関東圏を中心に、建設業に拘って企業再生支援を行う、株式会社リソアの代表取締役社長の星野様に、
企業の紹介内容についてお伺いをいたしました。

特に建設業は、都市部と地方の業績格差や人手不足の差が顕著に見られる業界。
その中で、企業再生コンサルタントとして長年活躍をされている、星野様よりお話をお伺い致しました。

ーー○ご支援されている企業情報やサポート内容をお伺いできますでしょうか?

建設業界は、都心部と地方との業績格差や人材不足などにより、特に地方の中・小規模の建設業者は苦戦を強いられ、資金繰りが悪化している建設業も多く存在しています。

経営を立て直す手段の一つとして、赤字でも買手が見つかるように、経営立て直しを図りながら、建設業に特化した会社再生・事業再生・M&Aに関するサポートを行っています。

ーー○現状のご支援に至る背景をご教授頂けますでしょうか?

建設業界は、人口減少による住宅需要の低下などにより、市場の停滞が懸念されています。
そうした中で、大手総合建設業者(ゼネコン)やハウスメーカーによる地域の中堅総合業者(地場ゼネコン)の買収、開発業者(デベロッパー)によるリフォーム業者の買収など、地域や業態の枠を超えたM&Aが展開されつつあります。

今後、人手不足が一層深刻さを増すと予想されることから、中・小規模の事業者においても売却のチャンスは十分にあると考えられ、経営不振や後継者問題を解決する手段の一つとして、M&Aを積極的に活用していくことを検討すべきです。M&Aを行うことで、譲渡代金を銀行借入の返済に充てたり、別の事業にその資金を投入したりすることも可能になります。

経営の立て直しのために、一部の事業を譲渡していくケースは今後増えていくものと思われます。

ーー○事業承継に対する”思い”をお伺いできますでしょうか。

建設業界は小規模事業者が多いという特徴があります。
中小企業庁によると、全産業ベースで見ると事業者の約87%が小規模事業者(常勤従業員数20人以下)ですが、建設業においてはその比率が約96%と非常に高い割合になっています。

会社の規模が小さいと、わずかな変化で業績が大きく変動します。

例えば、天候や現場の条件によって施工日数が予定より少し長くなるとその分の人件費が増え、資金がショートしてしまいがちです。
だからと言ってその分を事前に見積ると価格競争力が下がり、受注も困難になります。
規模が大きい会社であれば一つの現場で施工日数が一日伸びる程度の影響は軽微ですが、規模が小さい会社であればあるほどその影響は大きくなります。
つまり、小規模事業者が多い建設業は赤字になりやすい業種とも言えます。

中・小規模の建設業を営む経営者の方から「赤字だから売却できないのではないか」という問い合わせを受けることがあります。
M&Aにおいて、業績が赤字だと買手が付きにくくなるのは確かですが、必ずしも売却できなくなるわけではありません。
一時的に「赤字」であっても、バランスシート(貸借対照表)が「黒字(資産が負債を上回る状態)」であれば、買手が付く可能性は十分にあります。赤字と債務超過は区別して考えることが大切です。一般的に、一定期間の収益よりも費用の方が大きければ赤字、貸借対照表上、債務が資産を上回る状態を債務超過と区別されます。

 

赤字になったり、資金繰りが悪化したりしても、純資産がプラスであれば事業価値はプラスに評価されます。
加えて、目に見えない資産、例えば人材(特に有資格者)、顧客、技術、実績などをのれんとして計上することも不可能ではありません。
事前にM&Aアドバイザーに自社ののれんを評価してもらい、決算書だけでは見えてこない価値を買手にアピールしていくことも大切です。

ーー○ご支援された実績など、可能な範囲でお伺いできますでしょうか。

①大京が修繕工事施工会社の秀建を買収

全国でライオンズマンションを展開する大京グループは、2015年4月、修繕工事体制を確立するために、マンションの大規模修繕などを行う修繕工事施工会社の株式会社秀建を買収しました。

秀建は売上高10数億円規模の企業で、資金的にも厳しい状況にあり、譲受け企業を探していました。
秀建は大京グループの下請け会社だったこともあり、約2ヶ月で成約に至りました。

大京が秀建を買収するに至った理由は2つあります。
まずは、自社の案件で修繕を行っていた実績があったこと。
ただ、それだけの理由では、これまで通り下請け会社の一つとして付き合っていればよいわけですが、大規模修繕を行う会社を自社の傘下に入れることで、大京が管理するマンションの施工計画を、自社のスケジュール感で組むことができるとの狙いがあったからです。

もう一つは、自社で教育を行い、自社のやり方や品質で現場作業を進めたいとの考えがあったからです。
教育も1回行えば次回以降はそれほど手間もかからなくなり、教育にかかるコストは下がっていきます。大きくはこの2つの理由で秀建を買収するに至りました。

②一部上場の地盤改良会社が小規模ビルダーを買収

当社がお手伝いをしていた案件の一つですが、社員15人、年商10億円規模の戸建て住宅を作る小規模ビルダーのA社がスポンサー探しをしていました。
大手施工会社にも声をかけましたが、最終的に一部上場の地盤改良会社であるB社に事業譲渡することになりました。

A社は清算されましたが、従業員の雇用は維持され、A社の社長も事業部長としてB社に残りました。
A社の社名は事業部名としてB社に残り、既存顧客のアフターサポートなどを行うことに。
A社の抱える人材や顧客基盤などがのれんとして評価されたため、未払金などもB社側が弁済しました。
現在、A社の元社長は退任して別の会社の顧問をしていますが、A社の従業員はB社にそのまま残っています。

ーー○まだ、M&Aに踏み込めない企業の代表の方。もしくは、企業再生を検討される建築業の経営者の方へメッセージをお願いできますでしょうか。

先述のように、業績が赤字であっても資金繰りが悪化していても、純資産がプラスであれば事業価値はプラスに評価されます。
加えて、人材、顧客、技術、実績などをのれんとして評価されることも不可能ではありません。そうした目に見えない価値がどこにあるのかを事前に正確に把握し、買手にアピールしていくことが大切です。

そもそも、建設業は儲からない業種ではありません。
投資利回りという観点からも、建設業は決して不利な業種ではありません。実際、ファンドが投資用に建設会社を買うケースもあります。
資金を投入し、状況を改善できれば、事業を立て直すこともでき、黒字化させることも十分可能な業種だからです。

また、ケースとして多いわけではありませんが、債務超過になった会社を買収すると、買手にとってその後の節税効果が大きいというメリットもあります。

従って、赤字だからと言って安易に売却を諦める必要はないでしょう。ただし、業績不振の要因を客観的に分析し、買手に対して嘘偽りのない広範な情報をしっかり開示していくことが出来る経営者との出会いを求めています。

 

株式会社リソア(英語表記:LISOA.Inc.)
代表取締役社長/ 星野 進一氏

日本の中堅・中小企業を取巻く経営環境は、益々厳しい状態にあると実感しております。
大企業は金融機関に債権放棄をしてもらい再起する事も可能ですが、経営基盤が脆弱な中小企業には、信用問題や雇用問題等の様々な事が発生し、経営者個人では精神的にも技術的にも、これらを総合的に処理する事は大変に難しいのが現実です。

私どもは、一社一社の異なる問題に取り組み再建課題を解決する事が、我社の存在意義と考えております。
弊社は建設業界に特化しており、現在の建設不況の時代にも役に立ちたいと考えております。

企業再建には、スポンサー企業・ファイナンス・再建スキーム・資産処理の高度な専門性を要しますが、弊社は専門家と共に取り組ませて頂きます。
今後とも、企業再生・事業承継を通じ、中小企業の存続と発展に貢献していく所存です。

http://www.lisoa.co.jp