М&Aビジネスの立ち上げ支援により、M&A仲介のできる会社とアドバイザーの数を増やし資本提携をより多くの経営者に提供する活動を主導する株式会社BizHUBの神垣様にお話を伺いました。

執筆者:桐谷晃世

大手M&A支援会社から2021年に独立されビズハブを設立されたとお見受けしましたが、創業の背景をご教示いただきたいです。

 ビズハブ創業の背景としては、国として全国のM&A件数をより多く増やす必要がある中で成約までご支援できるM&Aアドバイザーがもっと増えるべきだと感じた事にあります。

 一般的に企業はノウハウを自社内から漏れないように囲いがちですが、自社単体でM&A件数を増やす事には限界がありますので、ノウハウを外に全て出すことによって他の事業者や士業事務所の方々にM&A仲介をできるようになっていただき間接的に自社単独では難しい数のM&A件数のサポートをさせていただく世の中を目指したいといった背景があります。

 ビズハブという社名は「ビジネス」の「ハブ」になるという目標から付けたものですが、その名の通りハブとしてより良い社会作りに貢献していきたいと思っていますね。

展開されている三つの事業内容について教えてください。

 まず一つがМ&A・資本提携コンサルティング、いわゆるМ&Aの仲介業務です。当社のメンバーが売主様と買主様のマッチング業務からその後のディール、最終的なクロージングまで並走してお手伝いいたします。

そして二つ目が、「Share!」と銘打ったМ&Aビジネス支援になります。

こちらはビジハブが業界で培ってきたスキル・経験を士業事務所様や事業会社様に向けて公開するというサービスで、日本におけるМ&A件数の増加を促すことを目的で開始いたしました。

これによって、全国各地でよりМ&Aが広まっていくことを願っています。

 加えてもう一つが、こちらはまだ開発段階なのですが、当社の人材を派遣するサービスを開発中です。

これは当社が抱えるM&A仲介のプロフェッショナルを企業買収による成長戦略を持つ事業会社様へ「М&A担当」といった形で出向させていただき、情報開発や買収業務をサポートさせていただくものです。こちらは現在準備を進めていますので、続報をお待ちください。

御社は他の資本提携コンサルティング会社と異なり、M&A・資本提携コンサルティング事業をチーム型で取り組んでいると拝見しましたが、詳しく教えていただきたいです。

仰る通り、売主様および買主様に対して2名以上のチームを組み、マッチングからクロージングまで一貫してご支援をさせていただいております。

背景としては、属人的な要素を配するという目的があります。アドバイザーの知識量や経験値の差によって顧客のリスクが生じることをできる限り防ぐ目的で、当社では必ず10年以上の経験があるアドバイザーがディールに参加するという方式を取っています。

得意な業種や業態がありましたらご教示いただきたいです。

 業種ごとに得手不得手の偏りなどはないですね。

 当社の特徴の一つとして、ネットワークの広さがあります。元々代表がМ&Aセンターのアライアンス部長をしていた人間で、そこから様々な士業事務所や金融機関とも繋がりがあり、協力して事業に取り組んでいます。

 そうした背景もあり、業種・規模に関係なくあらゆるご相談を受けております。

Share!のPRポイントや特徴をご教示いただきたいです。

 最大の特徴は今まで業界で囲っていた実務的なノウハウを全て公開してサービスを受けるお客様に移管することを目的に作られているということです。

一見すると競合を増やす動きと見られますが、弊社としては自社でエグゼキューションを行わずとも、弊社が関わって行われるM&A件数を増やすことを目標に活動していますので問題ございません。

 また、もう一つの特徴はそれぞれの事業会社、事務所の持つ強みを活かしてM&A仲介ビジネスを行うことができる点です。

例えば、士業の方々は取引のある社長様と長年の付き合いをしていることが多く信頼関係が生まれているため、本来は我々のようないきなり来た仲介会社のアドバイザーよりもМ&Aの相談がしやすいはずです。士業の方にしてもよく知っている会社ですのでノウハウがあればディールがスムーズに進む可能性が高くなりえます。

 またそれ以外にも、たとえば北海道の更に北端にある会社オーナー様がМ&Aをしたいと思った時に、今ある仲介会社の担当者が毎回足を運んで支援をしにいくというのは中々現実的ではなく手が回っていない領域なんです。しかし同様の需要は地方にはたくさんあります。

 そうしたとき、地元に根付いた士業事務所様や地場の事業会社の方々が仲介を行えるということは、今後ますます有用になって来ると思います。時間や費用も抑えられますし、加えてエリアや規模の観点から今まで仲介会社が手の届かなかった産業を継承していけるというのは素晴らしいことですよね。 

ShareはM&A事業立ち上げ前でも利用可能ですか?

 はい、もちろんです。既にM&A仲介ビジネスをはじめてはいるがノウハウが無く思うような結果を出せていない事業者様だけではなく、これからМ&Aの仲介ビジネスを始めたいという事業者様のご依頼も承っております。

 2024年3月時点では上場会社を中心に5社の支援を行っております、ご希望の方がいらっしゃいましたらぜひとも遠慮なくご相談ください。

理念として信頼第一主義を掲げていらっしゃいますが、詳しくご教示いただきたいです。

信頼第一主義という理念については言葉の通りなのですが、具体的に心がけていることは、アウトプットにこだわりを持つ事です。

例えば、高品質な仕事を提供することもアウトプットですし、提供する資料や返信スピードもアウトプットです。信頼はアウトプットによって築いていくものだと考えておりまして、弊社ではこれを「顧客」だけでなく「パートナー企業」「社員」「社会」「未来」に対しても信頼関係を大切にしながら日々取り組んでいます。

今後ご尽力されていきたいことがあればご教授いただきたいです。

 やはり、「日本の資本提携ソリューションの中心になる」というビジョンに向けて邁進していくことでしょう。

世に必要なM&A件数を実行するための経験者(M&Aができる人材)の不足という課題解決をすることで、間接的に日本のMAを広めることに尽力します。

 直近の目標としてはまず、先述したような現在展開しているサービスをさらに広げていって間接的にですが、日本で一番M&Aの成約件数に貢献した会社を目指します。

事業承継ラボの読者にメッセージをお願いします。

 М&Aの情報収集をはじめる際に、早すぎるということはありません。

 昨今は、会社を取り巻く状況がかなり逼迫していて、もうМ&Aしか方法が無くなってしまった方や、かなりの短期間でお相手を決めて実行していかなければならないというような状態でご相談いただくケースもありますが、その様な場合だとどうしてもご支援できる事も限られてきます。

株式の承継問題を考えるうえで、М&Aはあくまで選択肢の一つにすぎませんので、より早い段階から社内承継や親族承継、もしくは株式上場などの他の選択肢と並行して情報収集をすすめていき、将来株式の承継を考えた時に自社に取って一番良い選択肢はどれなのかを一緒に考えていけるようなご支援ができればと考えております。

現時点では全くM&Aに関心も無いような方でも情報収集をすることによって新たな発見や可能性を見つけられる事もございますので、少しでも思い立った時にご連絡していただけるとありがたいです。