Kamakura Kazokuはスイスファミリーオフィスの家族会議手法を取り入れ、マインドフル体験とFPコーチングで「家族のCHO(chief happiness officer)」を目指している会社です。家族の幸せを第一に考え、「家族」という観点から中堅・中小企業の事業承継・M&Aを共に考えています。

Kamakura Kazoku」の由来

――社名の由来をお聞かせください。

社名「Kamakura Kazoku」の由来ですが、まず、長い歴史と文化に育まれ、”マインドンドフル・シティ鎌倉”、”鎌倉資本主義”という経済成長も大切だが、それだけを追い求めるのではなく、精神的な豊かさを追い求めていく事も大切だ。」という概念からヒントを得て、ここ鎌倉を選び、社名にも取り入れました。

また”Kazoku”という点ですが、ファミリービジネスにおけるスリーサークルという概念があります。

Kamakura Kazokuの「Kazoku」はスリーサークルの中の“家族(ファミリー)”という観点から会社経営を考えていくという意味を込めており、これが我々の全てであり存在意義です。

 

経営における「家族(ファミリー)」の重要性

――なぜ”家族(ファミリー)”という観点から会社経営をするという考えに至ったのですか?

はい。我々二人は横浜銀行でキャリアをスタートしました。その後、相続・事業承継専門のコンサル会社にて、ファミリービジネス・中堅・中小企業におけるM&A後のご家族の物質的豊かさと精神的豊かさをサポートしていました。また、承継前の家族会議、経営者同士が集まって行うファシリテーターを務めていたことがあります。
ファシリテーターをしていた際に、”家族(ファミリー)”というキーワードが非常に多く出てきており、ファミリービジネスにおいて「家族」が非常に重要であると感じました。

 

――”経営(ビジネス)”に重きを置いた企業活動

中堅・中小企業の経営者は「経営(ビジネス)」に重きを置いている傾向にあります。会社の経営理念を整え、また銀行や投資家から資金を融資してもらうための中長期的な経営計画の策定、社員や家族の生活を守るため、経営(ビジネス)に注力しなければいけないからです。

一方で、経営者は株主でもあり、例えば、資本金300万円の会社がM&Aをして3億円で売却できた際には企業価値が一気に跳ね上がります。そうなることも踏まえて事前にご子息へ譲渡する等の事業承継計画も策定しなければいけません。株主の観点に立って会社を見る必要あるわけです。※所有(オーナーシップ)

中堅・中小企業に多い家族経営の場合は、スリーサークルの“経営(ビジネス)”“所有(オーナーシップ)”という観点に加えて、“家族(ファミリー)”という観点からも会社を経営していくことが非常に重要で、そして、この3点にバランスよく取り組むことが最も幸福であることを、ファシリテーターを務めながら感じていました。

 

――”家族(ファミリー)”が蔑ろにされてしまう実状

ですが、M&Aをされたオーナー様とお会いすると、”経営(ビジネス)”と”所有(オーナーシップ)”に偏ってきてしまったため、家族(ファミリー)との関係を蔑ろにしてきてしまった方が多いです。時代的背景もあるかもしれませんが、昭和的な価値観で家族は後回し、会社や社員のために猛烈に働くという考えをお持ちの方が多いです。

結果、M&Aにて会社譲受後にいざ家族との時間を過ごそうとした時には既に遅く、家族から見放され、反乱が起きてしまいます。例えば、離婚してしまったり、ご家族との信頼関係が崩壊してしまっていたりです。

一般的なM&A仲介会社は、”経営(ビジネス)”や”所有(オーナーシップ)”という観点から入り、どれだけ高く売れるかをテーマに考えていると思いますが、我々は”家族(ファミリー)”という観点から事業承継・M&Aを考えています。

会社HP:https://k-kazoku.com/

 

「家族(ファミリー)」を重要視し、幸福度を上げる

――起業を決意したきっかけをお聞かせください。

スリーサークルにおける”家族(ファミリー)”が蔑ろにされてきた実状を実際のM&Aの現場で目の当たりにしてきたからです。
もちろん資本主義という世界において、”経営(ビジネス)”と”所有(オーナーシップ)”に偏ってしまうことは仕方ないことです。ところが、M&A後にいざ家族と時間が取れるようになった時に家族から反発を受けてしまう状況が多々ありました。

私の前職では、M&A後の資産を運用することや不動産を組み入れて相続対策をする等の支援をしていましたが、その対策も”経営(ビジネス)”と”所有(オーナーシップ)”に偏った対策でした。これでは家族の幸せに向けた本当のサポートになっていないと歯がゆい思いをしておりました。

 

――ご自身でも感じた”家族(ファミリー)”の大切さ

また、我々夫婦でも同様のことが発生しました。私が働き、妻にこども3人の子育てと親の介護を全て任せていました。お互いの意向がずれていってしまい、家族揃って同じ方向を向けない状況に陥っていました。仕事としてお客様の家族が幸せになるお手伝いをしておきながら、我々家族がどんどん不幸せになっている状況でした。

私自身は妻を含めた家族全員を幸せにするために働いているのに、働くために妻に育児・介護を任せた結果、気づいたらビジネスを強く意識してしまっており、役職を上げ年収を上げることにしか目がいっておらず、妻が疲弊していくのを見ていませんでした。

そして、昨年コロナウイルスでリモートワークとなり、私も妻の状況に気づくタイミングがありました。家族と向き合い、対話を積み重ねた結果、介護離職と夫婦起業と言う道を選択。現在は給料こそ少なくなったものの、生活のベースである家族が落ち着き、今は夫婦で助け合いながら仕事に集中できるようになり幸せ度は2倍3倍へと向上しました。

 

スイス式家族会議および家族憲章作成

――実際にどのようなご支援をされているのですか?

鎌倉で発展しているマインドフルネス(『今、この瞬間』を大切にする生き方)という考え方を活用し、また鎌倉の様々な事業者様と連携しながら、お客様と、そのご家族に幸せになってもらうためのサポートをします。家族関係を良好にし、心を整えたうえで、ビジネス(相続や事業承継など“会社”について)について考える、というお手伝いをしています。

具体的には、「スイス式家族会議」を実施するためのサポートをしており、家族会議運営と家族憲章策定のサポートをしています。また、税理士や弁護士などの専門家と連携し、ファミリービジネスのサポートも実施しています。

 

――「スイス式家族会議」について、具体的にはどのようなサポートをされていますか?

家族憲章の作成をお手伝いしています。家族憲章は作成までのプロセスが非常に大切です。

対話を重ねること、ネガティブな話をすることは肉体的にも精神的にもパワーが必要です。そこで我々第三者が「会社で経営理念を掲げ、会社を守っているように、家族の理念(家訓)も掲げ、家族を守りませんか?」と、提唱しサポートしています。

我々はM&Aをすることへの後押しも可能ですが、家族にとって、幸せなM&Aを成功させる為にも「そもそもM&Aをしても良いのか?」と、経営者やご家族と考える機会を設けるようにしています。家族の対話がない中で、M&Aを遂行してしまうとM&A後に問題が発生しかねないからです。

 

――貴社の強みをお聞かせください。

我々は、経営者とそのご家族のために、”本音”で語り合う家族会議のご提供が可能な点です。また、会社の今後の事業承継やM&Aの取り組みにおける各種専門家(税理士や弁護士等)とご家族が話をする際に”通訳”となれる点です。
事業承継・M&Aを税理士や弁護士などの専門家にサポートして貰うと、内容がとても難しく、家族の理解が追い付かずに置き去りになってしまうことも多いです。そんな時に、我々が橋渡しとなって、行われていること(事業承継・M&A)をしっかりご家族にも理解をして頂きます。

 

実際のご支援内容

――2020年12月に開業されてから、実際にご支援されている方もいらっしゃいますか?

はい。各方面よりご紹介を頂き、「鎌倉資本主義・家族を大切にする」という考え方に賛同頂き、家族関係が複雑になっている方のご支援をさせて頂いております。

我々の考え方と相性の良い方は、家族経営の同族企業様です。その中でも特に、(家族や仲間との時間を大切にする)20~30代の若い2代目・3代目に共感して頂き、口コミで我々のことを知って頂いている状況です。

 

――家族に関する”潜在的”な悩みには、どのようにアプローチをするのですか?

”家族憲章”や”家族会議”のニーズは潜在的ニーズです。そこをどのように広めていくか、多くの経営者に気づいて貰うか、まだまだトライアンドエラーの最中です。現在取り組んでいることとして、マインドフル体験を通して家族について考える機会を提供しています。

家族の中に抱えている方はいらっしゃると思います。例えば、「次男のほうが優秀で長男がうつ病気味になってしまっている。」など、各家族でその悩みは千差万別ですが、そのようなご家族にいきなり我々が入っていっても上手くいきません。

 

――ヨットを通じた「マインドフル体験」

我々の取り組みとして、まずはお客様と一緒に楽しむことから始めています。鎌倉にある企業と提携し、鎌倉や葉山の自然や文化を活かしてヨットやフィンランドサウナなどの体験をして頂き、まずはヨットやフィンランドサウナなどの体験をして頂き、まずは心身を豊かになってもらう→自然の中でのヨットやフィンランドサウナによる豊かな体験を通じ、まずは心身を整えていただくようにしています。

例えば、葉山で行うヨット体験の場合、チームで一人一人が役割を持って操縦しなければならないので、家族で取り組むこととして非常に相性が良いです。クルーズとヨットは対比されており、クルーザーは船長がいて、船長の指示に従って船を進めますが、ヨットは「帆を貼る人」「風を読む人」などそれぞれに役割があるので皆で協力しなければいけません。

まずは家族で楽しんで心身をリフレッシュして頂いてから、潜在的に眠る「家族の課題」と向き合える環境づくりをお手伝いしています。

 

――話し合いの結果、事業承継・M&Aに取り組むことになった際はどのようにサポートされるのですか?

はい。我々が直接事業承継支援やM&A仲介はしません。我々が前職などで培ってきた経験を活かし、お客様と税理士やM&A仲介会社との懸け橋になって、お客様にとって最適な支援会社をご紹介し、アドバイスなどを通してサポート致します。

【失敗したくない】事業継承を成功させる3つのポイント

 

――経営者へのメッセージをお願い致します。

最近は、会社における社外取締役を増やそうという傾向があります。同様に、家族にも幸せのために考えてくれる第三者がいても良いと思います。我々はCHO(chief happiness officer)という「家族の幸せ係」として、経営者ご自身とご家族が幸せになる為にサポートさせて頂きたく思います。コロナ禍での厳しい会社経営に加えて、事業承継にも悩まれる日本の経営者皆様。どうぞお気軽にご相談ください。

CHO(chief happiness officer)
Googleなど米シリコンバレーの先進企業が相次いで導入したことから、近年、CHOは新しいチーム運営のコンセプトとして注目を集めています

 

 

株式会社 Kamakura Kazoku

代表取締役CEO 関 尚子 氏

神奈川県出身。2004年明治大学政治経済学部卒業。同年横浜銀行入行。
綱島、日吉、本店営業部などに所属し、資産運用相談業務に10年携わる。
育児3人介護2人に向き合うため、退職。(詳細noteをご覧ください)
神奈川県の起業家支援プログラムHATSU鎌倉に選抜され、2020年12月夫婦で起業。

 

取締役CHO 関 清一郎 氏

広島県出身。2006年横浜国立大学経営学部卒業。同年横浜銀行入行。税理士法人山田&パートナーズ出向を経て、2016年青山財産ネットワークスに入社。日本M&Aセンターとの合弁会社事業承継ナビゲーターにて、M&A後の富裕層家族向け相談業務の責任者を務める。
育児3人介護2人に夫婦で向き合う覚悟を決め、2020年8月コロナ禍で退職。
神奈川県の起業家支援プログラムHATSU鎌倉に選抜され、2020年12月夫婦で起業。