全国60社以上の事業承継・M&A 支援機関との提携があるM&A 仲介業務を一切行わない完全無料のM&A相談窓口である株式会社日本提携支援 代表取締役 大野駿介氏に起業された背景や支援内容についてお伺いしました。

なぜM&A支援会社と売り手を繋げるというモデルで起業されたのですか。

その理由としては2点あります。
まず1点目は、自前でアドバイザリー業務に関わると、お客さんの相談に対して手数料がコスト的に見合うかどうかという視点が発生してしまい、入ってきたご相談すべてに対応するという姿勢を保てなくなるということです。

具体的に事例を挙げますと、赤字で債務超過を抱えていた運送会社さんが、手数料が高額な大手М&A支援会社を利用できないということで当社にご相談をくださったことがあります。そこで我々から運送業に強いM&A支援会社に話を持っていったところ、数か月で成約が決まりまして、そこのドライバーさんにも社長さんにもとても喜んでいただけました。М&Aにおいては、まず初めに誰に相談するかということが非常に重要なんですね。

もう1点は、第三者的な情報提供ができなくなってしまうことです。
М&A支援会社の立場からですと、立場上どうしてもМ&Aをお薦めしたい気持ちが出てしまうでしょう。
一方で我々としては、М&Aでなくてもよい状況ならば親族承継のプロの方に取り次ぐなど、客観的な立場から柔軟な対応を取ることを重要視しています。

当社にご相談をくださるお客様で、会社として最初からМ&A一本、あるいは親族承継一本と決めているケースはあまりありません。基本的には複数の可能性を同時並行で考慮しているという状態ですので、当社としてはそうした早め早めのご相談に応えるため、入ってきたご相談にはすべて対応する、客観的な立ち位置から情報提供をする、ということを心がけています。

社名を変更されますが、理由と由来を教えてください。

新しい社名は「日本提携支援」といいます。
由来としては、日本全国の会社の提携、それも資本提携も業務提携も包括した極めて広い範囲での提携の支援を目指している、ということを示しています。

今後の日本のマーケットを見据えたとき、一社単独で事業を進めるというよりは、大企業であったり公共機関であったり海外の投資家であったり、そうした複数の機関が協力して戦略を作っていく形が多くなると思います。そこで単なるМ&A情報提供屋に止まらず、多様なニーズに対応できるという姿勢を見せていきたいですね。

それに伴って新たな事業を開始することはありますか。

そうですね、新たにサービス名をM&Aオファーとします。
内容としては、売り手の希望条件を登録しておくことで、M&A支援会社の保有する買い手候補や提示可能な条件からそれに対応したオファーを健全に提供できるようなプラットフォームを作っていきたいと思っています。

ただしこの場合でも、自社でМ&Aのアドバイザリーや仲介に立ち入らないということはベースとしてあります。もちろん収益的には損失ですが、M&A会社と協同することによって提供できる情報の質を高めることができます。セカンドオピニオン的に介入することはあるでしょうが、そこはあくまで一線を画すべきだというのが当社の考えですね。

その他の事業として、M&A支援会社の立ち上げの支援などにも関係していると伺いましたが、そちらについて教えてください。

現在はソーシングに関するサポートを初めとして、М&A支援会社に対して多彩なサポートを実施しています。

この業界の一つの課題として、事業承継で困っている、あるいは成長戦略で困っている売手は多い一方で、М&Aの実務を一定経験している人材は限られているということがあるんです。それはどうしても職人的な要素が強い仕事だからなのですが、やはりそれぞれ異なった強みを持つ職人さんがどんどん出てきてもらった方が、プラットフォームとしての幅は広がりますよね。

そこで他社とは違う強みがあるМ&A支援会社を立ち上げたけれども、役員の方々はМ&Aをまとめる方に集中しないといけない。ただし若手の方も教育もしなければいけない。そういうときには我々がソーシングや社員の教育といった面でサポートさせていただくことで、М&A業界の多様性に貢献していきたいと思っています。

御社の強みを教えてください。

会社としての強みは、現段階でいうとソーシング能力の高さです。ソーシングの方法としても、経営者に対して直接アプローチをするという以外に、逆に提携先の企業からお客様を紹介していただくということも多くあります。そうしたネットワークを活用できるという面がひとつの強みですね。

他方で事業としての強みというと、相談者様のМ&Aニーズが強くても弱くても、一定以上の情報量は提供できるということです。それこそ選択肢として、事業を売っても売らなくても、あるいはМ&A以外の形も提示できる。事業承継すべてに対応する窓口として機能しているんです。

今後の展望をお伺いできますか。

そうですね。当社は現段階ではこの規模であるということで一定の信頼を勝ち得ているのですが、今後拡大するうえでは大企業や行政と連携する必要性があると思いますので、そのために「日本提携支援」という会社の信頼性を高めていきたいですね。

規模が大きくなったとしても誰かが損をするというタイプのビジネスではないので、成立したときに売り手さんも、買い手さんも、支援をしたМ&A会社も、相談をくださった方も、当社も、本当にみんながハッピーになるようなМ&Aを広げていきたいと思っています。

最後に、記事を閲覧している方へのメッセージをお願いします。

現在全国にM&A支援会社が溢れている中で、本当に仲介をできる方はかなり限られています。直近も新しい会社がどんどん出来ていますが、すぐに事業が縮小してしまうパターンも珍しくありません。そしてそんな中で、まずどこに相談するか、ということはとても大事になってきます。

そして誰に相談すればよいのか分からないというとき、当社ならば第三者的な立ち位置から客観的な情報提供ができますし、誠実なМ&A支援ができる方々をご紹介することもできます。当社は5年先、10年先を見据えた「早すぎる相談」をお待ちしていますので、どんなに漠然とした内容でも、まずはご相談を頂ければ、と思います。

 

ディレクター/桐谷晃世