「100年続く未来を創造する」をスローガンに、ホテル運営のプロフェッショナルとして集客サポートや事業承継支援など幅広いサービスを取り扱い、新しい価値観によってホテル・旅館業の価値を次世代へと伝える機会を提供しているホテル結マネージメント代表取締役 後田大輔様にお話を伺いました。

執筆者:桐谷晃世

ホスピタリティ業界にてキャリアを積まれていたとお見受けしましたが、独立されたきっかけはなんでしょうか?

私は元々大規模なホテルグループに所属していて、大勢の仲間がいる中で42歳まで勤めていました。

ただ実家が民宿を経営しているということもあって、徐々に前職のように大手だけを支援するのではなくて、旅館だとか個人経営のホテルだとかに寄り添って力になりたいという気持ちが強くなってきたんです。

そのような理由で独立して現在50歳ですから、8年間このホテル結マネージメントを続けております。

100年続く宿の未来を創造するというパーパスの元、ホテル・旅館・宿泊施設の支援をされていると思うのですが、具体的な事業内容について教えてください。

この「100年続く未来を創造する」というスローガンは、私が起業した当初から掲げていたものなのですが、その理念に合わせる形で実際の業務を運営しています。

今一番メインに据えている事業は、WEB集客サポート業務です。もはや現代ではネットを利用した販売が前提となっているので、時代に合わせて集客活動も常に最適化を、デジタル化をしなければなりません。最終的には「地域のオンリーワン施設となる集客の仕組み作り」にお客様と二人三脚で取り組んでいます。

加えて、現在人員不足に伴って旅館業のオペレーションは複雑化しているので、業務の効率化に関するDX化のソリューションを構築するコンサルとしての活動も地域での伴走支援と併せて、積極的に行っています。

そして今回のコロナ禍で増加した業務が事業承継の支援です。数年に亘る自粛の影響でやはり旅館業は大きなダメージを受けており、事業自体を継続させることが難しくなった、という事例もかなり発生しました。

そしてそういう中でも事業を次に託したい人、そのバトンを受け継いで成長させていきたい人がいるということを知って、そうした方々を応援していきたいという気持ちを抱きました。そうした経緯で、3年前からは事業承継のサポートも実施しております。

ホテル結マネージメントの社名の由来を教えていただきたいです。

この社名は実は私の命名ではなくて、知り合いの方に付けていただいたものなんです。ただ前の会社を退職するときに懇意にしていた方と一緒に飲んでいたとき、その響きがすごくいいなと思いました。

元々この会社を起こすときのテーマは誰かと誰かを「繋ぐ」ということをキーワードに考えていましたので、今思えば「結マネージメント」という名前で一番良かったという風に思ってます。

取り組まれている事業承継支援について教えてください。

事業承継の種類としては、「親族内承継を最優先」として進めています。これは両親から事業を承継したものの苦労されている後継者の方々に接する機会があり、その苦労を少しでもシェアできればと思い、始めました。

実は大学を卒業してすぐホテルの道に入ったんですが、先述したように実家は長崎で民宿をやっています。だからこそ旅館業の家族経営の大変さは人一倍分かっているつもりです。実家は父が健在なので私はまだ承継していないのですが、そうした経験もあって事業承継のサポートという業務に魅力と必要性を感じているんです。

御社の強みはなんですか。

強みとしては、何といっても現場の経験が豊富だということがあります。

我々のメインの事業は集客売上を上げていくということになりますが、元々は運営責任者として全国を回り、その土地に住み、施設のスタッフさんと協力し合って業績を上げる仕事をしていました。そのような業務の中では当然ながら現場の方との協力が必要不可欠です。そして彼らと良い関係を築くには、今までに同じような飯を食ってきたという経験がすごく活きてくるんですね。

同じ経験をしているから自然と距離が縮まって、彼らの仕事を深い部分で理解できるようになる。それによって従業員の方々のスキルアップを促すというミッションも円滑に果たすことができるようになるので、この面で経営者の方からはとても評価して頂いています。

業務をアウトソーシングしてしまうと、どうしても業務経験がそのホテルや旅館に残らないという問題点があるんですね。我々としてはノウハウは「無形資産(見えない資産価値)」として、施設さんにきちんと残したいと考えていますので、だからこそその価値を大事にして、旅館・ホテル様のコンサルとしての業務を続けていきたいと思います。

読者にメッセージをください。

 旅館業というのは100年以上続くような歴史のあるところが多いんですが、その分だけ近代はご両親からバトンを受け取るということは大変になってきます。

 両者ともに事業承継を成功させていきたいと考えていたとしても、やはり親子であるためにどうしても溝があったり、あるいは距離が近すぎたりという部分がありますので、我々のように緩衝材の役割を担える便利な専門家を使っていただければ、と思います。

 私どもとしても事業承継の新しいスキームを作っていきたいですし、継承された事業の新しいスタートのお手伝いもしています。コロナ後の現在の日本には、観光庁などを主体として地域一体で観光地を盛り上げていこうというミッションを掲げていますので、ぜひ宿泊業・観光業の魅力をますます伝えていけるように、頑張ってまいります。