自分自身が後継者問題に直面し、日本経済の根幹である中小企業や零細企業の事業継承問題を憂い支援している株式会社ビジネスマーケット代表取締役社長 表 一剛氏。

地方の事業承継支援内容や実例も含めてお伺いしました。

――起業をしたきっかけを教えてください。

今のマッチングプラットフォームのビジネスを始める前は、ベンチャーのM&Aの買い手側をやっていました。その時に、M&Aの着手金や契約手数料、M&Aガイドラインで着目されつつある利益相反に当時、門外漢だったのもありかなり驚き、これが世間の持つM&Aのネガティブなイメージなんだと実感しました。更にその前に勤めていたソフトバンクにて、投資家対応の資料作成等をしていた際に『これからはM&Aを頻繁に行う様にしていかないと欧米諸国に太刀打ち出来ずに置いていかれてしまう』と危機感もありました。

なので、ネガティブなイメージ部分を何とか出来ないかと思ったのがきっかけのひとつです。

 

また、私は石川県出身なのですが、父が伝統工芸職人をしておりまして、当初は私も家業を継ぐものだと思っていたのですが、日本伝統工芸だけに関わらず中小企業や零細企業の仕事はかなり瀕していて、継ぎたくても仕事がなく継げないという現状があります。

そういう現状を目の当たりにして、日本の経済の99%を支えているのが中小企業や零細企業の経済を支える仕事がしたいと思っている中、先述したM&Aをアップデート出来ないかという思いと重なり、立ち上げることにしました。

https://bizma.jp/

 

――事業内容を教えてください。

大きく分けて2つありまして、一つは、【ビズマ】という事業承継の支援サービス運営になります。事業承継されたい売り手側の要望は企業によって様々です。しかし、プラットフォーム上は同一化して見えてしまいます。そこで、弊社は事前の情報共有や掲載後も定期的に状況確認をする等をして、案件の状況・情報を常に新鮮な状態にしています。無駄に掲載案件数を増やすのではなく、案件数は少なくても真面目に向き合える案件しか掲載しない様にして量より質の掲載方法にしています。

私個人の目標としては、『日本一掲載されにくいプラットフォーム』を目指しています。弊社のプラットフォームに掲載することが一種のステータスの様な本気の人たちを繋ぐことが出来るプラットフォームなれる様に運営しています。

 

もう一つは、地方自治体や金融機関向けに、事業承継・M&Aを推進する支援を行っています。現在、公表出来る支援例として、北海道札幌市の事業承継マッチングポータルサイトという情報発信サービスを構築、提供をオンライン支援として行っております。ただサイトを立ち上げて運営するだけではなく、セミナーを開催したり、アンケート調査を実施したりして、潜在的な事業承継ニーズを把握し、事業承継に興味や関心がある方に専門スタッフを派遣して、状況や要望などの詳細を把握してこちらも質の高い情報や鮮度の高い案件を提供する支援をしています。

https://www.city.sapporo.jp/

事業承継マッチングサイトトップ画

 

――マッチングプラットフォームで事業承継とよく出てきますが、M&Aではなく事業承継とされているのはなぜでしょうか?

現在、事業承継イコールM&Aのようなイメージになっていると思いますが、M&Aとは事業承継の形態の一つとなります。弊社は、プラットフォーム掲載の成約手数料をいただいていないので、事業オーナー様からのご相談に本当にニュートラルにお答えすることが出来ます。例えば、後継者の人材募集や販売パートナーの募集なども行っています。サイト内も『譲渡・譲受・その他』とタグを分けることによって「とにかく売りましょう」ではなく、事業承継に向けての第一歩を踏み出せる様な場を提供したいという思いから、事業承継士の免許を取得しております。様々な方面から事業オーナー様の抱える課題解決のお手伝いをして、将来的に事業オーナー様の大切な会社を任せてもらえる形を取りたいと思っています。その為、M&Aではなく事業承継としています。

 

――今まで御社のサービスを利用して上手く支援出来たと思う例を教えてください。

飲食店等で、すごくスピーディーに成約までいくことが出来、喜んでいただけたりと様々ありますが。特に印象的なのが、あるNPO法人で宿泊施設を運営・管理されている事務局長様がご年齢を危惧されて土地と建物を活用した事業承継が出来ないかとご相談受けました。事務局長様の後継者となる方をサイトで募集させていただき、良いご縁を結ぶことが出来たのですが、その後、NPO法人自体の理事も探して欲しいとお話を頂戴しました。まずは、入口となる人の採用等の別の課題を解決するお手伝いをして、事業承継等のより大きな課題に対するソリューションに繋がるという意味において、嬉しく思い良い支援が出来たと実感する案件でした。おそらく、この様な支援をするのは弊社だけかと思いますので、この様な案件に携われてこの仕事をしていて良かったと思える案件でした。

 

――今後はどの様なことに注力していかれたいですか?

事業承継には、様々な課題を抱えていますが、やはり地方の疲弊具合がかなりひどいものになっている実状があります。札幌市の様な支援を各地域で展開出来るようにしていきたいと思っています。また、声を上げらない潜在的に困っていらっしゃる事業オーナー様は多くいらっしゃると思います。そういった方たちにも相談するきっかけする為にも、地域限定版のSaaSを広めていき、地方での事業継承やM&Aの支援者になりたいという方が増えてきた際にきちんとご紹介出来る様に全国版のプラットフォームを進化させて行きたいと思っています。更に、支援者サイドにも事業承継ガイドラインを遵守した方々を育成していく事も大切なポイントとして取り組んでいきたいと思っています。

 

――御社の得意とされている事や強みを教えてください。

全国版でやっているプラットフォームをSaaS型で提供しているので、最短20日程度にて事業承継サイトを立ち上げる事が可能です。現在、高機能なサイトは多数存在していますが、実際に事業承継をする際にそこまで高機能なサイトにする必要がないことを経験から実感しました。そのことから必要最小限のプラットフォームを早期に立ち上げることを可能にしました。また、サイトを立ち上げる際、『地域の為の事業継承』のコンセプトの基、地元の様々な方々と連携し、今の事業承継をサスティナブルな事業として地域のアドバイザーの方たちとのネットワークを確立することも大事にしております。よりキレイなサイト作りも専門性の高いコンサルティングも大手事業承継企業には適いませんが、その両方を大手よりも費用感が手頃に提供出来ることも弊社の強みとなります。

 

――事業承継に悩まれる経営者の方たちや後継者候補の方たちへのメッセージをお願いします。

経営者の方たちには、最近はコロナの影響もあり、事業が逼迫しているとの声を多く耳にします。お忙しいなどの様々な理由があるとは思いますが、諦めて思考を停止せずに情報収集のアンテナを張り巡らせて色々な選択肢を模索してください。諦めてしまい廃業されてしまった方なども数多くいらっしゃいますが、どうか諦めずに考えていただき色々な選択肢を見つけて欲しいと思います。

後継者候補の方たちには、事業承継がゴールではなくスタートなんだということを良く理解して取り組んで欲しいと思います。譲り受けた後の難しさだったり、ビジネスとして前任の方築かれた取引先や顧客の維持も大変ですし、従業員の方の思いやモチベーションの維持も難しいこととなります。是非、譲り受けた後がスタートラインなんだという理解を深めて事業承継をしていただきたいと思います。

また、後継者とは少し違いますが、買い手企業の取り組みとしてスタータアップ支援と事業承継支援と分かれて行われていることがありますが、『ビジネスを始める』『ビジネスを繋ぐ』という意味ではそう遠くないものになります。どうしても事業承継はネガティブなイメージが強く持たれていて、選択肢に入らずに視野を狭めてしまっていると感じます。先入観で変に線引きをせず、既存のビジネスモデルとお客様がいるなかで始められる事業承継も選択肢に上げて欲しいと思います。

 

株式会社ビジネスマーケット

代表取締役社長:表 一剛 氏