株式会社ヒロコウは、広島で創業36年の実績を持つ建設会社です。鳶工事をメインとして法人リフォーム事業や採用コンサルティング事業にも挑戦しています。現社長の息子で専務取締役CMOの小柳宜久氏にさらなる発展を目指す姿勢に迫りました。
まず、株式会社ヒロコウの事業概要について教えていただけますか。
株式会社ヒロコウは、鳶工事を中心とした建設事業を基盤に成長してきました。今年(2024年)に36年目を迎えます。
また、法人向けリフォーム事業を10年前からスタート。特に不動産会社が扱う分譲マンションをはじめ、ショッピングセンター内の店舗や路面店の飲食店や整体医院の内装リフォームを行っています。
そして今年からは、新しい挑戦として建設会社向けの採用コンサルティング事業も始めました。これにより、ヒロコウは建設業、リフォーム業、採用コンサルティング業の3本柱で事業を展開しています。
御社の強みをご教授いただきたいです。
一番の強みは「信頼」にあります。バブル期には建設業界が急成長し、たくさんの会社が乱立した中での創業でした。
ヒロコウは常に「”誠心誠意” 一つひとつの現場で仕事を成す」ことを大切にしてきました。
どんなに難しい工事でも、どんなお客様からの要望でも必ずお客様の期待に応えてきました。
仕事をすることは当たり前ですが、当たり前のことができない会社や人も多いです。「当たり前のことをあたりまえに行ってきた」1現場ずつの積み重ねによって30年以上に渡りお客様に選ばれてきたのだと思います。
家業に入られる前、どのような経緯やきっかけで後継ぎとしての道を選んだのですか。
もともとは東京で独立起業を目指していました。
大学卒業後は船井総研ロジ株式会社という経営コンサルティング会社に勤め、独立の準備を進めていました。そんな時、ふと「何のために独立起業したいのか」と自問自答する時期がありました。
結論、独立起業はあくまで手段であり、私が本当にやりたいことは、「なりたい自分になれる人を増やすこと」だと気づきました。
それを実現する一番の手段が、家業を継ぐことだと思い、父(社長)に「会社を継がせてほしい」とお願いしました。
お父様は最初、後継ぎになることに対して反対されていたと伺いましたが、どのように説得されたのですか。
父(社長)は、私が大手企業で安定した仕事をしていたこともあり、「なぜあえて小さな会社に戻るのか」と反対をしていました。完全な親心です。
私自身の覚悟を示すため、ヒロコウをどのように発展させていきたいかをプレゼン資料にまとめました。
30枚ほどの資料に、自分が考えるビジョン、事業計画、そしてヒロコウをどう成長させていきたいかを「中長期経営計画」と題して、父(社長)にプレゼンしました。
その真剣さが伝わったのか、最終的に父は納得してくれました。
家業に戻られてからの具体的な取り組みについて教えてください。
家業に戻った直後は、まず「自分の給料は自分で稼ぐ」として、ゼロから事業を立ち上げました。
事業内容は建設会社向け採用コンサルティングです。前職である経営コンサル時代に培ったノウハウであり、かつ自分が一番得意とする仕事で、ヒロコウに新しい売上の柱を創りました。
次いで、法人向けリフォーム事業の営業から施工管理、鳶工事事業の営業活動、鳶職人や施工管理者の採用活動、就業規則や賃金規定の見直し、社内のデジタル化などを行っています。
家業に戻った直後から「自分が社長なんだ」という気持ちですべてを行う意気込みで仕事をしています。
社内教育やコミュニケーションにおいて、どのような工夫をされていますか。
建設業は社外の現場で仕事をすることが多く、社員同士が顔を合わせる機会が少ないため、月に1度全員が集まる会議を設けています。
この場では社員同士の会話が気軽にできるように、ちょっと楽しいコミュニケーションワークを行っています。
これに加えて、毎月の売上と利益を全社員に公開、目標に対して実績はどうかを全員で共有しています。これにより、経営の実態を社員全員が理解できるようになり、「全員経営」団結感を持って日々の仕事に取り組むことを大切にしています。
「全員経営」のメリットは社員が自分たちの仕事に対する責任感ややりがいを感じるようになり、組織全体が一体感を持つようになったことです。
「なりたい自分になれる社会を作る」というビジョンをどう実現していきたいですか。
私のビジョンは、「なりたい自分になれる社会を作る」ことです。そのために必要なのは、「なりたい自分像を描くこと」と「その手段を提供すること」だと考えています。
社内では、社員一人ひとりが自分の目標を明確にし、それを実現するための道筋を一緒に描けるような仕組みを作りたいと思っています。
そして、ヒロコウが仕事を通じて、地域社会やお客様、協力会社様に対しても、このビジョンを広めていける存在でありたいと考えています。
最後に、跡継ぎとしての苦労や挑戦、今後の展望について教えてください。
跡継ぎとして一番の苦労は、父と私の考え方の違いです。父は創業者として、現場→経営者になった”たたき上げ”の社長です。目の前の仕事に200%の力を注ぎ、技術力を高め、1円も無駄にしないという考え方です。
一方で、私は経営コンサル→経営者になりました。中長期で計画を練り、効率や生産性をどうすれば高められるかという考え方です。
場面によっては意見がぶつかることも多くあります。これをどうやってうまく融合させ、会社の発展につなげていくかが今後の大きな課題です。
今後の展望としては、既存事業をさらに成長させるとともに、新たな分野として飲食事業や教育事業にも挑戦していきたいと考えています。地域に根ざしながら、社会に貢献できる会社を目指し、より多くの人々が「なりたい自分になれる社会」を実現していきます。