事業継承は、既存の中小企業や個人事業主の事業や経営を後継者が引き継ぎ、次世代へ存続させるための取り組みの一つです。
政府や様々な団体がバックアップしていますが、少子高齢化などの影響もあり、後継者候補が見つからない企業も多く存在します。そのため、なかなか事業継承が進んでいないという実情があるのです。
この記事では、事業継承が進まない理由を紹介しつつ、最も深刻な問題である「後継者不足」に焦点を当てて、課題を解消するための方法を解説します。
10分ほどで読み終わるので、ぜひ参考にしてみてください。

事業継承が進まない理由はどこにある?

事業継承が進まない背景には、様々な日本の現状や中小企業が直面している課題が存在します。
いったいどのような理由が事業継承の行く手を阻んでいるのか、細かく見ていきましょう。

後継者不足

最も深刻な課題としては、後継者不足の問題があります。
どれだけ「事業を次世代へ継承したい」と考えていても、引き継ぐ「跡継ぎ」がいなければ意味がありません。しかし、少子高齢化によって若年層の数が減少し、高齢者の人口が増加している中では、有望な後継者候補を見つけにくくなるのも無理はないでしょう。

また、事業承継のあり方そのものが変わったという背景もあり、後継者不足はたんなる「若年層の不足」だけが問題ではないという見方もあります。
参考:長男が継ぐのが当たり前だった? 事業承継を取り巻く状況はどう変わってきたのか

これらの状況を包括的に捉えて、ひとつずつ原因を解消していく動きが必要でしょう。

ノウハウ不足

事業承継という言葉にスポットライトが当たり始めたのは最近のことですが、その背景には事業承継税制の施行がありました。相続税や贈与税が延納、免除されるこの制度によって、事業承継に取り組むハードルは大きく低下したと言えます。

しかし、会社法や税法が複雑に絡み合っていたり、後継者の教育や社内状況の把握、調整に専門的な知識が必要だったりするので、事業承継にまつわるノウハウ不足も、事業承継がうまく進まない原因の一つと言えるでしょう。

正しく事業承継の現状やメリット・デメリットを理解するためにも、まずは事業承継の概要について理解することから始めるのがおすすめです。

資金不足

事業承継を進めるためには、様々な税金や手続き費用が必要です。
決して安くない金額がかかるので、事業承継でかかる多額の費用がマイナスのイメージを与えているとも言えます。

上記の記事では、事業承継でかかる費用や税金を詳しく解説し、出費を抑えるために利用したい「事業承継税制」についても紹介しています。
また、事業承継を行う中小企業むけに支給されている「事業承継補助金」の利用方法にも触れているので、費用面のボトルネックを解消したい方は必読です。

うまく事業承継税制と補助金制度を組み合わせれば、税負担を無くし、補助金を利用して経営革新に乗り出す資金を確保することもできます。ぜひご一読ください。

事業をスムーズに継承するためのポイント

 

事業の継承をスムーズに行うためには、先ほど紹介したいくつかの問題点を正しく把握し、適切な対処を行う必要があります。
ここからは、実際に事業の継承を進めるために欠かせないポイントについて、詳しく見ていきましょう。

後継者不足を解消する

事業の継承を検討している方にまず意識してほしいのは後継者不足の解消です。
最も望ましいのは自社内、もしくは親族内に後継者としての素質を持ち、事業承継に対して高いモチベーションを持っている「アトツギ候補」が存在していることです。後継者として問題なく経営権を行使できるよう、綿密な教育を施す必要はありますが、事業の継承自体はスムーズに進められるでしょう。

しかし、自社内や親族内に後継者がいない場合は、まず後継者不足を解消するところから始めなければなりません。そのためには、事業引き継ぎ支援センターや民間のM&Aマッチング会社などに依頼して後継者候補を探してもらうことをおすすめします。
また、一般社団法人ベンチャー型事業承継などを通して若い後継者候補を探す方法もあるので、自社の属する業種や求める人材を明確にして、後継者探しに取り組むのがおすすめです。

ノウハウ不足を解消する

事業承継に関するノウハウは、手続きで必要な税務や法務、会社法などの知識から後継者の育成方法、社内環境の調整など多岐にわたるので、自社内だけでまかなうのは難しいのが実情です。
例えば後継者候補の教育が曖昧だと、事業の継承後に業績が低迷したり、最悪の場合は倒産してしまったりといったデメリットが生じる可能性もあります。

こういったデメリットを防ぐためにも、まずは経営者が、正しい事業継承の知識を得るところから始めましょう。その上で、信頼できる事業承継の専門家やM&Aの仲介会社に依頼して手続きを進めるのがおすすめです。

事業承継ラボでは、事業承継やM&Aにまつわる情報を発信し、中小企業や個人事業主が事業承継に取り組むために必要なノウハウを提供しています。
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資金を調達する/費用を抑える

事業の継承では多額の費用が必要になりますが、この費用を抑えたり、必要な資金を調達したりする手段を理解しておくことで、事業承継のハードルはぐっと低くなります。

事業の継承では、会社の経営権を譲り渡すために「自社株式」を後継者に委譲しなけらばならず、この際にかかるのが贈与税、もしくは相続税です。
いずれも自社株の評価額に応じて税率、課税額が変わるので、なるべく自社株の評価額を低くしてから株式譲渡を行うのがセオリーと言えます。

以下の記事では、自社株の評価額を低下させて、節税効果を生み出しながら株式譲渡を行う方法を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

もちろん、事業承継税制を使わない手はありませんが、あくまで事業承継税制は「納税を猶予する」というだけの制度。条件に縛られ続けるというデメリットも存在するのです。事業を継承するためにさまざまなコストがかかることは否定できないので、正しくコストを把握することから始めましょう。

このコストを抑えることも大切ですが、まず始めに検討したいのが「事業承継補助金」です。
もっとも有名なものでいえば、中小企業庁が行っている事業承継補助金があります。
他にも、各地方自治体が補助金を支給しているケースもあるので、ぜひ自社が利用できる補助金制度がないか、探してみましょう。
以下の記事では、補助金制度の概要を紹介しつつ、中小企業庁の補助金制度に加えて各自治体の補助金制度を解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

事業を継承する手順を紹介

事業を継承するためには、後継者不足を解消した上で、様々なハードルをクリアしていかなければなりません。
事業の継承を意識し始めたタイミングで手順を理解しておくと、スムーズに準備を進められます。

事業承継の手順については、以下の記事で詳しく解説しているので、合わせて確認しておきましょう。

後継者不足を解消して事業継承を進めよう

事業の継承は、次世代に自社の文化や資産を残すための大切な手段です。もちろん、リスクがないわけではありませんが、それを補って余りあるメリットが存在するので、中小企業や零細企業を経営している方には、ぜひ前向きに検討してみてください。

事業承継で得られるメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
ぜひ情報収集に役立ててください。