事業承継を実現する「会社の清算」―その手続きとは

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東京商工リサーチによると、リーマンショック後の2010年以降、全国の企業倒産の件数は減少傾向が続く一方で、特別清算の件数が増加傾向にあると報告しています。
そして、この特別清算が、事業承継の手法である「第二会社方式」において積極的に活用されてきているのです。
こちらでは、特別清算を含む清算の手続きとは具体的にどのようなものなのかについて解説いたします。

清算の定義・種類・手続き

会社の清算とは、解散により事業活動を停止した会社が、事業活動によって生じた債権を回収して得た資金で債務を弁済し、最終的に残った会社の残余財産を株主に分配したうえで、会社の法人格を消滅させる手続きです。
そして会社の清算には幾つかの種類があり、状況に応じて使い分けがされています。

清算の定義

会社の清算とは、会社の解散に伴い、それまでの事業活動による法律的あるいは経済的な関係を整理するための次の一連の手続を言います。

  1. 現務の結了(解散時点でも未だ残っている残務を処理すること)
  2. 債権の取立て
  3. 財産の換価処分
  4. 債務の弁済
  5. 残余財産の分配

清算の種類

会社の清算には、「任意清算」と「法定清算」の二種類があり、法定清算はさらに二種類に分類されます。

任意清算

合名会社、合資会社に認められている清算手続きで、定款の定めや総社員の同意によって会社財産を自由に処分できるものです。ただし、合名会社、合資会社の社員は、会社の債務について直接責任を負う出資者の地位にあるため、会社財産を自由に処分できても債務が残れば自らの責任でそれを弁済する必要があります。

法定清算

法律上の手続にしたがって財産の整理を進める清算手続きであり、「通常清算」と「特別清算」があります。

通常清算

取締役に代わって選任される清算人によって進められる清算手続きで、裁判所の監督外で行われる私的清算手続きです。債権債務に争いが無く、また、債務超過で無い場合、つまり債権者から債権を回収すれば、債務を弁済ができる状態に選択できる方法となります。

特別清算

債権債務に争いがあって通常清算手続きに支障を来す特別な事情がある場合や、債務超過などによって債権者保護手続きが必要な場合、裁判所の監督の下で行われる公的清算手続きです。債権者からすべての債権を回収できても、すべての債務を弁済できない状態において選択される方法となります。

清算の手続き

任意清算は株式会社では適用されることのない特殊な清算方法になりますので、こちらでは法定清算における二つの清算方法に関する手続きについて説明いたします。

通常清算

通常清算の手続きは次のような流れになります。

株主総会の特別決議
通常清算の手続きは会社の解散から始まります。
ここで特別決議の対象となる決議事項とは、

  • 解散の決議
  • 清算人の選任決議
  • 定款変更決議(会社機関の変更等)

があり、場合によっては取締役の退任に対する慰労金支給決議などが併せて上程されることがあります。

解散の登記・清算人の登記
清算人が会社機関として登記され、清算事務を遂行する責任者となります。
債権届出の公告・知れたる債権者への個別通知
債権回収の後、会社として債務を弁済する相手を確定する法定手続きとして、帳簿外の債権者には公告、帳簿上の債権者には個別に通知します。
株主総会の普通決議
解散日後遅滞なく、所轄税務署に提出するための「会社解散届」を承認します。
株主総会の普通決議
清算事務年度(解散の日の翌日から一年間)の終了日から二か月以内に、清算事務年度の貸借対照表、事務報告、附属明細を承認します。
残余財産の確定日
残余財産を確定する日は代表清算人が決定します。
残余財産の分配
配当通知書を発行して、株主や債権者に分配します。
株主総会の普通決議
全財産を換価処分して債務の弁済を完了した旨の決算報告を行い、この日をもって清算を結了します。
清算結了の登記
清算を結了した旨を登記します。別途、税務署には清算結了届を提出します。
書類保存者選任申請書の裁判所への提出
清算結了の登記後遅滞なく、清算事務に関する書類保存者について管轄の裁判所に届出を行うものです(清算人が書類保存者の場合は不要)。
特別清算
特別清算は、債権債務に争いがあるため通常の清算手続きの遂行に支障がある場合または債務超過の場合に認められる手続のため、

  • 裁判所の監督下で清算手続きが行われること
  • 債権者との和解もしくは協定による弁済を行うこと

という特徴があります。
手続としては、通常清算の手続きをベースとして、会社の解散の特別決議の後に、裁判所に「特別清算の申し立て」を行います。
また、債務を弁済するに先立ち、すべての債権者との個別和解か、債権者集会での協定案締結のいずれかの方法で、債務弁済計画の承認を得る必要があります。

前向きな事業承継手法である「会社の清算」

中小企業の事業の中には、小説「下町ロケット」の舞台となるようなユニークな発想と確かな技術をもった会社はたくさんありますが、リーマンショック以降、元請け会社からの過酷な要求によって苦しめられ、雪だるま式に債務を抱え、後は廃業を待つだけの会社が増えています。
債務超過会社を合法的に清算できる特別清算を活用した「第二会社方式」を採用すれば、廃業を待つだけの会社を存続させ、その発想と技術を次代につなげて蘇らせることが可能になるでしょう。
このように、清算という手続きも、前向きな事業承継の手法として活用できるのですね。

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