事業承継総合センターは、株式会社リクルートが運営している後継者探し・買い手企業様探しをサポートするサービスです。企業の将来の為に最良な選択肢を共に考える”総合窓口”として活動しています。本事業の発案者でもある元由氏にインタビューを実施しました。

“後継者不足”で悩まれている経営者の為の総合窓口

――貴社の事業概要についてお聞かせ下さい。

はい。はじめに、お客様の対象は基本的に中堅・中小企業様です。売り上げ規模で数千万円の小規模会社から、数十億~数百億円程度で上場していない中小企業様を対象としており、「後継者未定・後継者不足」のオーナー経営者様に対しての総合窓口として事業を進めております。

我々は一般的な事業承継支援会社及びM&A仲介会社とは立ち位置が違います。民間企業ではありつつも、無料の相談窓口としてオーナー経営者様から相談を頂いており、”親族内承継”・”第三者承継”・”M&A”・”廃業”など、様々な選択肢がある中で、我々のサービスやツールを活用いただきながらオーナー経営者様にとって最も最適な選択肢を考えて、相談にお答えしています。

 

――約60社もM&A仲介会社と提携

我々は約60社のM&A仲介会社と提携しています。各提携企業は、関西や東北など各地方に強い企業や、製造業など一定の業界を得意とする、小規模企業のみに特化している、などの様々な特徴を持っています。

数ある将来の選択肢の中から、”M&A”を選択して頂いた際には、提携している約60社のM&A仲介会社の中から、得意な“業界”や”エリア”、”担当者”や”実績”、はたまた”発生する費用”等の様々な要素、加えて、提携しているM&A仲介会社から事前に”1万件以上”の買い手案件を共有頂いており、”相性”や”案件”など全てを考慮して、ご相談頂いた企業にとって最も相応しいM&A仲介会社を最終的に1社選定し、オーナー様へご紹介させて頂いております。

会社HP:https://rbsp.jp/

 

M&A仲介会社と企業の間に入る新たな立ち位置

――設立のきっかけ・思いをお聞かせください。

本事業は、現在事業責任者の三木と二人で取り組もうと話したのがきっかけです。当時、三木は後継者求人の事業に携わる中で事業承継・M&A業界の拡大可能性を感じており、私は人材紹介の部署に勤めていた際に金融機関などから事業承継・M&Aに関する求人増加の可能性を感じていました。

事業の立ち上げ前に、数百人のオーナー経営者様へインタビューさせて頂いたりしながら彼らの思いや現状を調べていくと、事業承継・M&Aに関して「相談相手がいない」という声をとても多く頂きました。もちろん税理士や金融機関など一定数の相談できる相手はいるものの、なかなか実際にアクションに移せていないという現状があり、その背景には「利害関係のない方へ相談したい」というオーナー様の思いがありました。
また、普段から関りのある顧問税理士や銀行に対して、話しやすいという利点はあるものの、相談相手として適切とは言い難い場合が多々あります。

 

――中立的な立場の”相談窓口”を

そこで、我々は中立的な立場で、オーナー経営者様にも相談して頂きやすい窓口になれると思い設立を決意致しました。

国内400万社のうち2/3が後継者不足と言われていますが、実際に事業承継・M&Aが行われているのが5,000件、非公開の案件を含めても恐らく1万件程度と、事業承継・M&Aはもっとされるべきであるにも関わらず、ほとんど進んでいないという現状があります。このような数字から、相談をできずに会社を経営されている社長が世の中にはもっといるのではないかと思ったのもきっかけのひとつです。

 

国内における事業承継・M&Aの現状

――現在の日本の事業承継・M&A業界に感じていることをお聞かせください。

事業承継・M&A市場において、M&A仲介会社が増えていること、また、事業承継・M&Aに関心を持つ方・取り組まれる方が増えていることは非常に良い事だと感じ、後継者不足という社会課題に対しての取り組みが活発になっていることは嬉しく思います。しかし、活動が活発となった一方で、弊社の相談窓口には下記のようなご相談を頂くことがあります。

「着手金を数百万円払ったのにトップ面談等、しっかりお相手を紹介して頂けなかった。」
「担当者と相性が合わず、連絡を取らなくなってしまった。」

また、「複数のM&A仲介会社へ問い合わせてみるも、良いことばかり言われて真意が見えない。」というような、結局どこに相談すれば良いか分からず悩まれているオーナー経営者様が多くいらっしゃると感じています。

そのような方には是非とも我々にご相談して頂ければと思います。我々はフラットな立場でいます。ご相談に応じて比較検討しながら案件や仲介会社を選んで頂くことが可能です。

 

――コロナ禍における事業承継・M&Aの動きはいかがですか。

増えてきているように感じます。昨今のコロナウイルスの影響で資金繰りや先行きに不安を感じられる方が純粋に増えてきました。加えて、逆にここがチャンスだと思ってM&Aでの買収を考えられる方もいらっしゃり、業界としてはやはり活発となってきています。

 

「相談のしやすさ」が活きたサポート事例

――貴社のサービスを活用されて、事業承継・M&Aがうまくいった事例はございますか?

とある製造業のオーナー社長がされたM&A案件で、相談相手がいらっしゃらない状況のオーナー社長様に対して、我々が相談しやすい立場にいるメリットを活かして、相談して頂き無事M&Aの成約までに至った事例がございます。

オーナー経営者は、普段から社長であり、家庭では父親であり、株を持つ資産家でもあり、様々な側面があります。オーナー社長様は従業員に相談できず、少し奥様に相談してみるも解決には至らず、税理士や銀行、またセミナーに行ってみても不安で相談が出来ず、という状況でした。
そんな中で我々にご相談頂きました。はじめは、何度かオーナー様の元へ足を運ばせて頂き、お話を聞いてご相談内容を伺っていました。最終的には我々が紹介させて頂いた仲介会社様でM&Aをご成約して頂く事が出来ました。色々迷われていましたが、最終的に「相談をしてよかった。」と仰って頂いたのが非常に印象的でうれしいことでした。

事業承継総合センター“という社名の通り、M&Aのみならず、親族内承継、従業員承継、廃業支援すべてにおいて支援することが可能で、かつ、それらで実際にサポートした事例もございます。M&Aだけに囚われず、相談された会社及び社長にとって最も良い未来の為にサポートできるのが我々の強みです。例えば、会社の将来の道筋がM&Aと決まっているのであれば、M&Aの成約に全力でサポートし、まだ決まっていないのであれば、決める為にサポートさせて頂きます。

弊社には簡易的な自社株評価ツールや企業価値診断、レポートの作成等、無料で取り組めるサポートもあります。我々を是非気軽に活用して頂き、将来の計画を立てるお手伝いができればと思います。

※その他の成約事例はこちらから

 

事業承継・M&Aをお考えの経営者へ

――事業承継・M&A支援を通して今後成し遂げたい思いをお聞かせください。

現在は営業メンバーを増やし、事業規模の拡大に取り組んでいます。これまでは東京にしか事務所がありませんでしたが、今後は様々なところに拠点を増やしていければと考えており、日本全国どちらからでも相談可能な体制を構築していきたいと考えています。

 

――まだ、事業承継・M&Aに取り組めていないオーナー経営者様へメッセージをお聞かせください。

事業承継・M&Aは非常にセンシティブな問題なので、情報の秘匿性の観点からも、誰にも相談できずに一人で抱え込んでしまっているオーナー社長様は多いと思います。しかし、なにかしらアクションを起こさないと状況を変える事はできません。
相談頂いたからと言って必ず事業承継・M&Aをしなければいけないというわけではありませんので、我々でなくとも、まずは勇気を出して誰かにご相談して頂きたく思います。それだけでも大きな一歩になります。

 

――事業承継・M&Aを少しでも進展させる為に

事業承継・M&Aについて、”重要”であることは理解しているが”緊急”ではないと考えていらっしゃるオーナー様がほとんどだと思います。「目の前の経営に精一杯で事業承継・M&Aに取り組めていないが頭の片隅にはいつもある。」という状況は経営という責任をもつ社長には仕方ない事でもあると思います。

我々は「いつまでに事業承継・M&Aを完了したい。」というオーナー経営者様の意向を尊重することを大前提としています。ただし、そのように明確にプランをお持ちでないオーナー経営者様がいらっしゃれば、将来のプランを少しでも決めて頂くうえでのひとつの判断材料として我々の自社株評価ツールや企業価値算出ツールを是非ご活用ください。

情報のひとつとして知っておいて頂けるだけでもオーナー社長様にとっては一歩先に進むことが出来るのではないかと考えています。

 

事業承継総合センター

株式会社リクルート 新規事業開発室 プロダクトオーナー
元由 直樹 氏(モトヨシ ナオキ)

慶應義塾大学理工学部卒業後、大手ファクトリー・オートメーション総合メーカーに入社。モノづくりの現場におけるファクトリー・オートメーションを提案。2014年から株式会社リクルートキャリアに入社。金融機関やコンサルティングファームを中心に、クライアントが抱える採用課題を解決。社内の新規事業提案制度において、グランプリを獲得。2017年4月以降、株式会社リクルートが提供する「オーナー社長のための事業承継総合センター」におけるディールマネージャーとして全案件に携わり、多数のM&Aを成約に導く。