コロナの影響に伴い、徐々に認知度をあげ、必要性に対して関心が高まる「SDGs(エスディージーズ)」について、ここでは、説明をしていきます。
多くの後継者や経営者が参加する日本青年会議所でも、様々な取組み、事業に「SDGs」の考え方を用いております。
まずは、「SDGs」という取り組みを理解し、皆様がお持ちの経営に一部でも取り入れていくことで、国連が求める行動指針を理解していきましょう。

SDGsとは

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称になります。
持続可能な開発目標とは、持続可能な開発のための17のグローバル目標と169のターゲットからなる、国連の開発目標であり、2015年9月の国連総会で採択された『我々の世界を変革する: 持続可能な開発のための2030アジェンダ』と題する成果文書で示された具体的行動指針のことを挿します。

元々は、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として2015年の国連爽快にて採択されております。

前回のミレニアム開発目標に対して、今回はサスティナブル(維持できる、耐えうる、持ち堪える)を活用し、人間・社会・地球環境の持続可能な発展をより色濃くしめすことで、継続的な取り組みとしての意味合いを詰めていることが伝わってきます。

なぜSDGsに取り組むのか?

持続可能な開発というテーマは以前から繰り返し議論され、目標設定されてきたものでした。
ただし、これまでの目標は、国やNGOが主体になるものが多く、一人ひとりが当事者意識を持ちにくいということがありました。

これらを引き継ぐ形で、2015年に国連総会で決議されたSDGsは、国や途上国だけでなく、先進国の課題を網羅し、民間企業による取り組みを求めた点が大きな違いでした。

日本では、CSR(Corporate Social Responsibility / 企業の社会的責任)は、利益の一部を社会に還元する活動だけを指すものと解釈されることが多くありました。
そのため、企業業績の悪化や経営者が交代した際に継続が難しくなるケースがありました。持続可能性を重視するSDGsでは、本業そのものにSDGsに考え方を組み込むことを前提にしています。
そのため、ボランティアや寄付ではなく、事業を行い、企業が収益をあげることが同時に社会や地球環境の改善につながるようなビジネスモデルが求められています。

2030年に達成するためには、非常に大きな目標が並びます。そのため、企業におけるイノベーションに期待されています。市場規模は12兆ドルとも言われています。グローバル企業のトップをはじめ、多くの企業でSDGsへの取組みが開始し、さらには、株式市場でも環境(Environment)と社会(Social)、企業統治(Governance)に配慮したESG投資に注目も集まってきています。

新たな事業機会の獲得や、リスクの低減、『共通言語』としてのコミュニケーションツールなど、企業活動に大いに活用できるため、SDGsに取り組む企業が増えています。

17つのグローバルゴール/目標と169のターゲット

1.貧困をなくす…「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」

2.飢餓をゼロに…「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」

3.人々に保健福祉を…「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」

4.質の高い教育をみんなに…「すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」

5.ジェンダー平等を実現しよう…「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」

6.安全なトイレを世界中に…「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」

7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに…「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」

8.働きがいも経済成長も… 「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」

9.産業技術革新の基盤をつくろう…「強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」

10.人や国の不平等をなくそう…「各国内及び各国間の不平等を是正する」

11.住み続けられるまちづくりを…「包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」

12.つくる責任つかう責任…「持続可能な生産消費形態を確保する」

13.気候変動に具体的な対策を…「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」[注釈 1]

14.海の豊かさを守ろう…「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」

15.陸の豊かさも守ろう…「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」

16.平和公正をすべての人に…「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」

17.パートナーシップで目標を達成しよう…「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」

上記の17つのゴールに対して細かく、169のターゲット、232の指標が決められています。

169のターゲットには、実際に2030年を期日としたターゲットなど具体的な指標を設けられております。

また、このゴールを達成させるために、日本の取り組みとして外務省から出ている日本の取組に記述があります。

 

・普遍性 先進国を含め、全ての国が行動

・包摂生 人間の安全保障の理念を反映し「誰一人取り残さない」

・参画型 全てのステークホールダーが役割を

・統合性 社会・経済・環境に統合的に取り組む

・透明性 定期的にフォローアップ

と記述されているとおり、行動指針も記述されていることも印象的な内容になっております。

また、このSDGsは、カラフルなテーマでデザインされており、最近ではバッチをつけている経営者も度々みるので、少し国内でも認知度が上がってきているのではないでしょうか。

 

また、2020年は「行動の10年」スタートと題されており、2030年までにSDGsを達成させるために、取り組みのスピードを早め、規模を拡大しなければならいということも提言されております。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html

そもそも、ミレニアム開発目標(MDGs)とは。

8つのゴールと21のターゲット項目を掲げ、2015年までに達成すべき目標として掲げられたものです。

ここでは、詳細までは記載しませんが、

1. 極度の貧困と飢餓の撲滅

2. 普遍的初等教育の達成

3. ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上

4. 幼児死亡率の削減

5. 妊産婦の健康の改善

6. HIV/エイズ、マラリアその他疾病の蔓延防止

7. 環境の持続可能性の確保

8. 開発のためのグローバル・パートナーシップの推進

参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%AC%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%83%A0%E9%96%8B%E7%99%BA%E7%9B%AE%E6%A8%99

の8つがゴールとして掲げられておりました。

実際にウィキペディアにも、達成状況が記されており、道半ばなゴール。改善の余地が必要なゴールなどがあり、この経過を元に、今回のSDGsではより具体的にかつゴールの項目を詳細に設定されたと想像ができる。

なお、当時MDGsにおける日本の認知度は、財団法人国際協力推進会の調査結果では、わずか3.7%(2013年3月時点)しかないと表記されており、 20~69歳の男女943人 を対象としたワールド・ビジョン・ジャパン調査のアンケート結果では、関心がある と回答した人は70%以上にものぼる。つまり、興味はあるがそもそも情報を知らないということが課題として挙げられていた。

参照:http://beyond-mdgs-japan.org/opinion.html

現在の日本のSDGsの認知度や取り組み

日本政府は、2016年5月に内閣総理大臣を本部長・全国務大臣を構成員としたSDGs推進本部を設置、省庁横断的に、SDGsに取り組むことにしました。
「SDGsアクションプラン」の策定や、「ジャパンSDGsアワード」を主催するなど国をあげてSDGsを推進しています。

外務省が公募した第1回「ジャパンSDGsアワード」では、株式会社伊藤園、サラヤ株式会社、住友化学株式会社がSDGs推進副本部長賞を受賞しました。

また、企業に大きな影響を与えたのが日本経済団体連合会(経団連)の「企業行動憲章」の改定です。憲章にSDGsが盛り込まれ、これからの社会に向けた提言である「Society 5.0-ともに創造する未来-」では度々SDGsの文字が登場しています。

上場企業を対象に行われた調査では、今後の取り組みの予定があるのは約40%と限定的です。一方で約70%が「企業の責任として重要と考えている」と回答しており、今後、具体的な取り組みが増えていくものと考えています。

https://www.sdg-s.jp/about/

なお、前回のMDGsに対して、現在の日本での認知度は、32.9%(2020年3月時点第6回調査)と今回初めてほぼ3人に1人が「聞いたことがある」という状態にまで広がっていることが挙げられます。

https://miraimedia.asahi.com/sdgs_survey06/

また、ベルテルスマン財団が発行している、持続可能な開発レポートでは、2020年5月現在、日本は15位に位置しております。
世界との競争ではないにしても、しっかり進捗していることがわかります。

現在2030年までに目標を達成すると想定される項目としては、

4.質の高い教育をみんなに…「すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」

6安全なトイレを世界中に…「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」

8働きがいも経済成長も… 「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」

9.産業技術革新の基盤をつくろう…「強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」

の4項目は達成想定。

かたや、

重要な課題が残っている項目は以下の3種。

3ジェンダー平等を実現しよう…「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」

13気候変動に具体的な対策を…「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」

14海の豊かさを守ろう…「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」

大きな課題が残っている項目として、以下が挙げられております。

10人や国の不平等をなくそう…「各国内及び各国間の不平等を是正する」

企業のダイバーシティ化が必要とされる中で、未だに女性の経営幹部の少なさが課題しされる日本。地震大国。を反映した課題項目となっていることがわかりやすく浮き彫りになっております。

また、情報入手が負荷によりトレンド情報が利用できない項目は

11住み続けられるまちづくりを…「包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」

12つくる責任つかう責任…「持続可能な生産消費形態を確保する」

SDGsに取り組むメリット

経営者・後継者がSDGsに取組むことでのメリットは、これからどんどん出てくることと想定されます。

現段階でも、経営者の中での会話にも一部出てくることが増えてきており、企業の倫理観を試される一つの指標のようなものとして使われています。

分かりやすい例で言えば、スターバックスのコーヒー豆は99%がフェアトレード、つまり、発展途上国で作られたものを適正な価格で取引することによって持続的な生活向上を支えるための仕組みで作られています。

他にも、ナイキやGAPでも数年以内に綿製品が100%オーガニックコットンで作られているそうです。
従来製品は大量の枯葉剤が使われ、大気汚染、土壌や水質汚染で大きな問題になっていたためです。

このような活動が企業のブランドイメージを支え、消費者から支持ることにつながると考えられてます。

同時に、経団連でもSDGsの特設サイトがリリースされており、

各企業が取組むSDGsに対してコチをしたり、経営者が抑えるべき「ビジネスと人権に関するCEOガイド」などが共有をされています。

https://www.keidanrensdgs.com/home-jp

https://www.keidanrensdgs.com/post/wbcsd-ceoguidetohr-jp

是非、皆様の企業でもSDGsに関する取り組みを小さなことから進めてみることをお勧めいたします。