企業理念や、社長・従業員の方々の思いを引き継いでいくことが重要だと考えており、しっかり信頼関係を構築することに取り組んで頂きたく思います。
クラリスキャピタル 牧野様のご感想
――実際にご支援されたお2人のお話を聞いての感想をお聞かせください。
元々「ドロサツ!!」の事業は、新規事業として大手企業様にご興味を持って頂いていました。そんな折、溝口様のご希望をお伺いし、以前に売却されているご経験があり、だからこそ譲受した際には、“どのように会社を引き継いでいくか”のビジョンを持たれており、本件に興味を持って頂けそうだなという気がしたのでご紹介させて頂きました。
スケジュールもタイトでしたが、年末に譲受することができ、すっきりして年を越せてよかったなと思いました。
また、米倉様が仰っていた、弊社の営業スタイルがプッシュ型ではなくてプル型であるという事を聞いて「確かにそうだな」と思い、私も勉強になりました。
※米倉様が持たれている花束は、溝口様と奥様で米倉様をイメージして、お店にお伝えしお作りされたとのことです。(2-3回お店に通われて相談されたそうです。)おふたりの素晴らしい関係性が垣間見える一枚です。
売り手:米倉 暁 氏(写真左)
ドローンレンタルNo1ドロサツの運営等、ドローン関連事業を手掛けるスタートアップのfounder/元CEO。リクルート時代に副業で立ち上げ、2年半でexit。
現在はシリアルアントレプレナーとしてxR*Adtechスタートアップを立ち上げfounder/CEOとしてIPO目指す。
買い手:溝口 実 氏(写真右)
27歳の時(2005年)に金融系システムの会社を創業。約15年間の経営を経て、会社の未来を考えて売却を決意。
現在は株式会社drone supply & controlをM&Aにて譲受し、代表に就任。
株式会社クラリスキャピタル 代表取締役 / 牧野 安与(Ayo Makino)氏
2000年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。
意匠建築設計事務所やコンサルティング会社を経て、かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社にて約8年M&Aアドバイザリー業務に携わる。
かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社時代に共著『M&Aによる事業再生の実務』中央経済社
M&A成約案件実績一覧
https://clarisc.co.jp/performance/
M&Aランキング入り等の実績
https://clarisc.co.jp/ranking/