事業承継に取り組もうと考えている方が増えている一方、煩雑な手順や税法、会社法を理解しなければならなかったり、仲介業者へ依頼した際に手数料がかかったりといった点がネックになって事業承継を進められない方も少なくありません。

事業承継を企業へ依頼した場合の手数料や、利用できる補助金について理解しておくことで、資金計画を立てやすくなるでしょう。
この記事では、事業承継をスムーズに進めるためにも、手数料や補助金といった資金面について紹介していきます。
10分程度で読み終わるので、ぜひお付き合いください。

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事業承継を専門家に依頼すると手数料がかかる?

事業承継を自社内だけでまかなうのは難しく、多くの企業が事業承継のプロへコンサルティングを依頼します。
依頼先は事業承継で求められる知識やノウハウを有した事業承継士や税理士、公認会計士などの財務のプロフェッショナルであることが多く、専門的な知見やノウハウを用いてソフト面とハード面の両方からサポートを受けられるのです。

こうした専門家へ事業承継を依頼する際に必要となるのが、依頼した企業へ支払う手数料
企業ごとに料金体系は異なり、前もって着手金が必要になる場合や、成功報酬の支払いのみで依頼が完了するものもあります。
しかし、大切なのは費用と結果の関係性、つまりコストパフォーマンスです。

費用対効果に重点を置いて事業承継を依頼する企業を選ぶのが重要ですが、そのためには手数料の相場を理解しておかなければなりません。

事業承継を依頼した際の費用相場は?

事業承継を依頼した場合にかかる費用は依頼先の企業によって異なります。
その金額が高いのか低いのか理解するためには、相場を理解しておく必要があるでしょう。
まずはどのような内訳で費用がかかるのか見ていきます。

事業承継を依頼した際にかかる料金一覧

事業承継の相談を受け付けている企業の多くは、以下のような内訳でクライアントから報酬を受け取っています。

  • 事前相談料
  • 着手金
  • 調査費用
  • 最低手数料
  • リテイナーフィー
  • 中間金
  • デューデリジェンス費用
  • 成功報酬

このうちどれかが無料であっても、かわりにどれかが高額になっている場合もあるので、依頼する企業を探す場合はどの料金がどれだけかかっているのか、くまなくチェックしましょう。

相場を知るには「レーマン方式」を理解する

レーマン方式とは、多くのM&Aコンサル企業で導入されている報酬の計算方法です。
M&Aを行った企業の取引金額に対して規定の割合をかけて手数料を算出する方法ですが、基準となる取引金額を何に基づいて計算するかは各社に任されています。
取引金額として扱われやすいのは、株式の総額と負債の総額を合計した『移動総資産』であったり、譲渡の対価として支払われた現金であったりと、取引金額の定義は様々です。

レーマン方式では、取引金額が高くなるほど掛けられる手数料率が逓減していきます。
まずは手数料率と計算方法を詳しく見ていきましょう。

 

取引金額が5億円以下の部分5%
取引金額が5億〜10億円以下の部分4%
取引金額が10億〜50億円以下の部分3%
取引金額が50億〜100億円以下の部分2%
取引金額が100億円を超えた部分1%

取引金額と手数料率の関係はこのように表されます。
例えば取引金額が8億円だった場合は以下のように計算します。

①8億-3億(5億〜10億円以下の部分は3億円)=5億円

まずは同一の手数料率で計算する金額を切り分けていきます。
8億円から差し引かれた3億円は、4%の手数料率で計算する部分なので、一度切り分けたと考えましょう。
それぞれの手数料率で個別に計算していきます。

②4%×3億=1200万円
③5%×5億=2500万円
④1200万+2500万=3700万円

8億円の取引金額では3700万円の手数料がかかるという概算が導き出されました。
レーマン方式を用いれば、ある程度は自社の事業承継やM&Aの手数料について相場を算出できるでしょう。

補助金を活用すればさらに事業承継がスムーズに

事業承継をすすめるにあたって検討したいのが補助金の利用です。
中小企業庁が手がけている事業承継補助金制度を利用すれば、事業承継やM&Aにかかる費用を大きく軽減できます。

他にも、地方自治体が主体となって事業承継を支援している補助金もあるので、ぜひお住いの都道府県や市町村でも調べてみましょう。
補助金を受け取れれば、事業承継で必要となる費用に充てたり、事業承継後の新規ビジネスを打ち出しやすくなったりといったメリットがあります。

事業承継は資金計画が成否を分ける!慎重な情報収集を心がけよう

事業承継を企業に依頼すると多額の手数料がかかります。
しかし、事業承継をスムーズに進めるためには内部・外部の環境を整える必要があるため、自社内だけで事業承継を進めるには限界があるのです。
こういった背景もあり、事業承継を考えている企業の多くは専門のコンサル会社へ事業承継の手続きを依頼します。
この記事で紹介したとおり、事業承継やM&Aの専門会社へ依頼する際は多額の手数料が必要となるので、依頼先は慎重に選ぶことが肝心です。
事業承継を依頼した場合の手数料や料金体系の仕組みを理解し、複数の企業から依頼先を選ぶようにしましょう。