優秀な銀行マンから高い志を胸にM&A支援者への道へ進まれ、起業後わずか半年で倍以上の規模へ成長を続けるペアキャピタル代表の田中 哲氏。
起業へ至った経緯や支援内容の強みをお伺いました。
――M&A事業を始めようとしたきっかけを教えてください。
三井住友銀行で法人営業をしていた当時は、上場企業などの大手先を担当することが花形とされていて、年商数億円規模の中小企業へ積極的にアプローチをしていませんでした。そのような中で、中小企業でも起こる第三者継承の難しさや現状を知るきっかけがあり、これから益々後継者不在問題が深刻になってくると感じました。銀行という看板があっても、会社を譲渡したいという想いは真に人間関係が構築されていなければ相談いただけません。自分だからこそ出来ることがあると思い日本M&Aセンターへ入社しました。しかし、本当に困っている方こそ大手M&A助言会社規定の手数料が払えずに断念されることが多い実状を目の当たりにし、そういう小規模の企業を手助けしたい。と思いました。
従業員20人未満の会社が約300万社あり、その多くが後継者がおらず困っている会社になります。そういう困った方に適切なアドバイスと支援がしたいとの思いがありました。
更にスモールM&Aはプラットフォームでやることが主流になってきている感じがありますがM&Aでは、『ビジネス』『リーガル』『ファイナンス』この3つを解決しないと一緒になった際にトラブルの原因になってしまいます。
特に直接交渉においては、慣れている買い手企業が優位になってしまい不慣れな売り手側が言いなりになってしまう事も多いため、M&Aの経験とリテラシーを持ち中立的な助言を行うアドバイザーの存在が必要だと感じました。
小規模でもとても優秀なノウハウをお持ちの会社は多く、M&Aを実施し相手企業のリソースを活用することで、安定的に事業を存続させ、シナジーを発揮し更なる発展を図ることが可能です。そういう会社に適切なM&A先をご紹介する必要性を感じ、お客様に最適な金額でクオリティーの高いサービスをご提供出来るという自信と構想が出来たので設立にいたりました。
現在国内で年間4,000件ほどしかM&Aが発生していませんが、一方で昨年でいうと約4万9千社が廃業しています。M&Aに対するイメージが悪いことや、そもそも自社がM&Aの対象にならないんじゃないかという先入観をお持ちの方が少なくないと思います。中小企業や零細企業が成功するM&A事例をどんどん作って広げていく事で、そういう方々にM&Aという選択肢が増える様にしていき、M&Aに対するイメージを「M&Aってすごく良いものなんだな」というようなポジティブなものに変えていくことを目標にして立ち上げたという側面もあります。
――ご支援内容や取り組みを教えてください。
譲渡・譲受を希望される方の間で助言を行うM&A仲介事業が主です。
但し、仲介事業は利益相反になる可能性があることが近年問題視されています。弊社は社内で売り手担当・買い手担当を分けて社内FAという体制で運営しておりますが、将来を見据えて各FAとのネットワークを拡大しFA体制を強固にしていこうと考えております。既に他社FA会社との成約実績もございます。
――御社の強みや力を入れている分野を教えてください。
お客様へ提供出来る強みとしては、何よりもスピードが最大の強みとなります。
この業界を良く知っていて理解しているからこそ発揮できるスピードとなっています。また、売り主の希望は『スピード』『金額』『相手企業のブランド』などのそれぞれ優先順位があると思います。その優先順位に合わせた売り主の要望に添った企業をご紹介することが出来ます。
例えば、弊社が得意とするIT業界の買い手企業においては約1,000社データベースに抱えており、密な情報共有を受けることができている為にニーズに合った鮮度の高い情報をご提供出来ることも強みとなります。
これは、同業他社と比べても高い水準を保っています。
また、それぞれのスタッフの経験やノウハウも強みとなりますが、それを仕組化する事によって分業化しています。それぞれが得意な分野で力を発揮出来るようにする事によってスピード感を持って、お客様のニーズにあった企業をご紹介することが出来ます。
そして、本当に困った方を助けたいという企業理念に則り、場合によっては業界最安値水準のお手数料でもご対応いたします。「ご相談頂いたら決してお断りしない」をモットーに、お客様の実情に合わせた柔軟な対応をしています。
――どの様な業種のお客様が多いでしょうか?
現在はIT関係の企業5割その他の業界が5割となります。
買い手となるIT企業から「こういう企業を探して欲しい」とご依頼いただくことが多く、市場としてもこれからますます大きくなる業種となるので、更にIT業界に力を入れていきたいと思っています。
というのも、ITとは関係なかった業種でもアナログ業態からデジタル化がどんどん必要になっていきます。その時にIT業界との橋渡しが出来ると思っておりますので、更に注力していきたいと思っております。
――どのエリアの企業様が多いのでしょうか?
都内の企業がほとんどになります。特に勢いのあるIT企業は、都内に集中していますので。
また、本社を恵比寿に構えたのも特に渋谷区、港区は勢いがあって、積極的にM&Aをしていきたいと考えているIT企業が多く、頻繁にコンタクトすることが可能な点からも恵比寿に決めた要因になります。
――M&Aを考えている方に向けてメッセージをお願いします。
まずは、悩まずにお気軽に相談して欲しいと思います。お気軽にと言うと語弊があるかもしれませんが。M&Aや売却というとネガティブなイメージが強く、「従業員や取引先が離れてしまうのではないか」という様な先入観があり、心配されている方が多いです。
しかし、実際の売り手企業を担当してきて多くのお客様から「思っていたM&Aと全然違った」や「これで心配がなくなった」などM&Aをした結果、良かったと仰っていただけるポジティブなことがいっぱいあります。変な先入観を持たずにまず色々な事例を聞いていただいて検討いただければと思います。