全国の自治体に一つずつ地域商社を作ることをミッションに地域商社の設立を行なっている地域DX株式会社のCO-founderと応援者にお話をお話をお伺いしました。

執筆者:桐谷晃世

地域DX株式会社の会社概要を教えてください。

地域DXは、全国の自治体に一つずつ地域商社を作ることをミッションに、神戸市を中心に活動しています。

事業概要としては、地域で挑戦したい人を発掘し、補助金を活用して起業を支援しています。地域で必要なものを何でも作るということを目標に活動していますね。

地域に目を向けた理由をお伺いしたいです。

今、一番苦しんでいるのが地方だと考えているからです。バイオや宇宙業界ではそれなりに資金を手に入れる方法や補助金が充実していますが、地方は資金的に厳しい状況にあります。

自治体によるPFI事業(公共施設等運営事業)では、会計上大手企業に任せると負債が少なく見えるという都合もあり、さらに地方の中小企業に仕事が周りづらくなっています。
そしてこのような事情によって、地方の魅力的な企業やお店が廃業に追い込まれてしまっています。

地域DXでは、これらを払拭するために、補助金を上手に使いたいと考えています。
補助金=悪という風潮が未だに存在する一方で、「上手な使い方」をすれば非常に有用な制度が多くの地域に存在するからです。

 地域DX株式会社の社名の由来を教えてください。

名前は重要だと考えており、ITっぽくしたかったという感じです。今流行っている単語は10年後には廃れているかもしれないという意見もありますが、デジタル技術そのものが不要になることはないと考えています。DXという単語が2024年現在とは違って、寂れたり古びてしまう可能性はありますが、デジタル自体が全く不要になるとは考えづらいです。

地域に根ざして地域から日本を盛り上げたいという思いで「地域」を入れているのですか?

そうですね。ただ、普通の人が思う地域商社と違うのは、大都会にあってもいいと考えています。例えば、地域DX大阪を立ち上げたいとか、地域DX東京や千葉を立ち上げたい人がいたら、それは全力でやったらいいと思っています。基本的に金儲けはいいことだと感じます。違法なことを除けば、商売のやり取りは自由意志に基づいて行われるので、お金を持っていても物やサービスが足りない人が、サービスを提供しつつお金が欲しい人と交換することで、両方の満足度が上がると考えています。つまり、より儲けやすいという意味でも、東京にあっても大阪にあってもいいと解釈しています。

例えば、駄菓子屋をしたい人がいたら、その駄菓子屋をその土地で起業するのをサポートするビジネスモデルですか?

本当はその人がやりたいビジネスをしてもらってもいいのですが、もう少し地域の何人かの住民で、本当に地域に何が必要なのか話し合ってから決めて欲しいです。

その人は駄菓子屋をやりたいと思っているかもしれませんが、他の10人ぐらい集めたら駄菓子屋ではなく、「ここには食堂が必要」だとか、「食堂はいらないけど他に何々があればいい」という意見が出るかもしれません。その中に駄菓子屋が含まれていれば駄菓子屋でもいいのですが、そうでなければ、みんなで合意した三つの案を実行して欲しいと思います。ただしその人のモチベーションも大切なので、駄菓子屋が本当にやりたいのであれば駄菓子屋をやりましょう。

将来的な話になりますが、地域商社は後継者不足の課題を解決する事業モデルなのかなと感じました。

明確に事業承継のためだけとは考えていませんが、そういうパターンもあると思っています。
例えば、地域DXのメンバーが継続が危ぶまれる会社とジョインすることもありますし、その会社にコアなメンバーが既にいるなら、私としてはその人たちに移って欲しいと考えています。私たちのスタンスとしては、元々ある法人を絶対視せず、可能ならば新しい価値を創造しようという姿勢を取っているので、必ずしも事業承継にこだわる必要はありません。ただし賛同する人がいれば来るものは拒まないつもりですね。

 今後の展望をお伺いしたいです。

現段階では、他の地域への早急な展開が課題です。ベンチャー支援が手厚い地域も多くありますし、私は大阪出身なので、そうした縁もあって大阪でも立ち上げることができると思っています。この構想を思いついたときは大発明をしたかのような気分でいましたが、冷静に考えると、そこまで急ぐ必要はないかなとも感じています。ゆっくりと腰を据えて、賛同者を募っていきたいですね。