2023年3月3日に設立された、『M&Aに特化した経営企画部』として買手企業向けに、買収ニーズの配信や買収戦略説明会の開催を支援されているM&A LIVE 株式会社の代表取締役である関根 匠 氏に起業のキッカケや具体的なサービス内容をお伺いしました。

起業したきっかけと、社名の由来を教えてください。

私は大学を卒業した後、株式会社LIFULLに入社し不動産の広告営業を担当していました。
3年目を迎えて、より稼げる業界を探していたところM&A仲介に出会い、中でもより刺激的な環境を求め、株式会社fundbookへ入社することを決断しました。

入社後、最初の1年間は売手オーナー様との商談セッティングをする部門で修行を積み、2年目からは買手担当のアドバイザーをし、運やご縁に恵まれて多くの成約に携わることが出来ました。そして起業し、M&A LIVE 株式会社を設立しました。

私自身、一生この仕事を続けていくことができるかと問われると、ちょっと厳しいかなと感じたのが起業のきっかけでした。

M&Aのアドバイザーの仕事は、非常にタフな仕事で、体力的にもきつかったです。様々な地方にオーナー様と打ち合わせをすることも多く、土日も資料作りに追われたりすることがあります。とはいえ、M&Aの仕事は非常に魅力的だったので、アドバイザー以外の立場でこの業界に携われないかなと思い、一度起業してみようという考えに至りました。

M&A LIVE 株式会社の名称は、M&A業界は情報の鮮度が重要だと考え、”LIVE”という言葉を使いました。ライブ感を表現したかったです。(笑)

 

弊社のサービスは後で具体的に話しますが、買収ニーズに関する情報をメールで配信しています。今の時代、様々なデータベースやサイトにアクセスすれば情報を入手できることもありますが、M&Aアドバイザーは日々多忙なので、中々見る余裕がありません。

だからこそ、アドバイザーの携帯やPCに直接情報を送ることで、マッチングのきっかけになったり、見込み案件の優先提案に繋がるのではないかと考えています。

具体的な事業内容を教えてください。

弊社はM&Aを検討されている企業様に対してサービスを提供しており、コンセプトは「優先的に優良案件が届く」です。その為には、M&A会社へしっかりと自社のニーズを伝えることが大切だと考えており、その手段として、買収ニーズ配信サービスや買収戦略ウェビナー開催の支援を行っています。

・買収ニーズ配信サービスとは…

120社のM&A会社へ買収ニーズを配信できるサービスです。2023年4月時点で約50社の買手企業にご利用頂いております。

以下、サービス概要

 

ウェビナー開催支援とは…

買手企業からM&A会社へ買収戦略の説明を行う場の提供しております。質疑応答も交えながら両社の理解を深める場になっております。

以下、3月9日に実施したウェビナーでは65社、100名のアドバイザーにご参加いただきました。

サービス着想のきっかけを教えてください。

このサービスの着想のきっかけは、テレアポ業務を行っていたときの辛い経験がきっかけになっています。

当時、買手情報がない中、なんとなく売れそうだと感覚で精査されたリストへ毎日8時間電話をしていました。その時、たびたび電話口で「具体的な相手はいるのか?」と言われることが多く、具体的な候補先もおらず悔しい思いをたくさんしました。

今もきっと同じように苦しみながらなんとか、商談を取るために必死に働かれているアドバイザーの力になりたいと思い、なかなか収益の出にくいモデルですが、歯を食いしばってサービス運営をしています。

御社の強みを教えてください。

弊社の強みは私のアドバイザーとしての経験とM&A会社とのネットワークです。

 このサービスは「M&A会社から優良な案件を優先的に届く」をコンセプトにしていると言いましたが、その際に、私のアドバイザーの経験は役立っています。

例えば、買手企業から「とりあえず面白そうな案件が欲しい」、「お得な案件が欲しい」とざっくりとした買収ニーズをお伺いすることがありますが、そのような情報の発信はお断りをしています。

M&Aは人材採用に似ている部分があり、自社を魅力的に伝え、今後の事業戦略を掲げ、その中でどんなポジションの人が必要なのか、想定する年収がいくらかを求人票に書かなければ、優秀な人材が集まらないのと同じで、M&Aにも「明確な買収戦略やニーズ」が必要です。

ただ、明確な買収ニーズといっても、0から書き出すことは難しいので、私の経験を基にあまりにも業界の慣習からかけ離れたものになっていないかなど、M&Aアドバイザー目線に立って、項目ごとに整理しながらヒアリングをし、買収ニーズを作成しています。

もう一つの強みがM&A会社とのネットワークです。弊社は120社(23年5月時点)のM&A会社とのネットワークを構築し情報発信をしています。おそらくこれだけ多くのM&A会社に情報が発信できるメディアはないと思っています。また開封率70%とDMの中では高い開封率を維持することができています。

2023年内にアドバイザーの数を1,000人に届くネットワークに育てていき、将来的、「国内の案件を探すならM&A LIVEだよね」と言われるような、日本で最大のアドバイザーのネットワークを目指したいと思っています。

今後のM&A市場をどう見られていますか。また、M&A LIVE 株式会社の今後の展望についてお伺いできますか。

中小企業のM&Aマーケットは10年前の不動産仲介や人材紹介に似ていると考えています。不動産であれば「SUUMO」、人材であれば「ビズリーチ」のようなプラットフォームが出てきたり、その他にM&A事業者をサポートするツールを開発する企業もこれからどんどん出てくるのではないでしょうか。M&A LIVEはその一つになりたいと思っています。

私はM&Aを成功させることは、不動産や人材よりも難易度が高いと考えており、必ずアドバイザーの存在は必要であると考えております。なので、CtoCのマッチングモデルではなく、「いかにアドバイザーと関係構築ができるか」ここにフルベットして、サービスの設計をしています。

今後の展開としては、情報の流通だけにとどまらず、業界のヒト・モノ・カネも動かしていけるようなサービスを展開していきたいと思っています。

いずれにしても、買手企業とM&Aアドバイザーの方と正面から向き合いながら、いろんなアイディアをいただき、様々な施策を打ち出していきたいと思っています。

最後に記事を読んでいる方々にメッセージをください。

アドバイザーの方へ、特に若手アドバイザーは毎日電話でのアポ取りに苦労されていると思いますが、今はとにかく腐らずにやるしかありません。ただ、私の情報発信がすこしでもオーナー様へ響く一言に繋がればと思っています。是非これからもサービス発展のためにご意見をいただければ幸いです。

買手企業の方へ、M&Aを成功させるためには明確な買収戦略を持ち、ネットワークを作り、信頼できるアドバイザーを見つけることが大事です。アドバイザーは本当に過酷な営業をして、案件獲得をしていますので、アドバイザーから案件の提案を受けるより、いい案件を探す方法はないと考えています。だからこそ、一緒にどうすればアドバイザーの方からいい案件が優先的に提案されるようになるかを一緒に考えさせてください。

今後ともよろしくお願いいたします。

M&A LIVE 関根 匠代表取締役

M&A LIVE 株式会社

代表取締役 関根 匠

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早稲田大学卒業後、株式会社LIFULLに入社し、営業職に従事。

その後、株式会社fundbookに参画し、M&Aアドバイザーとして従事。

買手企業担当として、関東を中心に10件以上のM&Aを実行を支援。

2022年5月から独立。上場企業7社に対し、

買手企業のM&A戦略の策定から案件収集、ディール支援を実施。

買手企業がM&Aを実施するうえで必要なサービスを設計し、多くの買手企業様の支援をすべく、2023年3月にM&A LIVE株式会社を設立。

インタビュアー:桐谷晃世