埼玉らしさを未来へ繋ぐ。 地域に根ざした事業承継支援への想い|埼玉県スマート事業承継

埼玉県さいたま市を拠点に、地域に根ざした事業承継支援を展開する埼玉県スマート事業承継。一般社団法人として「気軽に相談できる場」を大切にしながら、親族・社内承継を中心に、承継後の経営の加速まで伴走する独自のアプローチで注目を集めています。代表を務める佐藤様に、事業承継支援への想い、そして埼玉県への深い愛着について伺いました。

不動産業から相続、そして事業承継支援へ

「相続問題との出会いが、人生の転機に」

佐藤様のキャリアは、東急リバブルでの新卒入社から始まりました。その後、日本で初めて廃校再生事業に取り組む企業に転職し、リノベーションという言葉がまだ一般的でなかった黎明期から不動産再生事業に携わってきました。20代後半にはMBAを取得し、不動産と経営の両面から知識を深めていった佐藤様。しかし、人生の大きな転機となったのは、地主の家系で育った佐藤様自身が直面した親族の相続問題でした。

「不動産や経営学の知識だけでは解決できない複雑な課題がある」と実感した佐藤様は、相続専門のコンサルティング会社へ転職を決意します。そこで相続コンサルティングや、自ら起こした法人での、コンサルティングサポートを行う中で、経営者からの事業承継に関する相談が次第に増加していきました。

「事業承継こそ、企業と家族の未来を左右する大きな課題」――。この認識が、現在の事業承継支援への道筋を決定づけることになります。

山田さんとの出会い、そして4人のチームへ

「一般社団法人という選択――利益より、地域への想い」

事業承継支援への想いを抱いていた佐藤様にとって、十年来の知人である山田さんとの出会いが新たな転換点となりました。山田さんは不動産会社「メットデザインホーム」を経営し、「コワーキングスペース24」というコワーキングスペースも運営している地域の実業家でした。

佐藤様が抱えていた「埼玉県(主にさいたま市・大宮)エリアの事業承継問題を解決したい」という想いを山田さんに相談したところ、共通の志を持っていることが判明します。二人が選択したのは、株式会社ではなく一般社団法人という形態でした。

「ばんばん稼ぐのではなく、気軽に相談いただけるような枠組みでやりたい」――。この想いから、埼玉県スマート事業承継が誕生しました。

その後、同じく埼玉県で活躍する榎本さんと今井さんが加わり、4人体制での運営がスタート。現在はスマートグループとして「街づくり」「キャリア支援」「創業支援」「事業承継」の4社体制を構築し、4人のメンバーがそれぞれ代表を務める独自の運営スタイルを確立しています。

地域を盛り上げる――まちづくり活動との連携

「大宮公園に、数十年ぶりのボートが浮かぶまで」

スマートグループの母体となっているのは「まちづくり」活動です。特に注目を集めているのが、大宮公園での取り組みです。大宮公園の大池で数十年ぶりにボートを復活させたプロジェクトは、事業主体の五十嵐さんとの協働により実現しました。

その他にも精力的な活動を展開しています

  • 防災イベント(キャンピングカー100台以上集結、3回目開催)
  • 大宮公園フォーラムの開催
  • 埼玉県SDGs官民連携プラットフォーム「七夕Night+」

佐藤様は「まちづくりと事業承継は繋がっている。地域の特性や文化を次世代に繋ぐという点で共通している」と語ります。現在もグループのリソースの多くをまちづくり活動に注いでおり、地域への貢献を最優先に活動を続けています。

事業承継支援の現場――工場経営者の事例

「入り口から、まるっと。承継後も伴走する支援スタイル」

スマート事業承継での特徴は、「入り口からまるっと」の一貫サポートにあります。実際の事例として、さいたま市内の工場経営者の息子さんへの親族承継があります。

このケースでは、士業グループとワンチームを組んで診断・コンサルティングを実施。承継期間は早ければ半年以内、通常は年単位(数年)を要しますが、この事例では明確な方向性があったため半年未満で承継が完了しました。

しかし、佐藤様たちの支援はそこで終わりません。承継後も経営コンサルタントとして継続的に伴走し、顧問として長期的な関係を築いています。

「相続・不動産・株式問題など、個人と法人の両面に対応できることが強み」と佐藤様は語ります。「事業承継の定義は難しいが、承継後の経営加速支援こそが本質だと考えています」。

M&Aではなく、親族・社内承継へのこだわり

「60%を占める親族・社内承継。そこに光を当てたい」

現在、金融機関はM&A仲介に注力する傾向がありますが、国の統計によるとM&Aは全体の3~4割にとどまります。残り6割は親族・社内承継が占めているのが現実です。

佐藤様が親族・社内承継に注力する理由は、単なる数字の問題ではありません。「後継者が引き受けた後、事業を加速させていきたい」という想い、そして地域の独自性を守りたいという強い信念があります。

「東京の会社に持っていかれるのではなく、大宮らしさ、埼玉らしさを残していきたい」――。この想いは、まちづくり活動との共通点でもあります。地域の文化と経済を次世代へ継承していくことこそが、真の事業承継支援だと佐藤様は考えています。

出版活動と情報発信

「12冊の著書。事業承継の知恵を、もっと多くの人へ」

佐藤様はこれまでに12冊の書籍を執筆・出版しており、そのうち2冊が事業承継関連の内容です。これらの書籍は、スマート事業承継のメンバーである弁護士、税理士などの専門家との共著として執筆されています。

現在も事業承継本の第2弾を執筆予定で、埼玉県をキーワードにした実践的な情報提供を続けています。書籍とホームページを軸に、認知度向上を目指す取り組みを展開中です。

今後の展望――つながる場をつくりたい

「事業承継の仲間と、気軽につながれる場を」

佐藤様が現在課題として挙げるのは、埼玉県内での認知度向上です。「創業支援の場は多いが、事業承継の交流の場は少ない」と感じています。

「顧客側もプロ側も、気軽に集まれる場がほしい」――。この想いから、事業承継ラボのようなコミュニティに期待を寄せています。「つながる場が増えることで、埼玉県の事業承継がもっと前進する」と確信しています。

埼玉県への深い愛着について尋ねると、「メンバーの多くが埼玉県出身で、埼玉が大好き」と笑顔で答えてくれました。「埼玉県にフォーカスしたのは自然な流れでした」。この言葉からは、地域への純粋な愛情と使命感が伝わってきます。

編集後記

佐藤様の言葉からは、事業承継を単なるビジネスではなく、「地域の未来を守る活動」として捉える深い想いが伝わってきました。大宮公園でのボート復活、子供たちが集うSDGsイベント、そして工場を息子さんに引き継ぐ経営者への伴走支援――。すべての活動が「埼玉らしさを次世代へ」という一本の糸で繋がっています。

事業承継に悩む経営者の方、後継者として新たな一歩を踏み出そうとしている方にとって、埼玉県スマート事業承継は心強いパートナーとなるはずです。

一般社団法人 埼玉県スマート事業承継 代表理事
GSRコンサルティング株式会社

代表 佐藤良久氏
新卒で東急リバブル入社。その後転職し、不動産再生事業(リノベーション黎明期)に携わる。MBA取得後、親族の相続問題を機に相続コンサルティング会社へ転身。経営者からの事業承継相談の増加を受け、埼玉県スマート事業承継協会を設立。現在は不動産・相続・事業承継の3本柱で、地域に根ざした支援を展開。12冊の著書を執筆し、事業承継の実践的な知恵を発信している。

出版書籍

事業承継成功のトリセツ

事業承継ラボ

日本は大廃業時代に突入するとも言われ、 「事業承継」をいかにうまく行うか。そして、次の世代交代で新たなチャレンジを「IT」と「マーケティング」を活用して実施していく必要がある。 そんな、チャレンジングな強い日本企業の成長を支えて行きたいと考えています。 Facebook URL https://www.facebook.com/jigyoshokeilabo/ Twitter URL https://twitter.com/jigyoshokeilabo