精密板金加工から塗装までを一気通貫に請け負う株式会社栄進板金製作所において、東京ビッグサイトの展示会出展やシステムのデジタル化など、新たな施策を実施する代表取締役 間山 幸光様にお話を伺いました。
- 1. まず、株式会社栄進鈑金製作所の会社概要をご教示ください。
- 2. 活動拠点は東北がメインですか。
- 3. なぜ奥様の家業を承継することを決心されたのですか。
- 4. 事業承継に関して、何か想い出深いことがあればご教示ください。
- 5. 承継後はどのような取り組みを行っていますか。
- 6. 前職での経験は、家業に活かされているのでしょうか。
- 7. 2013年に2代目としてご入社され、売上を2倍・利益を3倍にするという実績を挙げられましたが、どのような施策によるものなのでしょうか。
- 8. 今後の2代目としてのビジョンをご教示いただけますか。
- 9. 最後に米沢市のPRに力を入れられていますが、どのような想いがおありなのでしょうか。
まず、株式会社栄進鈑金製作所の会社概要をご教示ください。
事業内容としては、社名の通り切断・溶接・組立・塗装といった板金の製造になります。
板金というと車のイメージが強いかもしれませんが、弊社が手掛けるのは建物の電機や空調関係に付随する制御盤、分電盤などが主となっております。
中の配線ではなく、外側の設備のみを取り扱っていますね。
活動拠点は東北がメインですか。
弊社は米沢に拠点を置いていますが、取引先は茨城・東京・神奈川といった関東の会社が多数を占めています。
なぜならば、この板金という仕事は言ってしまえば3Kに近いような内容であるため、特に都会の方だと廃業が続いているからなんです。
そこで弊社の戦略としては、そうした企業の情報を届けられるよう、特に承継してからは営業に注力しています。
なぜ奥様の家業を承継することを決心されたのですか。
どうしてかというと難しいですが、NOという選択肢はなかったですよ。
それに私は当初システムエンジニアになって、転職して銀行に入ったのですが、その銀行時代に地元の企業のありがたみ、重要さといったものを強く感じたんです。
今まで無機質なサーバールームで働いていた人間が、人や地方と強く関わる仕事を始めて、どれだけ小さい会社であってもできるだけ潰すべきではないという気持ちが芽生えました。
そんなときに家業の話が舞い込んできたので、地元に貢献する手段としても、承継を決意いたしました。
事業承継に関して、何か想い出深いことがあればご教示ください。
1年1年が勝負の年ですから、想い出といっても色々ありますね。
ただその中でも思い入れが強いのは、補助金の申請でしょうか。
これは弊社の誇れる点でもあるのですが、現在会社としての補助金の採択率が100%なんですよ。申請すれば必ず補助金が降りている、ということです。
それは偶然ではなく、本当に弊社の長所や存在意義について熟考し、目から血が出るのではないかというほど本気で書いているからなんですね。
承継後はどのような取り組みを行っていますか。
少し話がずれるんですが、私たちが展開している事業として、「栄進鈑金製作所」のほかに「間山塗装工業」というものがあるんです。社名の通り、後者は筐体への塗装を専門としています。
そして私の義理の父は間山塗装工業の社長ではあるんですが、栄進板金製作所の社長ではなくて、製作所は義父のビジネスパートナーのような人が一人で切り盛りしていたんです。
ただ、それまでのような社長がすべてを処理するような体制では、会社としての成長はないだろうということは常々思っていました。
ですので私が代表になると、営業やスケジュール管理など、できる限り会社の中で責任を分担するように心がけました。
一番最初に手掛けたのは、そうした組織作りの部分ですね。
前職での経験は、家業に活かされているのでしょうか。
前職の経験はダイレクトに活きてきていますね。たとえば、我々のような中小企業にシステム担当なんているはずがないんです。なので現在でもシステムのことなんかまるで分からない、という製造会社は少なくありません。
そこを社長の私が一人で把握できるというのは明確な強みですし、やはり承継を機に会社としてのデジタル化も一気に進みましたね。
2013年に2代目としてご入社され、売上を2倍・利益を3倍にするという実績を挙げられましたが、どのような施策によるものなのでしょうか。
そうですね、やはり「ローマは1日にしてならず」というように、積み重ねによって着々と階段を上がってきたんだと思います。
ですので繰り返しになる部分もありますが、まず営業展示会などを利用して新規顧客を獲得し、顧客層の新陳代謝を促すことによって利益を上げます。
顧客層の新陳代謝というのは、うちのような中小企業で受け持てる仕事のキャパシティは決まっているので、悪い言い方をするとお客さんを選んでいかなければならないんですね。
そうしてよいお客さんを獲得することによって売り上げを増やすサイクルに入っていくと、次第に採用を増やしたり、会社の規模を拡大させられるようになってきます。
ですので私としては、まず第一に新たなお客様を獲得すること、またそのための努力を怠らないことが重要だと考えています。
今後の2代目としてのビジョンをご教示いただけますか。
現在の目標は、「働きがいのある会社を作ろう」ということです。
「働きやすい」ではなく、「働きがいがある」なんですね。
社長をしているとよく分かるのですが、社会人にも休みがほしい人とほしくない人という二種類がいるんです。バリバリ働いて上に行きたい人と、そこまで給料も出世も望まない人。
そしてどうすればこのどちらもが気持ちよく働ける環境が作れるか、という関心が今私の中にあるんです。
利益を上げる、会社の規模を大きくするというのは、後から付いてくる結果ではあるかもしれないんですが、最終的に行き着く場所は「みんなが気持ちよく働ける会社を作りたい」という気持ちですね。
最後に米沢市のPRに力を入れられていますが、どのような想いがおありなのでしょうか。
純粋に住処として米沢市に魅力を感じているからですね。
米沢牛のような食べ物であったり、温泉であったり、水であったり、自然がとても充実していることは確かです。
米沢のような雪国って、実は水が豊富なんです。そして水も資源ですから、特に半導体などの企業が集まってくるんですね。
そうした都市部にはない価値があることが、米沢の魅力だと言えると思います。