経営コンサルティング、事業承継支援、補助金活用支援と多岐にわたるサービスを提供し、中小企業の要望にあたたかに応えるおおはら経営相談事務所の大原 健佑様にお話を伺いました。

執筆者:桐谷晃世

設立のきっかけを教えていただきたいです

元々は製造業に10年ほど勤めており、その当時には設計開発や品質管理、生産技術といった、技術系の仕事をしていました。

それからきっかけがあってコンサルタントに転職した後、最初は経営の知識が全くないまま生産技術的なコンサルティングしかしていなかったのですが、やはり経営全体を見なければいけないという気持ちから中小企業診断士の資格を取りました。

そんな折に独立することになりましたが、そこでIT活用だとか製品開発だとかの製造業向けのプロジェクトは従来通りに進めるとともに、新たに事業承継を含む経営相談を別の事業体で始めようと考えました。そこで従来の製造業向けのプロジェクト支援サービスを株式会社GEMBAコンサルティングとして分離し、個人事業として残したのがこの経営相談事務所なんですね。

具体的な支援内容をご教授いただきたいです

 当所は経営や業務改善、サービス開発まで幅広くコンサルティングしていますが、事業承継関連で力を入れているのは後継者の育成です。

 これは私がそうした後継者の方々と年代的に近いということもありますが、特に私の経歴と関係する強みとして、中小企業の次世代の経営者の方々は、基本的に現場の叩き上げなんです。ですので現場のオペレーション一筋だった方々が経営に参画するための視点をどのように切り替えていくべきか、というメソッドを経験を踏まえて提供することができますね。

 育成にかかる年数としては、やはり事業承継そのものが長期的なプロジェクトということがあり、標準的には7年ほどを見ています。その中で株式も含めた代表権の譲渡や、現行の社長がその後にどのくらい伴走するかということも決定します。

 承継の支援をしていて考えたこととしては、社長が承継後にいきなりいなくなるというパターンはよくないということですね。しばらくは会社を見守るようなポジションで組織の将来的なあり方を考えたり、ある程度は伴走もしていただくというのが当社の方針です。 

後継者の方はどういった層なのでしょうか

 当所で対応している事案では、基本的には社内から後継者を選抜する方法を推奨しており、どうしても候補がいないという場合はM&Aなどの第三者承継を選択しますが、М&A仲介事業者などを活用した承継は最も優先順位が低く、当社としては基本的には取り扱っていないですね。 

事業承継以外の支援についても伺いたいです

事業承継にまつわるコンサルティング以外にメインにしている事業としては、各種補助金の活用支援があります。

国の補助金でニーズが高いものとしては、主にものづくり補助金と小規模事業者持続化補助金になりますね。特に小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者と言われる方々が販路開拓に使うものですので、その活用ということでパンフレットや看板の作成、ウェブサイトの刷新といった営業の改良改善にも携わっています。

その他にも各都道府県や市町村など、各自治体で補助事業制度があるので、そちらもウォッチして随時活用できるものがあればご紹介しております。

 支援されている地域は全国的にやられているんですか

そうですね、全国的に展開しており、現在は特に川崎を拠点としていますが、そのほかには長野県や高知県にもクライアントがいらっしゃいますので、月に数回は伺って対面でお話をしていますね。 

長野県よろず支援拠点コーディネーターをやられているとお見受けしましたが、どのような支援をされていますか。

私の場合は主に原価管理ですね。経営の原価管理の面を円滑に進めるための方法を求められることが多いですし、他のご相談でも路線としては同じで、製造業の生産性に関わることが基本になります。

それは先述したような私の経歴もあり、技術面の相談が多く割り振られていますね。 

次に御社の強みをご教示いただきたいです。

私自身が元々現場にいた経歴がありますので、技術畑の人間が開発して量産化をする、そこにお客様からの引き合いがあって世の中に出す、というところの一連のプロセスを知っていることが事業としての核になっています。

なおかつ中小企業診断士の資格のもと事業承継支援を行ったり、補助金のご相談にも乗ったりと、幅広くかつ縦にも深いお話ができることが一番の強みであると考えていますね。

それと年代的にも利点はあると思います。後継者の方々と同じ目線でお話ができるということもそうですし、ITやAIといった最新の手法も積極的に取り入れることを心がけております。 

今後の展望についてお伺いしたいです。

最近だとコロナ融資の返済が始まっており、特に規模が小さい会社ほど苦しい状況になっていくでしょう。

ただしどんな企業であれ、たとえば設備や建物の老朽化といったそう遠くない将来の課題を抱えていると思いますので、そうした状況を乗り切るために特に地方の中小企業にも稼ぐ力を身に付けてほしいですし、そのために私の知識が少しでも役に立てれば、という気持ちですね。

ですので今後はスタッフの増員も視野に入れて、よりトータルに相談に乗れる事務所を目指していきたいです。 

事業承継の経営者跡継ぎに向けてメッセージを最後にいただきたいです。

やはり一番に伝えたいのは、事業承継の過程でも後でも、後継者の方はとても不安を抱えているということです。

今の社長のように動けるのだろうか、と考えてもできるわけはないのですが、そうした悩みを少しでも軽減するために、現行の社長には積極的にコミュニケーションを取ってほしい。たとえば社長の鞄持ちで色々なところに連れまわすというだけでも効果はあると思うんです。

また後継者の方には、初めての経験で悩みや不安を抱くのは当然ですので、身近な人や同じ境遇の人、それに私のような支援者に遠慮なくご相談していただきたいと思います。

私どもの事業承継支援では、弁護士、司法書士、税理士、社会保険労務士といった各種講師業の得手不得手を活かしながらチームで経営全体を引き継いでいくということを意識しているので、特に後継者の育成に関する経営のご相談であれば、ぜひともお声かけいただければと思っております。