事業承継に関する診断を行い様々な選択肢を提供する新サービス「プレ承継」を展開するとともに、事業承継支援の経験を活かし親族内承継を主な対象としてコンサルティング業務等を展開する税理士法人プレアスの岡本様とその提携者である玉川様にお話を伺いました。
(岡本)
わたしは富山県出身で、新潟大学を卒業したのち東京で大手税理士法人に就職いたしました。そこで11年ほど勤務し、当時は仕事の大半が事業承継支援という状況でしたね。
玉川は2018年入社ですので4年ほど苦楽を共にしましたが、ともに2022年12月に退職しました。
そこからわたしは2023年に個人で独立すると、昨年9月に税理士法人プレアスを設立し、今では税理士5名を中心に総勢10名強の布陣を敷いています。
(玉川)
わたし個人の経歴としましては、簿記学校の講師を6年ほど勤めてから岡本と同じ大手税理士法人に入社し、そこではメガバンクへの出向を経験しました。
銀行にも様々な本部機能があるのですが、わたしが担当していたのは今では事業承継担当部署で、企業オーナーの承継支援を専門として取り扱ってきました。
その後岡本が述べたように退職すると、故郷である福島県会津若松に戻ってきて、今は父の税理士事務所で修行を積みつつプレアスとも提携しております。
(岡本)
事業内容としては大きく三つに分かれます。
売上比率という観点から見ると、顧問業務がおよそ30%、コンサルティング業務がおよそ60%、相続税申告がおよそ10%となります。
コンサルティング業務と申しますのは大半が事業承継で、うち親族内承継が8割、従業員承継が2割を占めます。昨年はМ&Aを支援いたしましたが、身内での承継をメインに取り扱っていくのは今後も変わりません。
このようなことから、特に事業承継について豊富な経験を持つ事務所であると自負しています。
(岡本)
事務所を設立したきっかけとしては、良くも悪くも自分自身の責任で仕事をしたいという思いがあったためです。
さらに遡ると、わたしの母方の祖父母は富山県富山市でスーパー銭湯を経営していたんです。それが原風景となって、経営者への憧れのようなものはずっと心にありました。
そうした背景もあって、いよいよ時が来たと確信したのが2023年1月ということです。
(玉川)
わたしもいわばタイミングが来たというところでしょうか。
元々父の事務所を継ぐつもりで税理士の勉強をしていましたし、入社したのも一通り業務を経験したら地元に帰るという前提だったんです。岡本とタイミングが被ったのは偶然でしたね。
ちなみに東京と会津若松を比べてしまうとやはり給与の差というものがあって、父から東京に残る選択肢も勧められましたが、やはりなじみ深い地元に貢献したいという気持ちが強く、地元に戻ることを決意しました。
(岡本)
主に二点あります。
まず一つに日本の中小企業を継続的に発展させたいという気持ちがあり、その一助になれればよいと思いました。そして現代において全国に届けるためにはWEBを駆使するしかないと考えたため、この手法を採りました。
もう一つには、わたくしどものBtoC流入経路を確保したいという狙いです。
現在の受注の経路として、銀行や生命保険会社といった金融機関や弁護士、税理士、司法書士といった士業からの紹介が多くを占め、クライアントの方々から直接依頼を受けるということはあまりないんです。
なので潜在的なクライアントにもプレアスの存在を知ってもらいたいという思いもあって、そうした層に直接リーチする施策として発案した部分もあるんですね。
(岡本)
まずホームページからいくつかの事業承継への取り組みに関する質問に答えてもらうことで診断結果が出ます。この結果はPDFでお送りするため、紙に印刷することもできます。ここまでが無料ゾーンです。
ここでは具体的な数字を入力する必要はないのですが、これには事業承継とか相続だとかってやはり固いイメージがありますので、色んな人に触ってもらうためにとにかく診断を始めるハードルを低くした、という事情があります。
その後は有料フェーズに進むことも可能で、会社の決算情報を少しいただくことで、自社株の評価額やそれを移した場合の贈与税・譲渡税を算出できます。
こちらもやはり広く使っていただこうというコンセプトのもと設計されているので、入力をすべてプルダウン方式としているのがちょっとしたこだわりでございます。
経営者の方々はやはり日中は本業に忙殺されていて、事業承継のことを考えられるのは必然的に平日の深夜か土日となってしまいます。そうなると、書類を片手にパソコンに向かう時間ってすごく少ないんですよ。
なのでベッドで寝転びながら完結させられる仕組みにしようというコンセプトのもと、必要となるのはスマホだけ、プルダウン方式の現在の内容に行き着きました。
(岡本)
そうですね、一番は親子の会話のきっかけになればいいなと思っています。
今の後継者世代の人たちって良くも悪くもロジカルという印象がありますので、厳密ではなくとも数字が出る、事業承継に強い税理士が監修している、という情報は話し合ううえで武器になるのではないでしょうか。
(玉川)
事業承継なんて身内のことだというイメージはまだまだ強く、銀行や税理士に相談しづらい経営者の方はたくさんいらっしゃると思います。そうした方々が一歩踏み出すとき、子どもとの対話に役立てていただくツールとして想定していますね。
(岡本)
現在の件数は100件ほど(取材日時点)ですね。これはまだWEB広告など一切打っていない数字なので、想定内といったところでしょうか。
ただお取引のある金融機関さんが職員さんに推奨してくださったり、社内研修で利用してくださったりもしています。
リリースが昨年9月からですので、まだまだ先が見込まれるサービスと思っています。
(岡本)
これは大きく四つあります。
まず一つに、前述したようにスマホからで完結するということ。
二つ目に、類似サービスに比べると数字の厳密性は落ちますが、断然手間がかからないということ。このため事業承継を必要とするより広い層にリーチできると考えています。
三つ目に、PDFとしてダウンロードして印刷できるということ。やはり現在の経営者世代は基本的に紙に馴染んでいらっしゃるので、実物として入手できることの意味は大きいでしょう。
そして四つ目に、有料利用を通じて最終的にプレアスと直接やり取りができること。類似サービスでは診断後の出口までケアできていないことが多いので、WEBだけで完結しない一気通貫の支援ができることは独自の強みの一つですね。
(岡本)
少しでも多くの人に広く使っていただくことが今の目標です。
最終的な到達点はプレアスのBtoCの流入経路を確保することなので、それまで地道にお取引様にお声掛けしたり、セミナーに取り組んだりと、能動的に動いていきたいと思います。
(玉川)
岡本が目標を申し上げたので、わたしからはビジョンを申し上げます。
端的に言うと、なるべく事業承継するうえでのミスマッチを減らすことがわたくしどもの使命だと考えています。
たとえば社長と後継者の意志が噛み合っていなかったために、タイミングを逸して結果そのまま廃業というパターンは実際にあるのですが、これは非常にもったいない事例です。
継ぐにしろ継がないにしろ、М&Aが選択肢として挙がるかということなども含め、一刻も早く後継者候補の方と話し合うことをおすすめしますし、我々としてもそういった銀行の目が届かない痒い所に目が届く存在となれればよいですね。