かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社は、中堅・中小企業のオーナー経営者へ戦略的なM&Aサービスを提供する完全成功報酬型の独立系M&Aブティックです。
また、幅広いネットワークにより再生型のM&AやクロスボーダーM&Aにも対応しています。16年間の実績と信頼を活かし、グループ全体でM&Aをサポートされている取り組みについて代表取締役の佐武氏に伺いました。

設立の思い

――社名の由来をお聞かせください。

起業時の社名は、「サンベルトパートナーズ」という社名でした。これは、私が2003年~2004年に留学した米国のビジネススクールがあった地名(アリゾナ州、太陽の州なので、通称「サンベルト地帯」)から由来しています。

その後、2013年に併設している監査法人、税理士法人などを含めてブランディングの観点から、グループ名を「かえで」グループに統一し、M&Aサービスを提供しているサンベルトパートナーズは「かえでファイナンシャルアドバイザリー」に変更致しました。「かえで」は、日本の古風な響きを残しながらも、世の中の変化や流れに柔軟に対応したいという思いを連想させる、シンプルで分かりやすい言葉と感じたので採用しました。M&Aに似つかわしくない名前ということもあり逆に覚えやすいと好評頂いています。

 

――事業スタートの背景をお聞かせください。

ビジネススクール留学時に、たまたま教えてもらっていた教授が、大学院の教員をしながら、中小企業のM&Aアドバイスや企業評価を行う会社を経営していました。

いろいろ話を聞いていく中で、米国は移民が多く、彼らは移住後、職探しをしてもなかなか一般企業に就職しにくいので、まずは小規模な事業(飲食店、花屋、ガソリンスタンド、コンビニなど)をM&Aで買ってスタートし、生計を立てる、という話を聞ききました。

いま、日本でも「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」(三戸政和著、講談社新書)というタイトルで、サラリーマンにM&Aで副業・兼業をするよう提唱している本が静かな話題になっていますが、米国では当時すでにこのようなスモールビジネスのM&Aマーケットやインフラ(売り手、買い手、仲介会社などのマッチングサイト)がきちんと整備されており、実際の生活の中でM&Aがすでに身近に根付いていたことに新鮮な驚きを感じました。
一方、そのころ日本ではM&Aというとまだ大企業のための戦略というイメージが強く、私もそのような認識でいました。

また、当時、日本ではまだ事業承継問題がそれほど取りざたされておらず、中小企業のM&Aマッチングサイトもほとんどなかったので、これはビジネスになるのではないかと思い、教授に相談すると、「応援するのでぜひやりなさい」と背中を押してくれました。
帰国した2005年に早速、スモールビジネス(中小企業)に特化したM&Aアドバイザリー会社として創業し、そのころ日本ではまだ珍しかったM&Aマッチングサイトの構築からスタートしました。しかし、当時はまだ時期尚早で世間的にも受け入れてもらえず残念ながらM&Aのマッチングサイトの方はしばらく運営した後、クローズしてしまいました。

HP:https://www.kaedefa.com/

 

中堅・中小企業のM&Aをサポートする

――事業内容をお聞かせください。

後継者難、事業承継で悩んでいる中小企業のオーナー、成長を加速させたいと考えているベンチャー企業の経営者、ノンコアビジネスの売却を考えている大企業の経営者などにM&Aの助言サービスを提供しています。案件の規模などによって、中小企業やベンチャー企業、大企業と様々な企業をサポートさせて頂いています。

具体的には、さまざまな理由で会社や事業を売りたいと考えている経営者に買い手候補を紹介し、規模拡大、海外展開、新規事業開発などの目的で業務資本提携先を探している経営者に、売り案件に関する情報を提供しています。また、経営不振企業には、財務を強化してくれるスポンサーを紹介する再生M&Aサービスなども提供しています。

 

――貴社の強みをお聞かせください。

サービスは、中小企業にも活用してもらいやすいように、原則、国内案件については完全成功報酬(着手金、中間金、月次報酬なし)で提供しています。16年前に事業をスタートした時からこの方針は変えることなく取り組んでおり、我々の強みです。

M&A業界で16年間あらゆる業種を支援してきました。そのため、M&Aに関する”選球眼”がついたと思います。M&Aに関するご相談を頂いた段階で「この業種ならすぐに買い手が見つかるだろう」、「今の経済状況だと買い手企業は見つけることは難しい。」など、M&Aの実行前にある程度の予測ができるようになりました。

財務状況が厳しい案件の場合、買い手を見つけることが難しいと言われていますが、弊社は、赤字や債務超過等の状況だったとしても、事業に魅力があれば「いい部分だけを切り出して買い手に買って頂く」いわゆる再生型M&Aにも積極的に取り組んでいます。本当に厳しい会社様の場合は、あえて厳しく廃業や破産を勧めることもあります。そのほうがオーナー経営者様にとって有用であると信じているからです。

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“PMI(M&A成立後の統合プロセス)”と”お客様に合わせた支援”

――貴社で取り組まれているPMI(M&A成立後の統合プロセス)の内容についてお聞かせください。

一般的に言われるPMIは、買収した側の会社(買い手)をフォローし、統合作業をサポートするケースが多いと思います。

一方で、我々が取り組んでいるPMIは逆で、会社を売却したオーナー様に向けたPMIに取り組んでおります。会社を売却して入手したCASHの運用方法や相続対策、その後の新たな取り組みに関するフォローに取り組んでいます。
若いオーナー様であれば「次のビジネスを買いたい」「新規事業を立ち上げたい」、また高齢のオーナー様であれば「安全な資産運用がしたい」「相続対策に取り組みたい」という思いに対してサポートしています。

M&A成功の鍵を握る「PMI」とは?

 

――貴社では“最短3ヶ月”でM&Aを実現可能とのことですが、スピード感持って取り組まれる際に気を付けていることはございますか?

我々は例えば“最短3ヶ月”でM&Aを締結させるようなスピード重視をすべて良しとはしていませんが、例えば、高齢のオーナー様で体調がよろしくないといった事情でM&Aを急がれている方がいらっしゃった場合に、スピードを意識した支援に取り組んでいます。

その際は、過去にM&Aを締結した経験のある買い手様といった、スピーディーにM&Aに取り組める会社様を優先的にご紹介させて頂いています。M&Aをされた経験がある会社様だと、M&Aの進め方のノウハウを社内でお持ちなので早期に話を進めることが可能だからです。

また、可能であれば手続きを省くということにも取り組んでいます。有力な買い手候補だけにターゲットを絞ることや、途中の基本合意を省く、デューデリジェンスをできるだけシンプルにする、というように、16年間のM&A支援のノウハウからできるだけ工数を削減するように取り組んでいます。

 

クロスボーダーM&Aに取り組む

――今後、注力したい支援はございますか。

現在、このコロナ下で、海外企業から日本企業に対する業務資本提携の提案が静かに増えてきています。実際に、これだけ厳しい状況下においても日本のホテルや旅館を買いたいと海外企業から弊社に相談頂いています。

実際、弊社でも、この9月に米国企業と日本企業のマッチング、いわゆるクロスボーダーM&Aを成約、クロージング(決済)致しました。

これまでは日本企業が海外企業を買収するという案件(インアウト)が多く、少子高齢化や人口減少などの要因で、日本企業の魅力をあまり感じて貰えていなかったように感じます。しかし、新型コロナウイルスの影響で日本企業を買収する流れが徐々に強まってきています。欧米企業にとって、相対的に日本マーケットはまだまだ魅力的に映っているようです。
今後は、日本企業同士のマッチングだけでなく、海外企業との提携のサポートにも力を入れていきたいと考えています。

 

――クロスボーダーのM&A案件はどういった経緯で問い合わせ頂くのですか。

海外企業からのコンタクトは完全に飛び込みでやってきます。以前まで入っていたM&Aのネットワーク組織などから弊社の情報を見つけて頂き、コンタクトを取ってこられているのではないかと思います。
連携している会計事務所や弁護士事務所からの紹介で、既にM&Aのお相手は見つかっている状態で、その後の手続きのみを手伝って欲しいとご依頼頂くこともございます。このように柔軟な対応ができるのが我々の強みです。

 

経営者・後継者などへ伝えたいメッセージ

――経営者・後継者などへ伝えたいメッセージをお聞かせください。

今はとにかく動くべきです。私は100年に一度のチャンスだと考えています。
コロナ下においても、やはり動いている人は動いています。「経営者はやはり人に会ってなんぼ」だと思います。もちろん、新型コロナウイルスに気を付けることは大前提ですが、動き続けることが私のポリシーです。コロナ下で、様子見もいいですが、「人の行く裏に道あり、花の山」という格言があるように、人がやっていないからこそ私は動き続けるべきだと考えています。

これまで様々な提案を経営者にしても、正直、真剣に検討して頂けないこともありました。ただ、現在のこのコロナ下においては、単独ではもう生き残れないのではないか、先行きが全く見えない、という危機感が増幅しているため、「本当にこのまま何もしなくてもいいだろうか?」「どこかと積極的に連携すべきではないのか?」という問題意識をほとんどの経営者の方がお持ちになっています。こちらからいろいろな提案をしても納得してもらえることが増えたような気がしています。

10,20年後を睨んで同業者、異業種、海外企業との積極的な提携をしたいというニーズは今後もますます増えることでしょう。理念を実現させるべく、いま動くことでチャンスが必ず待っていると信じています。

 

かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社
代表取締役 佐武 伸 氏

朝日監査法人(現あずさ監査法人)にて上場企業数十社の会計監査、システム監査、株式公開準備(IPO)プロジェクト等に参画。
その後、奥田公認会計士事務所で中堅・中小企業の国内・国外税務戦略立案、事業承継対策、IPO等の幅広いコンサルティング業務に従事。専門は、M&Aコンサルティング、企業評価、会計・税務コンサルティング。現在、かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社代表取締役、かえで監査法人・かえで税理士法人代表社員。
元中央大学ビジネススクール客員教授(M&A戦略)
関西学院大学商学部卒。米国サンダーバード国際経営大学院卒(MBA)。

[主な著者]

「当事者のニーズや最近の事例から考える コロナ下におけるM&Aの動向と留意事項」(旬刊経理情報No.1596 中央経済社、2020年)
「M&Aコンサルティングの実務 第2版」( 中央経済社、 2020年)
「M&Aによる事業再生の実務」(中央経済社、 2013年)
「経営危機にある会社が知りたいスポンサーの探し方」(ビジネス法務 2013Vol13No.2)など多数