「中小企業が再び輝く社会を作り、日本をおもしろくする。」をビジョンとして、経営者の発掘と事業承継型投資(永続保有を前提としたマジョリティ投資)を行うことにより、幅広い企業に「家業から事業への変革」による再成長の機会を提供されているSoFun株式会社 取締役鳥倉 大介氏に事業内容や創業のきっかけをお伺いしました。

執筆者:桐谷晃世

社名の由来を教えてください

私たちは事業承継を、日本が新しく生まれ変わる楽しいチャンスとして定義したいというふうに思っています。

問題について考えるとき、ネガティブに捉えるとチャレンジする過程自体が面白くなくなってしまいますから、組織として楽しくありたい、引いては事業承継自体が日本経済全体にとっても喜ばしいチャンスにしたいと思っています。VISIONに「中小企業が再び輝く社会を作り、日本をおもしろくする。」を掲げ、そういう意味で社名を「SoFun」としております。

事業内容を教えてください

事業内容としては事業承継のための投資業務をテーマとしています。他社との大きな違いとしては、いわゆる自己勘定投資という点です。自社で承継企業を取得して直接的に経営するという形態を採用しています。

ファンドですと多くの方から出資金を募り、期間を定めて運用を行います。出資者に資金をお返しするという機能を果たすために7年程度でファンドを解散します。そのため、投資した資金を返却するために、株式を短期的に売却する必要があり、売却による利益を前提としていますが、SoFunはファンドとは異なり、自己勘定投資のため株式を原則永続保有致します。地域にとって必要な企業を存続させていく為の機能を提供することを理想としています。

従事されている中で得意な案件の規模や業種などを教えてください。

主に事業価値が1億円から10億円程度までの企業をターゲットとしております。

この規模の企業ですと、M&A仲介会社やファンド、金融機関など既存のプレイヤーからはビジネスとしての旨味がないと認識され、細かな提案が行き届いていなかったり、そもそも案件として取り合っていなかったり、事業承継のために必要な支援が行き届いていないという実情があります。

SoFunは、そうした企業を経営している方々に事業承継のノウハウを提供し、事業承継のきっかけとしていただくご提案をしています。

御社の強みを教えてください。

 弊社の強みは、オリジナルな立ち位置にあると思っております。

永続保有を前提として、短期的なキャピタルゲインを目的とした株式の転売を行いません。そのため丁寧なキャッシュフロー経営を行い会社の現状や将来象のために必要な投資や人材採用も行います。私たちは事業承継を考える社長や従業員さんと目線が同じであり、会社の円滑な承継ができるんです。

これは一般的なM&Aによるファンドへの株式売却と第三者への事業承継の何が違うか、という話にも繋がってきます。どちらも株式譲渡を行う同じ取引に思えますが、その性質は似て非なるものです。ファンドの場合、取得した株式を数年でバリューアップして転売する仕事です、つまりオーナーより1度株式を譲渡すれば、必然的に2度目の譲渡も運命付けられ、確定した道となります。

一方で私達は永続保有いたしますので、事業承継のプロセスは必ず1度で終わります。
このようなM&Aや事業承継によるオーナーチェンジに伴う企業の統合作業をPMIと言いますが、それぞれカルチャーの違う会社が統合する作業ですので、かなり被買収会社の事業や従業員、取引先に膨大な負担をかけます。このいわば産みの苦しみの様な統合作業は企業価値を変質させる程の影響がありM&Aが失敗する要因ともされています。それが1度で済むというだけで関係者への影響や負担がまったく違って来ます。

 また継続保有に当たっての方針として「チーム型経営」という理念を掲げています。

ファンド等で多くあるのは、立派なプロ経営者と言われる人を送り込んで、あとは社長で何とかしなさいというマネジメントが行われます。それだけのキャリアがある立派な社長さんを立派な報酬で派遣します。会社の利益が経営者のメリットに繋がるような仕組みで派遣されるものですから、あなたで何とかしなさいという話になるんですが、会社や従業員の利益へ貢献するという発想からずれ、経営者の利益を追求する要素が強くなる原因にもなってしまいます。

さらには、ビジネスの世界は景気循環や社会の変化など、当たり前が当たり前に起こらないのが常です。事業計画を描いて、事業計画通りにならないことが日常茶飯事ですので、立派なプロ経営者に任せれば大丈夫という対応は現実を無視しています。

SoFunが承継候補者として現場をお任せする社長と、裏方で働く私のようなメンバーは、どちらかが偉くてどちらかが偉くない、どちが雇っていて、どちらかが雇われているという優劣や上意下達の関係ではなくて、一緒に経営する仲間である必要があります。ですので代表者1人に重い責任を負わせない仕組にすることも含めて、事業承継にチャレンジしたい承継候補者が仲間として働きやすい体制を構築し、チーム型経営を行っています。 

SoFun関東株式会社の創業のきっかけを教えてください。

SoFunはチーム型経営を徹底するため、投資先や承継した社長を遠隔管理するような組織にならないと自分たちを戒めています。そのため、投資先や承継した社長と「スープの冷めない距離」で関係性を作りたいと思っています。相談できる人間を会社の付近に常駐させ、承継した会社を代表1人に任せるのではなくて、チーム型経営を徹底させることを意図しています。SoFun本社は近江八幡市にありますが、地域子会社として、九州、せとうちと立上げ、SoFun関東を2023年6月に立ち上げました。事業承継問題へ対応する地域金融機関様との関係構築も地域子会社があるため、円滑に進んでいます。SoFun関東も一都六県をカバーし、事業承継問題に対応するため創業しています。

読者にメッセージをよろしくお願いします。

やはり選択肢を広く持つことは大事だと思います。

まずは事業承継は自分の家族でなければ駄目だとか、血縁でなければ駄目という考えに縛られない事が大切だと思います。そのようなアプローチでは、上手くいかなかったり、既に失敗した経験をお持ちの会社も多いです。従業員から社長にするという内部昇格の試みもありますが、株式の譲渡対価を用意できなかったり、従業員と経営者の思考の違いなどで上手くいかなかったりします。SoFunにご相談に来られる方も、そのように様々に試行錯誤され、一度は事業承継を試みて失敗している方が非常に多くいらっしゃいます。

SoFunは既に複数の事業承継を自分たちで経験し、知見を蓄えています。ご自身での事業承継の取り組みが成功しなかったとしても、SoFunで試してみれば意外に上手くいく可能性は大いにあります。事業承継への深い理解がSoFunの強みですので、皆さまに新たなソリューションがご提供できることと思います。何かお悩みがありましたら、ぜひご相談ください。