東京都で約20年間、中古マンション買取再販事業、仲介業、FC事業を営まれている株式会社エフステージが、株式会社クラリスキャピタルのサポートで、2021年1月にM&Aを成約しました。
今回のM&Aは、広く一般的な「売り手 ⇒ 買い手」へのアプローチではなく、買い手側の株式会社エフステージからの積極的なアプローチによって成約に至りました。
買い主である株式会社エフステージ代表の藤島様と、売り主の株式会社Hyrax代表の服部様、そしてお二方の間に立ってサポートされたクラリスキャピタルの仁科様にお話を伺いました。
※本インタビューは前編・後編の2部構成となっています。まず前編では売り手企業である株式会社Hyrax代表取締役の服部氏のインタビューを掲載しています。
――はじめに、株式会社Hyraxをスタートした経緯をお聞かせください。
はい。もともと私がWeb制作会社に勤めおり、その頃から独立を考えていた経緯があります。フリーランスとして、自分の力でチャレンジしてみたいと考えていましたが、ちょうどその頃、当時の同僚が同タイミングで独立を考えており、「一緒に働きたい。」というお言葉を頂いたので、一緒にやってみようと思いスタートしたのが株式会社Hyraxです。
――どのような事業内容でしょうか。
様々な企業様のコーポレートサイトやメディアサイトの制作を行っています。弊社は、システムエンジニアが多く在籍しており、システム面に強いというのがセールスポイントです。
また、これまでウェディング業界の会社様のサイト制作に携わる機会が多かったです。今回、不動産業である株式会社エフステージとのM&Aとなりましたが、実はこれまで、不動産関係の企業様とお仕事をする機会はほとんどありませんでした。
会社HP:https://hyrax.co.jp/
――M&Aを考え始めたきっかけをお聞かせください。
明確に「M&Aで」とは決めていませんでしたが、会社を設立して2年程経過した頃から、どのように会社の区切りをつけるかと考えていました。代表としてこのまま10年20年と会社を経営していくイメージが湧いてこず、しばらく自分の中でモヤモヤした状態が続いていました。
そんな時に、たまたまクラリスキャピタル様よりお声かけ頂き、お話を伺ってみると魅力的だったので、そこからM&Aでの売却を考え始めました。今回のお話を頂くまでは全くM&Aを検討していませんでした。
――M&Aの取り組みは大変でしたか?
クラリスキャピタル様にしっかりとサポート頂いたおかげで、スムーズにM&Aを進めることができ、大変だと感じることはほとんど無かったです。
仁科様からご提案頂くまでにも、何度かM&A仲介会社様から「会社を売却しませんか?」と、連絡が来ることはありましたが全てお断りしていました。しかし、仁科様からご連絡は「御社に興味をお持ちの会社様がおられる。」と、具体的な話を伺うことができたので興味を持つことができました。実際にサポートして頂いてからも、色々とアドバイス頂けて、とても助かりました。
仁科様は、非常にフランクに相談することができ、聞き難いことも気軽に相談することができました。私自身、M&Aに対する知識が全くない状態でしたので、細かくサポートして頂きとても助かりました。
――ご自身で何か取り組まれたことはござか?
M&Aの事例を調べて「どのようにM&Aが進んでいくのがセオリーなのか?」といった、自分のこれからのM&Aの取り組み方をイメージすることに取り組みました。
株式会社Hyrax 代表取締役 / 服部 良弘 氏
――株式会社エフステージ様とのM&Aをご決断された一番の理由は何ですか?
もともとご提案を頂いたお話でしたので、「買い手候補として選んで頂いた。」という思いが強いですが、エフステージ様が我々に対して、とても気遣って頂いてることを感じられた点が大きな要因です。また、「なぜ我々を魅力的に感じているのか。」「なぜ必要としているのか。」が明確で、それに対して我々が貢献できると判断することができたので、M&Aを決意することができました。
――実際にM&Aを締結されての感想はいかがでしたか?
一言で申し上げると、「肩の荷が下りた。」と感じ、安堵感がありました。また、実際に会社を手放してみて初めて感じる「寂しさ」や、これからどうしていこうかという「不安」など、様々な感情が込み上げてきたのを覚えています。
会社として、キャッシュフローなども特にマズい状況ではありませんでしたが、5~10年先を見据えた時に「このままでやっていけるのか?」という不安があったので、M&Aを成約して一旦区切りをつけることができ、安心できたことが一番大きな感情でした。
――今後の服部様の取り組みをお聞かせください。
会社は譲渡しましたが、私はこれからもHyraxの代表取締役として関わっていきます。これまでは、私自身もweb制作の最前線に立っていましたが、M&A後は会社経営・マネジメント業務にもしっかりと取り組みます。
シナジーという観点では、もともと渋谷にオフィスを構えていましたが、M&Aが成約して1ヶ月程で、エフステージ様のオフィス近くに引っ越しをし、順調に協業体制に入りつつあります。M&Aの話を進めている段階から協業をイメージできていたこともあり、実際に今スムーズに取り組めています。
引っ越し以外にも、税務や労務関連もエフステージ側に合わせていっています。また協業を加速させるため、積極的に採用活動を進めており、早速1人採用させて頂きました。
株式会社Hyrax様は、積極的に採用活動を行っております。
会社としても環境が変わったばかりで、これから改めて会社を作り上げていくためにも、チャレンジングな環境で働くことができるのではないでしょうか。ご興味をお持ちの方は是非お気軽にお問い合わせください。
採用ページ:https://hyrax.co.jp/recruit/
――M&Aがこれほどスムーズに進んだ理由は何でしょ?
スムーズにM&Aを成約することができた理由を考えた時に、「お互いが誠実に取り組んだこと」が一番の要因だと思います。話しづらいことも先にお伝えし、それも含めて検討して頂けたので、スムーズにM&Aを進めることができたと思います。
――Hyraxの在籍スタッフへはM&Aのお話をどのように伝えていましたか?
弊社スタッフにはM&Aを検討している旨を早い段階から共有していました。
弊社は何かサービスを提供している訳ではありません。Web制作の技術、人材こそが我々の価値です。M&Aによって人材が1人でも抜けてしまうと、譲渡企業に対する提供価値が落ちてしまいます。そのため、全員が納得をしないのであれば、M&Aをしないという思いでした。
M&Aの全体的な説明と、仮に売却が成約したらどのような未来になるのかというのはしっかりと説明をし、対話ができていたこともあり、M&Aをネガティブに捉えるスタッフはおらず、M&A後も一人も欠けることなく仕事に取り組めています。
――本M&A案件の特徴をお伺いできますでしょうか。
通常は、売り主様から「会社を売りたい。」とご相談を頂いて、買い手企業を探し始めるのが一般的なM&Aの流れです。
一方で今回は、弊社のアプローチサービスをご活用されて、買い手様にて気になられている企業を共有頂いて、弊社からアプローチをしました。売り手企業様には、いきなアプローチをするわけですから、以下の2点を意識して、しっかりと分かるやすくお伝えしました。
①買い手企業がどんな会社で、なぜM&Aをしたくて、なぜ御社に興味をもっているのか。
②そもそもM&Aが何で、どのように取り組めばよいのか。
――服部様はどのような方でしたか?
「誠実で嘘をつかない」という点が、服部様への印象です。分からないことは分からないと素直に仰って頂き、疑問があることはその都度ご質問して頂きました。また、都合の悪いことも隠さずに事前にお話しして頂いたことで、スムーズにM&Aを進めることができました。買い手様からも、非常に誠実な方だという印象だと伺っております。
――服部様の素晴らしいお人柄がどのようにM&Aに影響しましたか?
買い手企業様から頂いたリストの中で、実際に面談をした会社がHyrax様を含めて3社ございました。ですが、服部様との面談後には「他の会社様は断って欲しい。」と、買い手企業様よりお話を頂きました。
その理由は、服部様がとても誠実な方で、真摯にご対応して頂いたことがあり、買い手企業様も誠意をもって取り組みたいという思いの表れでした。
――本案件を成約できた理由は何でしょうか?
M&Aにおける両社の目的がはっきりしていました。
そのため、面談時に揉めることもなく、むしろこれからの未来について話をされていることの方が多く、素晴らしい関係を築くことができたと考えています。お互いにネガティブな部分を包み隠さずお話されており、しっかりと対話できていたところがスムーズにいった理由だと思います。
売り手:
株式会社Hyrax 代表取締役 / 服部 良弘 氏
HYRAXはWebアプリケーション開発を得意とする会社です。お客様の抱えている課題を解決するために、誠実に、親身に、スピード感をもって取り組ませていただきます。
私達が作るのは、未だ見ぬ誰かを幸せにするためのwebサイトです。
買い手:
株式会社エフステージ 代表取締役 社長 / 藤島 昌義 氏
エフステージの営業の仕事は、物売りでも情報売りでもありません。仲介業者様と良きパートナーとなり、売主さん・買主さんに喜んでもらえる仕事をすることです。エフステージは安く買って高く売りつけるような昔の買取再販業者ではなく、中古マンションという財産に安心・快適なリノベーションという付加価値を付けて幸せな暮らしを提案していく。そして東京という大都市にたくさんのエフステージの物件をつくることを目指しています。
株式会社クラリスキャピタル 専務執行役員 / 仁科 昭二 氏
1997年東京理科大学理工学部数学科卒業。
2017年6月にクラリスキャピタルのパートナーとして参画。
それ以前は、政府系金融機関やノンバンクにて、コーポレートファイナンス、ストラクチャードファイナンス、不動産証券化、売掛債権証券化等の業務、外資系証券会社にて、M&Aアドバイザリー業務に従事し、TOBやエクイティファイナンス等の業務にも携わる。
M&A成約案件実績一覧
https://clarisc.co.jp/performance/
M&Aランキング入り等の実績
https://clarisc.co.jp/ranking/