近年、経済のグローバル化や少子高齢化の進行に伴い、中小企業における経営課題が多様化・複雑化してまいりました。
こうした中小企業の窮乏を救い、事業の多様化・活性化を図るため、2012年8月に「中小企業経営力強化支援法」が施行され、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う制度が創設されました。
それが、「経営革新等支援機関認定制度」であり、中小企業の支援者の多様化を図り、中小企業の事業を活性化させることを狙いとしています。
こちらでは、事業を支える認定支援機関について解説いたします。

認定経営革新等支援機関とは何か?

「認定経営革新等支援機関」とは税理士や公認会計士、弁護士等が開いている士業法人や金融機関など、専門的知識を有し、一定の実務経験のある方が構成している、経営革新の支援機関です。
国の審査を経て、認定されたものを指します。

認定経営革新等支援機関の支援を受けるメリット

経営革新等支援機関の支援を受けるメリットとしては、次のような補助金や税制優遇措置などが受けられることにあります。
詳しく支援の内容を見ていきましょう。

経営計画策定支援事業

金融支援を伴う経営改善を必要とする中小企業・小規模事業者が、認定支援機関の力を借りて取り組む経営改善計画の策定とモニタリング費用を支援する事業です。

ものづくり・商業・サービス支援補助金

生産性向上に資する革新的サービスの開発、試作品開発、生産プロセスの改善を行うための設備投資等にかかる費用を補助する制度です。

事業承継補助金

事業承継・世代交代をきっかけとして、新しいビジネスに挑戦する事業者を支援する制度です。
関連記事事業承継でかかる費用を知る 特例事業承継税制や補助金まで

事業承継税制

事業承継により事業を承継する後継者が、先代経営者から承継する非上場会社の株式等を贈与や相続により取得したときに、経営承継円滑化法により都道府県知事の認定を受ければ、贈与税・相続税の納税が猶予される制度です。
関連記事事業承継でかかる費用を知る 特例事業承継税制や補助金まで
なお、これらの他にもさまざまな施策が設けられています。

認定経営革新等支援機関による支援の流れ

認定経営革新等支援機関による支援は、次のような流れにより行われます。

中小企業・小規模事業者の経営課題

まず、中小企業・小規模事業者が、売上を拡大するため販路を拡げたい、生産性向上のために設備投資をしたい、といった自社事業の成長・発展に向けた課題を認識することがスタートとなります。

認定経営革新等支援機関の選定

次に、自社事業の経営課題を解決するために、最適な認定経営革新等支援機関を中小企業庁のHPで検索して選定します。

認定経営革新等支援機関への相談

認定経営支援機関に相談すると、経営状況の把握・分析を行い、事業計画を策定したうえで実行に必要な支援と助言を与えてくれます。

事業計画の実現

自社事業の経営課題を克服する事業計画を実現させることで、売上拡大やコスト低減などを実現することができます。
h4>モニタリング・フォローアップ

自社事業に対して巡回監査を実施したり、改善策を提案したり、PDCAサイクルを回して、中小企業・小規模事業者の経営課題を克服し、改善を図っていきます。

経営革新等支援機関の認定数

2019年8月30日現在、新たに457の機関が経営革新等支援機関に認定されました。これにより認定経営革新等支援機関は、総数で34,140機関になりました。
最近認定された機関の内訳をみると、中小企業診断士、行政書士、税理士、公認会計士といった士業法人やコンサルタント業が多く認定されています。

認定経営革新等支援機関による支援の成功事例

中小企業庁では、認定経営革新等支援機関のリーフレットにおいて、経営革新等支援機関からの支援によって生まれた成功事例を紹介しています。

  • 金属製品製造業 + 金融機関 ⇒新事業の展開に成功、売上が過去最高を記録
  • 非鉄金属製造業 + 税理士法人 ⇒新たな設備導入に成功して生産性が1.5倍に
  • 金属製品製造業 + 商工会議所 ⇒新事業の立ち上げにより従業員の意欲向上

既存事業に認定経営革新等支援機関による支援が加わることで、売上拡大、生産性向上が実現されているのです。

認定経営革新等支援機関の活用による成功の秘訣

認定経営革新等支援機関を活用して、売上規模の拡大や生産性向上が実現できるのは、自社事業の経営課題について真剣に模索している中小企業でしょう。
「売上が頭打ちなのは何故か?」
「営業利益が増えないのは何故か?」
「原価率が高いのは何故か?」
「生産効率が低いのは何故か?」

自社事業におけるこのような経営課題を的確に把握しているからこそ、それを克服する策が見つかれば売上や利益の増大、原価や経費の削減、生産性の向上が実現できるのです。
つまり、認定経営革新等支援機関の活用による成功の秘訣とは、「自分自身を知れ」ということにあるのではないでしょうか。
中小企業が自社の経営について主体的に取り組み、貪欲に改善点を探すことで企業の未来が拓かれるでしょう。