「税理士業は究極のサービス業である。」と、お客様との”対話”を何よりも大切にしているエスペランサ税理士事務所
既存の顧問税理士と連携して、セカンドオピニオン形式でお客様が抱えている税に関する真の悩みを引き出し、向き合っている代表税理士の里 勇輝氏に伺いました。

お客様の真の悩みにより沿うために起業を決意

――貴社の社名の由来をお聞かせください。

「エスペランサ」とは、ポルトガル語で”希望”を意味しています。お客様の希望の光でありたいという思いでエスペランサ税理士事務所と命名しました。

なぜポルトガル語かというと、私の両親の出身や家系のルーツが鹿児島県の奄美大島にあります。鉄砲伝来の歴史がある種子島と距離が近いことから、当時、奄美大島にはポルトガル人がたくさんいたらしく、なんとなく私のルーツもポルトガルにあるのではないかと考えています。そんな背景からポルトガル語を選んでいます。

 

――事業をスタートした背景をお聞かせください。

前職で、相続や事業承継を得意とする都内の大手税理士法人に13年間勤めていました。横浜で拠点長を勤めており、そこで多くの相続や事業承継の案件に携わった経験が現在の事業のベースとなっています。

当時は、税理士という職業柄、相続や事業承継となるとどうしても「株価を引き下げ」や「組織再編をして相続税対策をする」といった節税指南に走ってしまいがちでした。しかし、「税理士としての相続や事業承継に対するサポートはこれだけではないのではないか?」という考えが日に日に強まっていき、独立を決意しました。

そのような背景から、現在はセカンドオピニオン型の「番頭コンサルティング」が主力サービスとなっています。こちらから一方的に提案をするのではなく、お客様が真に何を求めているのかを聞き出しながらお応えする、税に関する番頭として私をご活用頂きたいという思いから始まったサービスです。

会社HP:https://esperanca.pro/

 

セカンドオピニオン型の”番頭コンサルティング”

――”番頭コンサルティング”とはどのようなサービスですか?

「番頭コンサルティング」とは読んで字のごとく、お客様の番頭として働くことが大きなテーマです。社外CFO(チーフ・ファイナンシャル・オフィサー)と似たような形式となっています。

税金だけではなく、会社のお金回り全般をコンサルティングするのが特徴で、資産運用や事業計画書の作成、海外進出、事業縮小、資金繰り、相続、事業承継など、お金にまつわる全てのお困りごとをご支援するサービスです。

 

――従来の顧問税理士との違いは何ですか?

お客様が取り組まれた過去の取引を記帳することがメインである従来の会計顧問は、どちらかというと”会社の過去”に関わる支援です。一方、番頭コンサルティングはお客様がこれから会社の未来をどうしていきたいのか伺いながら、会社の未来のためにご支援させて頂く前向きな支援です。

また、セカンドオピニオン形式でのサポートとなっており、お客様がこれまでご依頼されてきた会計顧問の先生が答えられないような相談内容に対して我々がサポートをしております。

もちろん、従来の顧問の先生をないがしろにするわけでは無く、これまでのお客様との関りや実績を尊重して、共に並走しながらお客様の望む方向へ向けてご支援するのが番頭コンサルティングとしてのスタイルです。

 

――コンサルティング業務はこれまでに経験されていたのですか?

前職は税理士事務所であるものの会計顧問としての業務はさほどしておらず、相続や事業承継などの節税をメインとしたコンサルティング支援をしておりました。そこでの経験が現在のコンサルティングに活きています。

 

お客様の「悩み」を拾い上げる

――御社の強みをお聞かせください。

お客様と腹を割って話すことを大切にしており、対話からお客様の本音を引き出すための「人間性」が我々の強みです。税理士は専門職なので、優れた知識や経験があればそれで良しと考える方もいらっしゃいますが、専門職の前にサービス業です。

こちらからお客様へ押し付けるのではなく、お客様が悩んでいることに真摯に向き合い、本当はどこに向かっていきたいのかを腹を割って話し合いながら、そこへ向けてサポートすることが大切だと考えています。

それを実現する為には、お客様に悩みを打ち明けて頂かなければいけないので、人間性が非常に重要で、話を聞く姿勢でいることを大事にしています。私は、話すよりも聞く方が得意だと思うので、聞き上手という特性を活かしながら、ニーズを拾い上げるようにしています。

 

税理士は普段から教える立場であり、先生と言われがちですが、そこで自分が優れていると勘違いしてしまっている士業の方も少なくありません。お客様の抱えている悩みを勝手に決めつけてしまう方もいますが、お客様が抱えている悩みを聞かずして特定することはできません。しっかり、悩みを把握するためにも対話を重視しています。

 

――事業承継にはどのような支援をされていますか?

税理士という立場上、税の支出を抑えるという観点から親族内承継のサポートをする機会が多いです。

事業承継時にも、もちろん税の支出を抑えることも大事ですが、現経営者(先代)の想いや、後継者の想い、会社の財務状況や市況等を加味しながら会社を今後どうしていくべきかを共に考えながら支援しています。

最適解を見つけていくためにも、しっかりと対話することを意識しており、現経営者と後継者を交えて、会社の将来をどうしていきたいかを本音で対話することから取り組んでいます。

 

――税金だけではない”事業承継”の悩み

潤沢な資金があって悩みを抱えていないのであれば、本来の税理士としての税務・会計業務でしっかりと支援をしていくだけです。しかし、会社の将来について悩んでおられたり、後継者として幹部の方とのコミュニケーションに不安を抱えていたりと、お金や税では計れない悩みを抱えている場合が多々あります。

税理士という立場ではありながらも、お客様のそのような悩みにも共に考えサポートしており、実際にお客様から「それを望んでいたよ。」と、頼りにして頂いています。聞き上手という強みを活かして、ファシリテーターのような役割も担っております。

私は税理士ですから、もちろん税を安くしてほしいというご期待はあると思いますが、根本的な悩みはそこではないと日々感じております。

 

お金では計れない「思い」に寄り添った事例

――事業承継の支援において、里様の強みを活かしてご支援された事例はございますか?

事業承継のご支援をさせて頂いている案件があり、現経営者と後継者で「事業承継に対する考え」が違う状況にあるお客様のサポートをさせて頂いております。
2代目社長の奥様が3代目社長として経営されており、3代目は社長に就任されるまで経営のご経験が無く、社長就任後は非常に苦労され、それでも社長として会社のために尽力されてきました。

 

――家族でも当たり前に”意見”は違う。

現在は3代目がご年齢的にも勇退を考えはじめ、甥御様に4代目として会社を引き継ごうとしている状況にあります。3代目としては、これまで会社経営に尽力してきたという思いもあり、退職金などそれなりに報いてほしいという思いがあります。

一方、甥御様としてはこれからの会社を考えて、できるだけ退職金を抑え、株式譲渡資金も少なくして会社を譲ってほしいという思いがあり、また「それが一族としてあるべき姿ではないか。」と考えておられます。

 

――「想い」に寄り添いながら事業承継を進めていく。

確かに正論でいくと、これまで一族で経営されてきた会社をこれからも継続させ発展していくためにはできるだけ退職金などを抑えて後継者へ引き渡すのがあるべき姿かもしれません。

しかし、ここまで頑張ってきた3代目社長としては、「認めて欲しい」「報いてほしい」という気持ちがあります。私は現職の3代目社長側で番頭コンサルティングとしてサポートしています。3代目が抱えておられる「これまで会社を守ってきた苦労を認めてほしい。」という思いをしっかりと後継の方にお伝えし、橋渡しをすることに取り組んでいます。

 

会計顧問の先生は甥御様と同じ立場で、株価を極力下げて引き継いだ方が良いと考えておられます。現社長のみが孤立してしまっているような状況になっておりましたが、私がサポートさせて頂いてから、利害関係を調整することに現在取り組んでいます。

退職金や株の譲渡資金に伴って税の支出が発生するため、税理士としての私の本業ではありますが、どちらかというと税に対することではなく、利害関係を調整しながら、お互いが納得する形で会社を引き継いでいくことに取り組んでいます。事業承継のお金では計れない支援であり、まさに私が取り組みたい支援です。

 

親子関係であれば、「我が子のために。」というような思いで潔く身を引ける場合もありますが、今回の甥御様に引き継ぐよう場合、どうしても家族の中でも少し関係性の薄い状況で、家族とは言え分かり合うのが難しい状況もあります。

そのような事業承継において私が間に立ち、税に関する事だけでなく、互いの思いもしっかりとお聞きしたうえで双方が納得のいく支援をしたいと考えています。

 

両者の間を取り持つ立場として

――双方の懸け橋となるために気をつけていることはございますか?

私個人としての想いを込めないことを意識しています。あくまで、現経営者と後継者がどのような想いをお持ちかをしっかり理解するよう努め、両者の想いに沿うようにご支援しています。

「退職金がいくらほしくて、これからどのように生活していきたいのか?」「本当にお金だけがほしいのか?」「これからの会社との関わり方は?」お客様が考えている真の課題を引き出し、調整していくことに取り組んでいます。ニーズを引き出し、それを叶えてあげることが私の役割です。

現経営者と後継者が会話し難い内容に対して、私が間に入ることで本音を引き出しています。また、第三者である私から話すことで納得感も増すと考えています。

 

――今後、注力したいご支援内容はございますか?

現在取り組んでいる番頭コンサルティングについて、有益なコンサルティングサービスをお客様へ提供するためにはコンサルタントとしての人間性がとても重要です。そのため、今以上のことはやろうと思っておらず、私の目がしっかり届く範囲でお客様をサポートしたいと考えています。

お客様は既存の会計顧問へ相談できずに不安を抱えている場合が多々あります。お客様としては「資金繰りを相談したい。」「新事業に対するアドバイスが欲しい。」など、税以外のところでも様々な悩みがあります。お客様と対話をして、それら悩みにもしっかりとサポートをしていきたいと考えています。

そして、お客様の税の悩みを解決する「番頭コンサルティング」を更に深掘りしていきたいと考えています。

 

――お客様が顧問税理士に不安を抱えてしまう要因は何でしょうか?

要因として、お客様が税理士に求められていることが非常に大きいことが挙げられます。
税理士は、所得税や法人税、相続税など、税を通して企業活動の様々な点で関わっています。更に税制は毎年変わり、税理士は日々それら最新の情報をキャッチアップする必要があります。しかし、街の小さな税理士さんは日々情報をアップデートすることが難しい場合があります。そのため、お客様が質問をしてもお答えできない状況が生まれてしまっています。

お客様としても「聞いても分からないだろう。」と、諦めの要素もあり、また、先代社長の時代から関りのある大ベテランの顧問先生の場合は、意見を言えない関係性だったりもします。そんな場合に、私が第三者の税理士として、気軽に相談しやすい状況を作っています。

 

また、街の税理士事務所のように小規模事務所の場合、毎年変わる税制改正を網羅することは不可能だと思います。そのような税理士事務所をサポートするうえでも私の存在があります。日々の会計は既存の顧問の先生にお任せし、逆に、最新の情報は私がしっかりとキャッチアップしてサポートしていきます。

 

事業承継に悩まれている経営者・後継者へメッセージ

――事業承継に悩まれている経営者・後継者へメッセージをお願いします。

1人で悩まず、是非相談できる方を探して頂ければと思います。相続や事業承継は、利害関係もありますので、会社外の方へ相談されたほうが良いと思います。また、税の支出が発生する観点からも税理士にご相談頂くことが一番だと思います。

 

エスペランサ税理士事務所

代表税理士:里 勇輝 氏