事業承継とは

事業承継の基礎知識
事業承継の基礎知識後継者の選び方やノウハウ、必要な資金、スケジュール、専門家・協会をまとめて解説

事業承継とは、「会社」や「事業」を後継者に託し、現経営者が一線から身を引き、会社が保有する「有形・無形の資産」を引継ぐことです。

単なる社長交代の手続きであれば、取締役会の決議を経て、法務局や税務署など、関連省庁への届け出を行えば事足ります。しかし、これは事業承継全体のほんの一部に過ぎません。

例えば、株式や事業用資産は、税務や資本施策の検討が必要です。長期的に会社を発展させるためには、社長の後継者の育成はもちろん、役員や従業員、取引先の理解も必要になってくるでしょう。

事業承継の完遂に必要な期間は、5~10年ともいわれています。
「長過ぎる」と感じられるかもしれませんが、引き継ぎのプロセスや具体的なフェーズを考えると決してそうではありません。

事業承継の準備
事業承継の準備事業承継の計画を立てる手順や考え始めるべきタイミング

事業承継計画は、経営者が引退する時期から5年から10年程度さかのぼった期間、会社を取り巻く経営環境がどのように変化し、経営者と後継者がそれぞれの立場でするべきことかなどをまとめた具体的な行動計画です。
売上や経常利益の推移、株式や資産移転、後継者の育成のスケジュールなどを考慮して作成します。

事業承継でかかる費用を知る
事業承継でかかる費用を知る特例事業承継税制や補助金まで

多額の資金が必要になる事業承継。お金がネックとなり、うまくいかないケースは少なくありません。
しかし、2019年度版中小企業白書のアンケートを見ると、「後継者が買い取る資金を用意できない」「贈与税の負担が大きい」などの理由で、後継者に全部の事業用資産を引き継いでいない現状があります。

事業承継における資産の引き継ぎ
事業承継における資産の引き継ぎ売買・贈与・相続と税金の基礎知識

事業承継で、現経営者から後継者に引き継ぐべきものの1つが資産です。
資産は大きく分けて、

  • 換金性が高い株式や現預金などの資産
  • 不動産や設備などの資産
  • 従業員の技能やノウハウ、顧客情報、特許権、許認可など目に見えない資産

の3種類があります。

本稿では、自社株式や事業用の土地、建物、設備、運転資金や借入金などの目に見える資産の継承について解説しましょう。

長男が継ぐのが当たり前だった?
長男が継ぐのが当たり前だった?事業承継を取り巻く状況はどう変わってきたのか

かつて「家業は長男が継ぐのが当たり前」というイメージがあった事業承継。現在は外部人材の招へいやM&Aなど、さまざまな選択肢が生まれていますが、その背景には後継者不足の問題が存在するのです。

子どもが親の事業を「継ぐ」か「継がない」か、その意識が変化したターニングポイントはどこにあったのでしょうか。
事業承継の考え方がどのように変化してきたのか。
そして、これからの事業承継にどのように向き合うべきか。

『同族企業はなぜ3代で潰れるのか?』(インプレス)の著者であり、日本ファミリービジネスアドバイザー協会(FBAA)理事である武井一喜(たけい かずよし)さんに話を聞きました。

事業承継の見えない資産
事業承継の見えない資産
経営理念や従業員・取引先の信頼を引き継ぐ方法

経営資源は、設備や不動産、株式や現預金などの「目に見える資産」だけではありません。

1)経営戦略や事業方針、営業戦術の大本にあたる考えを示す「経営理念」
2)事業遂行に欠かせないノウハウや情報を持つ従業員とその組織
3)明文化しがたい固有の価値観や雰囲気とそれらに根ざした社風、ルール
などは、「目に見えない資産(知的資産)」と呼ばれています。

これらは、競合他社には容易に真似できない差別化ポイントであり、競争優位性の源泉とも言い換えられる大切な資産です。
本稿では、「目に見えない資産」の継承ついて解説します。

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