常磐精工株式会社は、創業59年を迎える大阪の看板やディスプレイ什器を手掛けるメーカーです。その長い歴史の中で、製造業の進化と共に自社製品の開発を進めてきました。今回、事業承継を経て3代目社長に就任した喜井 翔太郎氏に、会社の歴史や事業の転換、さらには新たな取り組み『ATTA-TOSA FACTORY』について詳しくお話を伺いました。
- 1. 創業59年を迎える常磐精工株式会社の事業概要についてお聞かせいただけますか。
- 2. 社名の由来を教えていただけますか。
- 3. 設立当初から「立て看板」や「ディスプレイ什器」の製造・販売を行っていたのでしょうか。
- 4. 新製品開発プラットフォーム『ATTA-TOSA FACTORY』について、どのようなプラットフォームか具体的にお聞かせいただけますか。
- 5. 3代目として事業承継を行うまでのご経歴についてお聞かせください。
- 6. 事業承継に際して、特に印象に残っている出来事はありますか。
- 7. 事業承継後に取り組まれている挑戦や新たな展開についてお聞かせください。
- 8. 今後の展望や目標について教えていただけますか。
- 9. 最後に、事業承継ラボの読者に向けてメッセージをお願いいたします。
創業59年を迎える常磐精工株式会社の事業概要についてお聞かせいただけますか。
常磐精工株式会社は、主に商業施設や店舗の前に設置される立て看板やスタンド看板の製造を行っているメーカーです。
特に、壁に取り付ける看板ではなく、地面に置く自立型の看板が主力製品です。また、これに関連するディスプレイ什器の製造も手掛けており、幅広い製品ラインナップを提供しています。
社名の由来を教えていただけますか。
社名の「常磐」は、地名に由来しています。私たちの本社がある場所が堺市の常磐町であり、そこから名付けられました。非常にシンプルですが、地元に根付いた企業であることを示しています。
設立当初から「立て看板」や「ディスプレイ什器」の製造・販売を行っていたのでしょうか。
創業当初は、金属部品の加工をメインにしていた下請け工場でした。自動車部品やベアリングなど、親会社からの注文に基づいて金属パーツを製造していたんです。
しかし、そのビジネスモデルでは競争が激化し、利益を出すのが難しくなりました。
そこで、1998年頃から自社製品を開発するメーカーへと転換しました。最初はアウトドアギアを手掛け、その後、自立型の看板製造に進出しました。
2001年からは看板事業に本格参入し、現在の事業の基盤が形成されました。
新製品開発プラットフォーム『ATTA-TOSA FACTORY』について、どのようなプラットフォームか具体的にお聞かせいただけますか。
『ATTA-TOSA FACTORY』は、私たちの製品開発プラットフォームであり、社内外の人材や企業と連携して新たな商品を共同で開発する場です。
このプラットフォームでは、アルミのフレームを中心に、看板以外の製品にも応用して新しいビジネスチャンスを生み出すことを目指しています。例えば、アルミフレームを使ったアウトドア用品やフィットネス器具など、多様な製品を作り出しています。
3代目として事業承継を行うまでのご経歴についてお聞かせください。
私は9年前に家業に戻りました。それまでは建設機械のメーカーでエンジニアとして働いており、ものづくりの基礎を学びました。家業に戻るタイミングは、生産管理システムの導入が課題となっていた時期で、その導入を機に戻ってきました。
事業承継に際して、特に印象に残っている出来事はありますか。
特に印象に残っているのは、社員とのコミュニケーションです。事業承継の過程で、組織の若返りや採用活動にも力を入れました。
従業員との信頼関係を築くことが重要であり、彼らが私についてきてくれることが事業承継を成功させる上での大きな要素だと感じました。
事業承継後に取り組まれている挑戦や新たな展開についてお聞かせください。
事業承継後は、従業員の成長を後押しする仕組みを整備することに力を入れています。具体的には、社外のセミナー参加や資格取得のサポートを通じて、従業員がスキルアップできる環境を作りたいと考えています。
また、『ATTA-TOSA FACTORY』を通じて、社外のリソースを活用しながら、新たな製品開発を進めています。
今後の展望や目標について教えていただけますか。
今後の目標としては、既存事業のシェア拡大と新規事業の成長を掲げています。
現在、私たちの看板事業は全国シェアの約10〜15%を占めていますが、これを25%まで引き上げたいと考えています。
また、『ATTA-TOSA FACTORY』を成長させ、新たな製品ラインナップを充実させることで、事業の多角化を進めたいと思っています。
最後に、事業承継ラボの読者に向けてメッセージをお願いいたします。
事業承継は非常に大きな挑戦ですが、その中には多くのチャンスも隠されています。
既存事業をしっかりと守りつつも、新規事業に積極的に挑戦することで、将来の成長を見据えたビジネスを展開していくことが重要です。
跡継ぎとして、既存の強みを活かしつつ、新しい風を吹き込むことを恐れずに進んでください。