豊田通商、リクルート、ロングブラックパートナーズ。ご自身のこれまでの数多くの経験を存分に活用し、企業再生業、M&Aアドバイザリー業、社外CFO業、人材紹介業、プリンシパル投資業と様々なサービスを兼ね備えているT&INKキャピタル。

ターンアラウンド局面を中心とした事業会社の経営経験、財務(BS)、事業(PL)改善の知見を兼ね備え、これまでに亘り、多くのクライアントを支援されているT&INKキャピタルCEOの田中氏にインタビューを致しました。

ワンストップでサポートできる事業概要

――よろしくお願いします。まずは、起業されたきっかけがありましたらお聞かせ下さい。

大学を卒業してから社会人として複数の企業に勤め経験を積む過程で、マッキンゼーで活躍後、IBMの経営再建、カーライルのCEOになったルイスガースナー氏や、ミスミをグローバル企業に牽引された三枝匡氏の様な、プロの経営者になりたいという想いが漠然とありました。

自身の性格や人間性的にも、イチ従業員として働き続けキャリアを形成していくよりも、起業をして自身の責任と裁量の中で働き社会に貢献する方が働き方として向いていると感じ、起業を決意しました。

 

――現在はどのような事業をされているのですか?

当社の主な事業内容は、①企業再生のFAS業務(事業・財務DD)及びターンアラウンドマネジメント業務②CFO業務(IPO支援、経営参謀業務)③M&Aアドバイザリー業 ④プリンシパルでの自己投資業 ⑤人材紹介業を行っています。

自社の100%オーナーは私ですが、事業会社は現在3社のCFOを勤めています。

M&Aアドバイザリー業については、年間5~7件ほどのM&Aの案件を従事しています。再生局面でのセル側のアドバイザリーやクロスボーダーの案件が多くなっております。再生案件を入口として、債権者やクライアントと協議を重ねるのですが、中長期的に後継者が不在というケースもあり、斯様な中、M&Aや事業承継の案件として、支援をさせて頂きます。

M&A仲介企業の中には、会計、財務、ファイナンス、税務の知見やスキルを持ち合わせていない人材がM&A支援を行なっているケースも多いです。当社はその部分では圧倒的な差別化が出来ておりまして、M&Aの上場会社の費用感やサービス内容に不満をお持ちのクライアント様がお尋ねになられます。

 

――M&A業界に興味を持たれたきっかけはあったのですか?

総合商社に勤めていた際に北米の発電所のM&Aによる買収案件を担当したことがM&Aと初めて関りを持った出来事です。

電力のPPA等の様々な書類に目を通し、先方企業の概略やM&Aにおけるリスクなどを資料に纏め、社内外との懸け橋となりながら、組織としてM&Aを推し進めました。比較的ディールの規模は大きな案件でしたが、プロセスを含めてとても良い経験をさせて頂きました。

加えて、深入りしたM&A支援のスキルは、20代後半に在籍していた日本の事業再生支援の先駆けであるロングブラックパートナーズでの経験が大きく影響を与えました。当時は3年間に亘り、文字通り、仕事漬けの毎日でしたが、再生案件のDDや事業計画策定、モニタリング、PEファンド案件の事業、財務DDを通じて、私自身の成長に大きく寄与したと考えています。

 

会社HP:https://www.tandink.com/

 

M&Aの中でもまだまだ数は少ない事業DD

――M&A案件の中でも事業DDを依頼する企業は少ないと思います。事業DDとは具体的にどのようなものでしょうか?

事業DDのゴールは、調査対象企業の製品・サービスの一件及び一品当たりの利益をしっかりと算出し、企業のこれからについて分析・考察し、強い示唆を出すことです。
事業DDを依頼された依頼主が何を知りたいかを把握し、端的に分かり易く纏めることが最も大切です。加えて、PEファンドのDDは、対象会社の蓋然性を理解し、リスクケース、ベースケース、アップサイドケースを数字で出し、どう数字が動くのかを時にマーケティング領域のロジックを用いて算定していきます。

一般的なM&A支援企業やコンサルティングファームが行っている事業DDは単に企業概要や会社紹介となってしまっている、IM(企業概要書)も見受けられます。

対象企業の情報を細かく調べ尽くすことが重要では無く、依頼主が求めている事に対してシンプルに、そして最短で分かり易く纏め、示唆を出すことが最も重要であり、私が大切にしていることです。実際に他のコンサルティングファームが行った事業DDのクオリティが十分で無く、当社に再依頼を頂くケースもあります。

 

――ロングブラックパートナーズ時代の経験が大きいのですね。

ロングブラックパートナーズ時代に、再生案件を中心に約30社の事業及び財務DD、事業計画の策定を行ったことが経験となり、現在の自身の強みとなっています。また、事業会社に勤めていた経験があり、また現在会社を経営していることもあるので、対象企業の現場・経営の視点からよりリアルにDDを行うことが出来ます。

実際に事業DDを請け負った案件では、譲受した企業の幹部として経営に参画して欲しいと依頼を受けたり、事業再生に協力して欲しいとご相談を頂くことも多いです。事業DDの依頼を受けると譲受企業についての知識が深まるので、M&A後の経営に参画し、そしてサポートし易いのです。

大手コンサルティングファームでも、実際に経営を経験したことがある方は少ないです。また、BS(貸借対照表)や数字周りの知見はFASの方が豊富で優秀です。しかしFASはFASで、財務の知識はあっても事業に関する知識が疎く、経営のセンスやトレンドへの感度は高くありません。更に、経営者は経営者で事業に対する先見の明はあっても、財務に関する知識が疎かったりします。

M&Aを通して様々な人が関わりますが、包括的に知識や技術を有している人間はほとんどいません。私の強みは、「数字・事業・経営」これらのバランスが良いことです。事業会社で働いた経験や数多くのM&A案件を支援した経験、現在実際に会社を経営している経験が活きています。

 

M&A支援について

――年間57件ものM&A仲介案件をどの様に探して来ているのですか?

これまでの経歴やコネクションの中で、金融機関等からご紹介して頂くこともありますが、とにかくこちらからのアプローチ件数を増やすようにしています。多くの中小企業様は後継者不足に悩まれているので、出来るだけ多くの企業様へアプローチをしてM&Aという選択肢をご検討して頂けるように提案しております。

ゼロベースでアプローチをすることも多いので断られることも時折ありますが、多くの企業を後世に継いでいくためにも、気合いを入れて、志高く取り組んでいます。

 

――アプローチする際の企業選定はどの様に行っていますか?

困っていそうな業種に優先的にアプローチしています。例えば、昨今コロナ禍で影響を受けている飲食・アパレル・メーカー・商社等の企業にアプローチすることが多いです。

実際にM&Aにご興味をお持ち頂けた際には、お会いする前にとにかくしっかり先方企業のことをリサーチして理解するようにしています。M&Aをポジティブに考えて欲しいからこそ親身な対応を心掛けています。

これまでの実績から、国内外、上場非上場を問わず、キャッシュリッチなスポンサー候補先の企業や個人とのコネクションが豊富にあります。大手上場企業やファンドを譲受候補として提案することが出来るので、まずはお話させて頂きたいと思っています。

 

M&Aだけに留まらない支援が最大の強み

――年間を通してもこれだけ多くの企業を支援される中で、田中様の1番の強みを教えて下さい。

支援する企業のバリューアップが出来るということが強みです。これは他のM&A支援企業では中々出来ないことだと思います。

経営状況が厳しい譲渡企業に対しては、コスト削減をお手伝いして経営状況の改善を実際にサポートし、バリューアップをしてからM&Aに移行するようにしています。

経営の実務に入ってサポートすることが重要で、それが出来ることも強みだと思います。経営者の方でスキルや知識が不足してしまっていることもあるので、しっかりと信頼関係を構築した上で深くサポートするよう心掛けています。

 

――M&A支援を行うだけでなく、長くご支援されているのですね。

はい。実際に1年以上サポートすることもあります。経営者はビジョンや想いでこれまで経営をしてきた方も多いですが、やはり経営は数字の管理もとても重要です。しっかりと人間関係を構築した上で、経営者それぞれに足りない点をサポートしています。

 

経営者へのメッセージ

――M&Aを検討している経営者へ向けてメッセージをお願い致します。

後継者がいない場合は、積極的にM&Aを検討した方が良いと思います。M&Aにネガティブだったり、自信を持てない社長様も多いですが、家族や従業員や取引先のためにも一歩踏み出して頂きたいです。纏まった資金を得れることもありますので。

経営者の中には知識不足や経験不足が故に経営に息詰まってしまっている方も多いです。M&Aをすることで企業が成長する可能性も高まりますし、ご自身の成長に繋がることも多くあります。M&Aで売却することが会社にとって最善策となる可能性も多聞にありますので、是非M&Aに興味を持って頂ければと思います。

以上

 

 

株式会社T&INKキャピタル

代表取締役 田中 裕 氏

弊社のキーワードは”Passion to the future”です。
情熱こそが企業の経営にとって最も大切なことだと思いますし、未来を切り拓く鍵だと考えております。