株式会社サーチファンド・ジャパンと専任サーチャー契約をした大屋 貴史氏にサーチファンドの仕組からサーチャーとしての活動内容。そして事業承継のご支援を始めようと思われたきっかけ等いろいろとお伺いいたしました。

ーーーサーチャーを詳しく教えてください。

サーチファンドとは、「後継者指名型」とも呼ばれる、オーナー企業様から第三者へなされる事業承継の形態の1つです。一般的なプライベート・エクイティ・ファンドでは、実績のある運用会社が投資家からまとまった資金を預かったのち、複数の企業にM&A投資を行うのですが、サーチファンドでは、活動を行う主役は経営者を志す個人となり、引退をされるオーナー様や親族承継者がいらっしゃらないオーナー様等の候補企業を探すところから活動がスタートいたします。サーチ活動の結果、魅力的な企業が見つかったら投資家にプレゼンして資金を調達し、M&Aが実行できたら、自ら経営者として投資先企業の成長に汗を流します。サーチ活動が先にあることからサーチファンドと呼ばれております。

サーチファンド自体は40年程前にアメリカで誕生した仕組です。最近、日本でもサーチファンドが立ち上がっていまして、私は㈱サーチファンド・ジャパンというサーチャーを応援する事を専業とした企業体と2021年5月1日より正式契約して活動を始動しております。サーチャーとは、事業承継することを目指して専任で活動している人とご理解をいただければと思います。

株式会社サーチファンド・ジャパン

ーーー事業承継を支援するきっかけは?

大きく分けて2つあります。1つ目はかつて勤務していた㈱ミスミグループ本社という機械部品商社での経験です。かつて企業再生のプロフェッショナルとして活躍なさった三枝匡(さえぐさただし)さんが経営をなさっていたため、再生のフレームワークに則って経営されているミスミは、「一定期間勤めたら外に出て経営者を目指しなさい」と奨励する非常にユニークな企業でもありました。実際に挙げたらキリがない程、ミスミ出身で経営者になってらっしゃる方が上場・非上場含めて多くいらっしゃいます。この企業に務めたという経験もすごく大きかったと思います。

2つ目は、2021年のはじめまで勤めたフロンティア・マネジメント㈱での経験です。苦境に陥った企業の中に役員として経営参画し、約2年程の期間をかけてオーナー社長様の右腕として経営や事業を立て直す仕事をしておりました。そこで日本の各地域には素晴らしい企業がたくさんあること学びましたし、一方で経営に苦戦されている実態も垣間見ることが出来ました。こういった企業が元気になっていく仕組みや流れが日本全国に広まっていけば、これこそ日本社会に貢献出来る仕事になるだろうと考えるようになりました。ミスミとフロンティア・マネジメントという2つの恵まれた環境での経験を通して、もっと世の中に深くコミットして貢献できる仕事をしたいと思っていたときに出会ったのがサーチファンドでした。

 

ーーー活動内容を教えてください。

㈱サーチファンド・ジャパン経由で紹介頂く企業様や個人の伝手でご連絡を頂いた企業様について、成長のための施策や承継スキームについて検討したり、実際にオーナー様とお会いしてこちらの人物評価をして頂いたりということを繰り返しています。お話がうまく進むこともあれば、何らかの理由で途中で断念したりといろいろですが、各企業様との1対1の深いところでの会話をさせて頂いております。もちろん、実際の買収価額がどうかとか、承継後にどう経営を続けて行くかということも大事ですが、最も重要なのは私がオーナー様に認めて頂けるかどうか、その一点に尽きます。それこそが、後継者指名型のサーチファンドが他の事業承継と異なる点ですから。オーナー様とお会いするときは、変に気負ったり取り繕ったりせず、虚心坦懐に臨むようにしています。

 

ーーー大屋様の強みを教えてください。

企業再生の現場では、社長を含めた経営幹部が、自身の手と足を徹底的に動かして、もう一度ビジネスの回転を早く回すためのドライバーとなることが肝心です。私がやってきた仕事は、社員さんたちと一緒になって現場を駆けずり回る仕事であり、全社の業績をV字回復させることをゴールにやってきました。結果を出すためにはあらゆる手段を講じる泥臭さが必要です。その泥臭さと自身の手と足を動かす現場感が好きですし、自分に向いていると思っています。中小企業となりますと、社長室に座ってあれやこれや指示するだけでは会社は回りません。プレイヤーとして動きながらマネジメントにも徹することが出来る点が強みだと思っております。ミスミという事業会社での実務経験と、フロンティア・マネジメントでのオーナー様直下での経営経験という2つが土台になっています。

ーーー今後の目標は?

まずは、全国津々浦々にいらっしゃる事業承継をお考えのオーナー社長様にお会いして、その中から1社の承継を実行させて頂き、しっかりと経営に専念することです。お客様、お取引先様、何より従業員の皆さまから慕われる経営者を目指します。一方で、日本ではまだサーチファンドという名前も仕組みも浸透していないのが現状です。私一人が出来ることは僅かではありますが、サーチ活動を通してこの仕組みの素晴らしさを一人でも多くの方に知って頂き、いつか「サーチファンドとは何ですか?」と言う声が無くなるようになれば良いなと思います。そうなれば、未来のサーチャーさんにも貢献できるでしょうし、サーチファンドによる事業承継が1社でも多く実現されることが、日本経済の発展に寄与するだろうと信じてやっています。

 

ーーー事業承継を考えている方たちへメッセージ。

これまで日本における家業の承継は、親族内で行わることが大半だったと思います。しかし少子化などを背景に、後継者不在の企業では廃業を選択するケースも出て来ており、こうした事態はオーナー様だけでなく、社員の皆様、地域社会の関係者の皆様にとっても大変勿体ない現状だと思っています。そうした事態になる前に、サーチファンドでなくても結構ですので、第三者承継を選択肢の1つとして前向きにご検討頂き、「良い会社を後世に残していく」ことを優先して頂ければと思います。その中で、サーチファンドにご興味を持っていただき、「一度、自分の後継者候補の顔を見てみたい」とお考えいただけるオーナー様には、お気軽にご連絡頂ければありがたいです。サーチファンド・ジャパンのホームページからお問い合わせください。

またサーチャー候補の方に向けて、お若い方でも今現在も大企業でご活躍されているミドルの方も、地域企業を自分が継いでいきたいとお考えの方には、是非思い切って飛び込んでいただければと思います。

 

株式会社サーチファンド・ジャパン

専任サーチャー 大屋 貴史 氏