創業から200年以上の歴史を持つ有限会社たけもと農場。石川県能美市を拠点に、お米や麦、大豆の生産を行っており、特にイタリア米やスペイン米の栽培と販売で注目を集めています。10代目として事業を承継した竹本彰吾様に、家業の歩みと未来の展望についてお話を伺いました。
たけもと農場は1800年頃に創業し、現在はお米や麦、大豆の生産に加えて、お米を使った加工品の販売も手がけています。
販売の中心は自社のECサイトで、全国にお米や関連商品を届けています。
特にリゾット向けのイタリア米や、パエリアに適したスペイン米の生産にも力を入れており、全国の飲食店からも高い評価を得ています。
当社の強みは、有機栽培やユニークな米の品種に取り組んでいる点です。
特にイタリア米やスペイン米は、シェフや飲食店に向けた特別な商品として展開しており、他ではなかなか手に入らない米を提供できることが特徴です。
また、ネット販売に早期から取り組み、自社ECサイトを通じて消費者に直接商品を届けている点も大きな強みとなっています。
私が大学卒業後に家業に入った際、何か新しいことをしたいという気持ちがありました。その中で、金沢のイタリアンシェフとの出会いがきっかけで、リゾット用のイタリア米の国産化に挑戦することになりました。
また、有機栽培は、家族の代から続いている取り組みであり、環境に優しい農業を目指すという理念のもとで続けています。
高校3年生のときに、父から家業を継ぐかどうかを問われ、農業を通じて地域社会に貢献する仕事の魅力を感じ、家業を継ぐことを決意しました。
その後、大学を卒業してから正式に農場に入りましたが、当時から「ただのお米作りにとどまらず、新しいことに挑戦しよう」という思いを抱いていました。
事業承継の過程で最も印象深かったのは、承継計画の中で、ネット販売を開始したことです。
自分自身で責任を持って取り組んだ最初のプロジェクトだったため、成功と失敗の両方が大きな学びとなり、経営者としての自信を築くきっかけになりました。
最初の3年間は基礎を学び、その後の3年間で経営の実務に関わることができました。
最後の4年間では、父と共に経営の意思決定に携わり、計画的に事業承継の準備を進めました。
ネット販売の立ち上げや、販売チャネルの拡大が、その中で特に大きな成果だったと感じています。
ネット販売を自分の責任で開始したことが、最も効果的でした。この経験を通じて、経営者としてのスキルを磨き、成功体験を積むことで、自信を持って事業を承継できました。
事業承継後は、従業員の雇用を増やし、家族経営から組織経営へと移行することに力を入れています。
また、ネット販売の強化や新たな米の品種の開発にも積極的に取り組み、これからの農業を次世代に繋げていく体制を整えています。
農業は、自然とともに生き、作物の成長を間近で見られる素晴らしい仕事です。この魅力をもっと多くの人に知ってもらい、農業が誇りを持てる職業であることを広めていきたいと考えています。
「農業をなりたい職業ナンバーワンに」というスローガンを掲げ、農業の価値を再認識してもらう取り組みを続けています。
この本は、私と事業承継士の伊東 悠太郎氏との共著です。
私自身の事業承継の経験をもとに、後継者の皆さんに向けたガイドとなるよう執筆しました。
事業承継は100人いれば100通りの方法がありますが、そのプロセスにおいて重要なポイントを伝える一冊です。
この本は、事業承継の大切さを理解し、後継者や親世代がコミュニケーションを深めるためのきっかけとなる内容です。
事業承継をスムーズに進めるための具体的なアドバイスも多く盛り込んでいます。
今後は、さらに従業員を増やし、会社の成長を目指していきたいと考えています。
また、新しい品種や販売チャネルの拡大にも挑戦し、持続可能な農業を実現していきます。
事業承継において大切なのは、自主性を持ち、自分のアイデアで新しい取り組みを進めることです。
親世代との対話を大切にしつつ、次の時代を切り開く責任と覚悟を持って挑戦していきましょう。