家族のファシリテーションと女性経営者を支援|株式会社フェリタスジャパン

女性経営者として、90年続く家業の建設会社(株)丸山組を承継し、2年後に同業者への譲渡(M&A)をご経験された、株式会社フェリタスジャパンの丸山氏。女性経営者としての経験を活かし、また得意とするファシリテーターとして、家族会議のサポートや女性経営者のご支援をされている取り組みについて伺いました。

家業のM&Aと、新たなスタート

――家業のM&Aをご経験されたとのことですが、詳しく伺ってもよろしいですか。

私は、家業である建設会社「丸山組」を父から事業承継しました。当時、創業80年以上の会社で、私は4代目でした。地場で長年従事してきた建設会社ですので、日々目まぐるしく環境が変化していくことはありませんが、承継をするまでに父とは何度も口論し、実際に社内の改革にも取り組みました。

いざ、代表となった時、後は淡々と業務を遂行していけばよいという思い(安心感)が込み上げてきて、なんだか肩の荷が下りたように感じたのを覚えています。そうして、代表として過ごしている中で「私は10年後もこのまま社長の椅子に座り続けているのだろうか。」とふと考えると、なんだかしっくりきませんでした。

 

――世間では中小企業のM&Aがポピュラーになりつつあった。

経営者として「どんな会社にしたいか」というビジョンが持てない自分への違和感は、日に日に増していきました。世間ではちょうど、”中小企業のM&A”という言葉が聞かれるような流れもあり、私自身のプライベートの変化もあって、父と相談した結果、M&Aで譲渡するという決断にいたりました。
家業を継ぐまでは、「創業家の人間である私自身が会社を引き継いでいかなければいけない。」という使命感がありましたが、実際に継いでみると、「経営は得意な人がやればいい。」と思いました。幸いにも、良い会社様と巡り合うことができ、無事に譲渡することができました。

 

――フェリタスジャパンのスタート

M&Aでの譲渡が完了すると、セカンドステージについて考え始めました。組織に属することは嫌で会社設立を決めました。
私は人生を通して「幸せになりたい」という思いが強くあり、幸福感のある名前を社名にしたいと考えておりました。そこで、ラテン語の「フェリキタス(幸福)」をアレンジし、フェリタスジャパンと命名致しました。

会社HP:https://trustbuilder.jp/

 

経験と得意分野を活かした支援

家族会議のファシリテーター

――事業内容についてお聞かせください。

私はファシリテーションが大好きで得意だったので、ファシリテーターになろうと決めました。また、ただ漠然とファシリテーターと謳っても幅広いので、自分が深く理解していて、かつ他の人があまり分からないであろう、「同族企業におけるファミリーの経営会議(家族会議)」の場で、第三者として対話を後押ししたいと考えました。家族で本音で話し合えないという悩みは、必ずどこかに存在し、自分の経験を活かせると考えています。

 

女性経営者の支援

――女性経営者からのご相談

実際に活動を始めると、私自身が女性後継者としての経験があることも起因して、女性の後継者・経営者からの相談を受けることが多いです。

また、事業承継と女性の社会進出の双方を解決し、跡取り娘への支援を行う「跡取り娘.com」というプロジェクトを運営している「一般社団法人 日本跡取り娘共育協会」の運営パートナーも務めています。女性ならではの会社を継ぐことや起業することへの悩みは、なかなか共感できる相談相手がいません。女性経営者としての経験を活かし、私がご相談相手となって女性経営者をサポートしています。

 

――「女性ならではの悩み」はどのようなものがありますか?

女性は、悩みを自分だけで抱え込んでしまいがちです。また、まだ起こってもいないことを色々と考えてしまい、不安を感じてしまっている場合が多いです。そのような悩みにきちんと耳を傾け、理解し、考え方をアドバイスしながら、一歩前進するための後押しをしています。
これから起こるかもしれない事に悩まれている方は、しっかりと話を聞きアドバイスすれば「まだそこまで悩まなくても良いんだ。」と気づきます。会話をしながら、悩みの解決を後押ししています。

また、男女共通して言える、後継者という立場の方から頂く「親御様とどのようにコミュニケーションを取ればよいか?」「会社をどのように引っ張ればよいか?」といった悩みには、自身の経験を活かしながらサポートしています。

 

ファシリテーターとしてのサポート

――ファシリテーターとしてご支援された事例はございますか?

ご支援途中の案件ですが、地方で同族経営で会社を営んでいらっしゃる創業家をご支援させて頂いております。現代表の息子様は別の地に住んでおり、会社は継がない可能性が高い状況でした。しかし、ご両親の本心として、何らかの形で息子様に会社に関わってほしいという思いがありました。しかし、これまで家族で会社の将来について、しっかりと対話をする機会を設けられていませんでした。

会社の将来について明確にしなければ、家族だけでなく、働いている社員の方々も不安になってしまいます。そんなところに私がご支援させて頂き、月に1度、息子様が帰ってこられた際にファミリーミーティングを実施するようになりました。
会議を重ねる中で、息子様ご自身もしっかりと将来について考えて頂き、結果として、ご自身の仕事を続けながらご両親の会社も代表として継ぐと決意されました。

もし、私が関わっていなかったらどうなっていたかは分かりませんが、サポートを通して家族でしっかりと対話することができ、結果として会社の将来のご決断して頂けてとても良かったと思います。

 

――同族企業のファミリーがしっかりと対話をするために、ファシリテーターとしてどのような事に気をつけておられるのですか?

ポイントは2つあります。

まず、「誰にでもフェアに接する。」ということです。
例えば、社長であるお父様と若い息子様の会議をファシリテーションさせて頂く際、社長だからと言ってお父様ばかりに気を遣うのではなく、同じように息子様の意見を聞き、しっかりと対話ができるような問いかけをしています。

 

そして、「大事なことをしっかり問いかける。」ということです。

家族同士だと、「どう思っているのか?」「会社を継ぐのか?継がないのか?」と、肝になることや、本当に聞きたい事をはっきりと話ません。家族同士が直接聞きづらいことを、話し方や話すタイミングを考えながら私がしっかりと質問し、家族の対話が促進するようサポートしています。

 

これからの支援とメッセージ

――今後注力していきたいご支援内容はございますか?

現在は女性の後継者・起業家をご支援する機会が多いです。今後は、同族経営のファミリーミーティングに携わる機会も増やしていきたいです。

同族企業の創業家ファミリーのコミュニケーションについてのご相談を受ける機会は多いですが、実際に会議の場にお呼び頂くまでには至らないケースが多いです。ファシリテーターとしての価値をしっかりと体験してもらえるよう取り組んでいきたいと考えております。

 

――事業承継や経営で悩まれている後継者や経営者へメッセージをお願いします。

迷ったら是非チャレンジしてみて欲しいと思います。それが一生続くわけではないし、人生が終わるわけでは無いので、是非チャレンジして、それが終わってからまた次を考えて頂ければと思います。

 

 

株式会社フェリタスジャパン
代表取締役:丸山 祥子 氏

同族企業の経営と承継の経験から、ファミリービジネスと女性事業家のためのファシリテーターとして独立。「ファミリー/ビジネス/オーナーの間に生じる問題と感情に寄り添い、建設的な対話を促す第三者」のプロフェッショナル・ファシリテーター。

また、女性経営者の経営、メンタル面での支援を行いながら、コミュニティ化することで、経営者の成長へと寄与することを目的とした“跡取り娘.com”を運営している「一般社団法人日本跡取り娘共育協会」にて、パートナーも兼任されています。

事業承継ラボ

日本は大廃業時代に突入するとも言われ、 「事業承継」をいかにうまく行うか。そして、次の世代交代で新たなチャレンジを「IT」と「マーケティング」を活用して実施していく必要がある。 そんな、チャレンジングな強い日本企業の成長を支えて行きたいと考えています。 Facebook URL https://www.facebook.com/jigyoshokeilabo/ Twitter URL https://twitter.com/jigyoshokeilabo