独自クラウドプラットフォームで匠の事業や技術を承継する次世代型の事業承継支援システム『ジーアーチ匠マッチング』を提供しているジーアーチ株式会社の代表取締役社長 加藤博敏氏にサービス内容や構想のきっかけについてお伺いしました。

執筆者:桐谷晃世

サービス内容について詳しく教えてください。

 私どもは、一般に普及しているいわゆる「成約型」ではなく、いわば「面談型」のМ&Aマッチングアプリケーションを運営しています。

 詳しく説明しますと、まず事業承継をしたいという候補者の方と、そうした候補者を探している企業の両者がプラットフォームに登録し、まずは互いに比較検討を行うんです。
たとえばこの方はどういう実績を持っていて、どういうお仕事を過去にされていて、どういう思いを抱いているか、といったことですね。

そうした検討の段階を乗り越えて、両者がぜひお会いしたいと合意した場合に面談の段階へ進みます。
そしてその時点でプラットフォームへの面談課金が発生します。
つまり面談1回につき1000円と設定していたら、両者が1000円を支払うことになり、もう一度面談する場合には再度1000円を支払うことになります。

そうして関係が進展していくと、最終的には直接お会いすることになると思うんです。そこにプラットフォームが関与することはありません。あくまでネット上で出会いを創出するだけなんですよ。

ですのでサービスを利用して、交渉が成立して、例えばこの会社を100万円で買いますということになったとき、プラットフォームに対する費用は掛からないんです。それはお二人で協議の上で済ませていただいたら結構ですから。

 またこのビジネスモデルは既に特許を取得していますので、今後は横展開していくということも考えています。
つまり他社がこうした形態でМ&A仲介をしたいと考えたとき、私どもがモデル自体を要望に合わせてカスタマイズしたうえで、私どものモデルをレンタルするということですね。

 こちらは開始したばかりのサービスなのですが、弊社のパートナーである(株)カスタメディア要望を十分反映させ、カスタマイズ込みでも少額で独自のプラットフォームを展開してくれますので、非常に有用だと考えております。

このサービスを作ろうと思ったきっかけなどをお伺いできますでしょうか。

これまでコンサルとして主に中小企業の支援を続けていて、その中で感じたことは、そうした多くの企業で後継者難という問題があることなんです。

ただし中小企業にも非常に優秀な技術を持っているところは多くありますし、そうした事業は脈々と受け継がれていかなければならないと思います。それに今後そうしたことに従事したいというアグレッシブな若い方はたくさんいると思うんですよ。

ですのでビジネスとしてどうかということではなくて、純粋に小規模な企業を支援したいという気持ちでこのサービスを開始したんです。

加えて、従来のМ&Aでは基本的に高額な仲介料が要求され、小規模な企業には利用しづらいものとなっていました。そこでできるだけリーズナブルな価格で出会いの場を提供したいという思いがあり、前述したように面談時に少額の課金をしていただくシステムとなりました。

匠というのは「技術(技)」の継承の意味も多分に含まれているようにお見受けしましたが、「技術(技)」の継承というのは、マーケットを見ても珍しいアプローチだと思うのですが、その中で事業の存続と継承への期待をお伺いできますでしょうか。

 私自身、これまでコンサルとして商社、医療関係、自動車関係、精密機器関係と様々な業界に身を置き、色んな零細企業を間近に見てきました。

また10年以上アメリカで仕事をしていたこともあるんですが、日本でもアメリカでも、大手企業の技術というのは基本的に中小企業の技術に守られていると実感したんですね。自動車も精密機器も、中小企業なしに作ることはできません。

現在、そうした技術を持つ中小企業が失われていっているという現実があります。
それは日本の経済にとって非常に良くないことですから、どうにかして継承され続けてほしいという思いがありました。

さらに言えば、やはり外資に買われるということではなくて、この国の中で生き続けていくということが理想ですね。

 

著者  桐谷晃世